3.0
武士という生き方
刀剣や鎧も見どころでしたが、「洞窟の頼朝」をはじめとするサイズの大きな屏風が特に見応えがありました。他の方の感想にもありましたが、まったく目立たないところ(階段脇)に、銅雀台の石像が置かれてるのが驚きでした。
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平安時代後期、武士が歴史の舞台に上り、後に国を支配するにいたると、絵画には武士の姿が描かれるようになります。戦の様子を描く合戦図、武士の姿を描く武人肖像画などとともに、武力や権力を象徴するモチーフなども描かれるようになりました。
本展覧会の第1章では、大倉集古館の所蔵品の中でも異彩を放つ前田青邨《洞窟の頼朝》を筆頭に、江戸時代から昭和にかけて、武士の姿を描いた作品と、霊威をもち武士の魂として大切にされてきた刀剣を展示し、時代ごとの表現を紹介します。第2章では、鷹狩に使用され、武力や権力の象徴であり、威信財でもある鷹を描いた作品を取り上げ、鷹図が武士の表象としてどのように描かれ、荘厳され、利用されたかを探ります。
大倉集古館の所蔵品を中心に様々な武威の表現をお楽しみください。
会期 |
2025年1月28日(火)~2025年3月23日(日)
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会場 |
大倉集古館
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住所 | 東京都港区虎ノ門2-10-3 |
時間 |
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休館日 |
月曜日 休日の場合は翌火曜日 |
観覧料 | 一般 1,000円 大学生・高校生 800円 中学生以下 無料 障がい者手帳、被爆者手帳を提示の方とその同伴者1名は無料
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TEL | 03-5575-5711 |
URL | https://www.shukokan.org/ |
3.0
刀剣や鎧も見どころでしたが、「洞窟の頼朝」をはじめとするサイズの大きな屏風が特に見応えがありました。他の方の感想にもありましたが、まったく目立たないところ(階段脇)に、銅雀台の石像が置かれてるのが驚きでした。
4.0
第1章「武士の姿と武具」では絵画や武具などを通して、武士の生きた時代をさまざまな角度から知ることが出来ます。刀剣は武士の象徴であり、単なる武器ではなく、精神性や美意識を体現する存在、という観点で蒐集された、大倉集古館刀剣コレクションの中から選りすぐりの、鎌倉時代から江戸時代にかけて作られた5点が展示されています。刀剣類には全く詳しくないのですが、《短刀 銘則重(重文)》(大倉喜七朗の妻久美子の輿入れ道具)をはじめ、各時代の特徴を示す名刀が並んでいました。刀剣ブームの昨今、お好きな方々には何とも嬉しい展示ではないでしょうか。戦の激しさを伝える合戦図も多数展示されています。特に注目の高い前田青邨の《洞窟の頼朝》の横には、平安時代末期の大型で重厚な造りに、赤い糸を用いた豪壮なデザインの美しい甲冑一色が展示されていました。甲冑の研究に熱心だった青邨が、この作品を描くにあたり参考にした甲冑の一つが、武蔵御嶽神社の《赤絲威大鎧》で、青邨はこれを「天下の名甲」と称えていたといいます。こちらの品はその《赤絲威大鎧》の複製だそうです。安田靫彦の《黄瀬川陣》や小山栄達の《吉野山合戦図》などなど、素晴らしい作品を堪能できました。江戸期作者不詳の《虫太平記絵巻》がもとても面白かったです。前後期で場面替えされていました。上巻とあるので下巻も残っているのでしょうか‥。西欧諸国の絵画でも多く見る戦闘場面は、概ね為政者または注文主の権威を高めるためのもの。もちろん日本の合戦図も、同様に勝者・為政者の強さや正当性を伝える、或いは注文主の活躍ぶりを伝えるものであったり、もしますが、敗者の側の作品も多く描き残され、精神性の高い名作となっていたりしますね。
第2章「鷹図の世界」では、鷹図が持つ武力や権力の象徴としての役割や、その魅力について紹介していました。歴史好きには十分よく知られていますが、古墳時代既に行われていたという鷹狩。平安貴族には娯楽の一つでも、鎌倉以降、武士文化の中では、鷹狩は、健康維持に、領地視察や権力の誇示の手段でもあり、武術並びに指揮系統などの訓練でもあったわけなんですよね。特に信長や家康の鷹狩にまつわる逸話はたくさん知られています。鷹を描いた作品は、武力や権力の象徴であり、威信財でもあったそうです。今展展示の鷹や鷹狩の絵の見事なことは勿論ですが、… Read More
4.0
刀剣に興味がないので、武士系の展示はスルーすることが多いんですが、今回は前から見たかった「洞窟の頼朝」目当てで行ってきました。
「洞窟の頼朝」の横長ハガキを持っているせいか、勝手に横長の絵をイメージしていたので、実物があんなに大きな屏風だと思っていなかった!
サイズだけでなく、見れば見るほどツッコミどころ満載で一人でニヤニヤしていました。戦に負けて逃げてきて、洞窟に隠れているのに、君たちはなぜそんなに装備が整っていてキレイなの?なぜそんなに顔色や体格がいいの?極限状態のはずなのに、ハーフタイムで寛いでいるアメフト選手にしか見えない(笑)しかも、頼朝の背景は少し金色を帯びていて、洞窟にいることすら忘れていそう。
ハガキより実物がいいに決まっているんですが、ギャップが激しくて面白かったです。
2階の展示はほぼ鷹。昨年秋に埼玉県立歴史と民俗の博物館でやっていた「鷹のおでまし展」より充実していたような…。摘水軒コレクションとの再会もあり、こちらも思いがけず楽しめました。
一番気に入った作品は「鷹飼図巻」。鷹匠の仕事が調教だけでなく、鷹小屋の掃除から餌の用意まで多岐に渡っていたことがよくわかる作品です。発色が鮮やかなのに鷹匠たちの表情が緊張ぎみなのは、仕事のプレッシャーのせいかも。
いただいたリーフレットの内容も丁寧で、期待以上でした。
3.0
前期に訪問。小山栄達という作家を知る。
やまと絵系の歴史画ということで前田青邨、安田靫彦などに似ている感じもあるが
長命の二人に比べて敗戦ショックにより殉国ともいえる死を迎えたあたりマジの人だったのだろうか。
それにしても作品自体はとても良かったです。保守派と思いきや結構モダンな作風で驚く。
せっかくなら大倉集古館で小山栄達の回顧展を見てみたい。
後期は国宝や安田靫彦の重文など登場しています。
5.0
大好きな太平記の世界を珠玉の美術品で味わえました。重文の青邨、靫彦の歴史画の傑作が揃って展示されていて感激、更に久隅守景の重文屏風、個人蔵の歴史画作品も佳品揃いです。また鷹図に焦点を当てた展示も必見で、曽我派、狩野派、長谷川派、土佐派の名品を比較しながら観賞出来ます。絵巻群の展示も充実。展示リストとは別に8ページに及ぶオールカラーのリーフレットが用意されているのも好感が持てる。オススメ展です。
4.0
初めて訪れました。中国風の建物に加え、屋外にも中国から買い付けた立派な青銅の龍や亀が飾られており、雨ざらしで傷まないか(もったいない)と心配しながら入館しました。
こじんまりとして人も少なかったため、『洞窟の頼朝』含め1点1点をゆっくり見ることが出来て良かったです。
すべて見終わって地下1階のミュージアムショップに向かって階段を降り切ったところに、無造作に置いてある石像?をふと見ると、中国の銅雀台遺跡から発掘されたもの、と書いてありました。え?銅雀台?ウソ?曹操の宮殿の柱にくっついていた石の彫刻の一部?!マジですか!?この日一番衝撃を受けました。そのような貴重なものが地下の階段の下に飾るともなく置いてあることにも驚きました。え?レプリカ?わかりません、もう一度確認に行く予定です。
5.0
良い企画でした!
「洞窟の頼朝」の隣に、頼朝がまとう甲冑のモデルとなった大鎧(復元)が展示され、左見て、右見て、兜のここは一緒だ、と見比べるのも楽しく。
また、「洞窟の頼朝」はガラスケースがあるとはいえ、屏風から1メートルもないくらいの至近で見ることができ、縅の一枚ずつ、甲冑の突起や装束の模様をひとつひとつ丹念に描いている筆遣いを間近で見れ、迫力が増しました。
虫太平記絵巻(上巻)は、ムカデや芋虫まで登場してるので少々引きましたが(笑)
久隅守景「賀茂競馬屏風」は、さらっとした線なのに人物描写がうまいなぁ。
鷹の図は、飾り紐の結び方で、鷹の種類や年齢がわかることにびっくり。
絵巻や刀、馬や鷹の絵画など、武士に関わる作品が集められ、解説もわかりやすく、作品も楽しめましたし、勉強にもなりました。
ショップで、甲冑ガチャを購入。なかなかよい感じの甲冑が作れました。どこに飾ろうかな。
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重要文化財《洞窟の頼朝》前田青邨、昭和 4 年(1929)大倉集古館蔵(c) Y.MAEDA & JASPAR, Tokyo, 2024 E5810
《赤絲威大鎧(複製)》平成 2 年(1990)(原品:平安時代・12 世紀)千葉県立中央博物館 大多喜城分館蔵
重要文化財《短刀 銘 則重》鎌倉時代・14 世紀、大倉集古館蔵
重要文化財《黄瀬川陣》安田靫彦、昭和 15/16 年(1940/41)、東京国立近代美術館蔵【後期展示】
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《吉野山合戦》小山栄達、大正~昭和初期・20 世紀 (株)喫茶サンキュー蔵【前期展示】
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《一の谷合戦絵巻》(部分)江戸時代・17世紀 大倉集古館蔵【巻替えあり】
《鶴に鷹図》南溪、江戸時代・19世紀、摘水軒記念文化振興財団蔵