4.0
陶芸専門館で見る桃紅作品は多少疑問だけど、常設展示にある桃紅作品に心惹かれる
菊池寛実記念 智美術館は現代陶芸の専門館なんですが、篠田桃紅の作品が2つ常設されている。一つはエントランスホールにある《ある女主人の肖像》(1988年)という抽象作品で、壁一面を使っていてかなり大きい。ちなみに女主人とは菊池寛実記念 智美術館の設立者である菊池智のことだ。もう一つは展示会場がある地下へ降りていく螺旋階段に沿って展開される作品《真・行・草》(2003年)。階段の壁面には銀の和紙が貼られ、その上に桃紅が書いた「いろは歌」の料紙をコラージュした作品です。つまり、どちらもこの美術館のために作成されたもので、菊池智と篠田桃紅との縁の深さがうかがえる。
一方で、この美術館は陶芸専門で、展示台とか照明などが陶芸作品用に作られている。そういった場所で、通常、立体物が置かれている展示台にリトグラフやエッティングを額装して置いているのは、少々苦しい感じです。
オペラシティギャラリーでの展示と比べると、点数も少ないし、わりと最近の作品が多い。とはいっても、常設作品の2点がちょっとほかにない作品なので、そこそこ楽しめたと思います。