3.0
独特の創造性
河本五郎は初見でしたが、大きな刺激を受けました。武骨さを感じさせつつ、作品の形を歪ませたユニークさが独創性を感じさせました。
展覧会の内容とは別に、一つ意見を。他の方も記していることですが、こちらの菊池寛実記念 智美術館は展示スペースが受付のある一階からひとつ下の地下階にあります。建物の構造上の問題でしょうが、作品鑑賞中でも上階から話し声が響いてくるのでそこは少し気になりました。
一階から地下へつづく螺旋階段も芸術的でした(撮影はNGだったのが残念です)。
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河本五郎(かわもとごろう 1919~1986)は表現としての陶磁器を追求し、その概念を推し広げた作家の一人です。1,000 年以上の歴史を持つ陶磁器の生産地、愛知県瀬戸市に生まれ、幼少より瀬戸の窯業に身を置きますが、伝統的な技術や価値観を客観的に捉え、個人の創意でそれらに対峙しました。
河本の制作は、大きくは前半の陶器と後半の磁器に分かれます。陶器の制作では、やきものの造形美は土の性質を抽出し象徴することにあると考え、土の粗い表情や裂け目、歪み、ひずみを生かし計算し、様々な方法で素材感や物質感をダイレクトに造形化する作風を確立します。成形技法としてロクロに重きを置いた当時の瀬戸において、作りたいものに合わせて土や技法を選択、または開発する河本の姿勢は異質なものでした。
家業の染付磁器とは異なる制作で作家として自立した河本ですが、意志ある姿勢はそのままに、しかし陶器から磁器へ制作を移行させます。そして瀬戸の染付磁器と更にそのルーツとなる中国陶磁への考察をもとに、どちらとも違う自身の染付と色絵に取り組んだのです。それは自らの制作で陶磁の伝統や歴史に迫り、乗り越え、進展させようとする行為であったといえます。
本展は、東京で開催する没後初めての回顧展となります。陶磁器を表現素材と捉え、その創造に真摯に向き合った初期から晩年までの70余点で河本五郎の陶芸をご覧ください。
会期 | 2023年4月22日(土)~2023年8月20日(日) |
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会場 | 菊池寛実記念 智美術館 Google Map |
住所 | 東京都港区虎ノ門4-1-35 |
時間 | 11:00~18:00 (最終入場時間 17:30) |
休館日 |
月曜日 7月18日(火) ※ただし、7月17日は開館 |
観覧料 | 一般 1,100円 大学生 800円 小中高生 500円 |
TEL | 03-5733-5131(代表) |
URL | https://www.musee-tomo.or.jp/ |
3.0
河本五郎は初見でしたが、大きな刺激を受けました。武骨さを感じさせつつ、作品の形を歪ませたユニークさが独創性を感じさせました。
展覧会の内容とは別に、一つ意見を。他の方も記していることですが、こちらの菊池寛実記念 智美術館は展示スペースが受付のある一階からひとつ下の地下階にあります。建物の構造上の問題でしょうが、作品鑑賞中でも上階から話し声が響いてくるのでそこは少し気になりました。
一階から地下へつづく螺旋階段も芸術的でした(撮影はNGだったのが残念です)。
4.0
河本五郎との陶芸家についてあまり知識がありませんでしたがいろいろな作品があり、印象的でした。陶芸、陶器がどのように表現できるかを追求したことが作品から伺えました。美術、陶芸に詳しくなくても見ていて楽しく、新しい発見がありました。機会があればまた作品を鑑賞したく、菊池寛実記念 智美術館にも再度行きたいと思いました。
4.0
他の方の感想にもある通り、前半と後半の作風がガラッと変わる所をどう捉えるかで、かなり作家に対する印象が変わってきそうです。
私も前半の力強い作風が好きでした。
一方で、「これじゃ一生陶芸家にはなれないね」と言われてショックを受けても、良い評価が得られない時期にも、腐らず悩みながら必死に作り続けたその姿勢には、おこがましいとは思いながらも、勇気を貰う人は沢山いると思います。
「反骨」というか、むしろ「全力」とか「必死」さを感じました。
いつも素晴らしい作品を展示してくれる、こちらの館大好きです。
次回も楽しみにしております。
3.0
今回2回目の美術館ですが、展示場に降りる螺旋階段の壁面の篠田桃紅の書とガラス作家の手すりが素敵です。
河本五郎の作品では、紙箱のように作った作品、ザラついた砂?のような表面の作品、まるで傷口のような跡のある器など、反骨の陶芸家と言われるのもうなずけました。
特に、表面がざらついて見える「青花歌垣文八稜皿」「染付歌垣文四方器」などについては触ってザラザラ感を味わって確かめられるコーナーもあったらいいなと思いました。
見学はできませんでしたが、別棟の「西洋館」のレンガの壁や三角屋根にも興味をそそられました。ティファニー工房のステンドグラスも見てみたいです。
4.0
河本氏が「前半陶器、後半磁器」を中心に作成したこともあり、単一作家の個展にしては多様な展示になっています。
私は「土を焼いた」感じがありありと分かる作品が好きなので、特に初期作品に惹かれました。土土しい(造語)な質感がとても好きです。
氏がクラフト運動に参加していたこともあり、建築的なアプローチ、実用品としての焼き物をと作った作品が特に好き。衝立てのような用途の焼き物という発想が。
氏の作品を実用品として使う生活、素敵でしょうね。
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