4.0
ゆったりと仏像の笑顔が楽しめた展覧会
円空の展覧会を観るのは、2013年国立博物館の「飛騨の円空」、2015年そごう美術館での「円空・木食展」に続き3回目です。
「飛驒の円空」展は副題が「千光寺とその周辺の足跡」、今回の展覧会の副題が「飛驒・千光寺を中心にして」であり、いずれも飛驒の千光寺とその周辺寺社から集められた作品を展示しています。
ほとんど同じ作品を展示しているのにもかかわらず、会場のイメージが全く違います。
前者では国立博物館本館の特別5室という狭い会場にぎっしりと密集して展示されており、初めて円空作品を観たためか、その迫力に圧倒されました。
今回は広い展示スペースに、形状・サイズの類似した作品をまとめて配置する等、展示方法が巧みで、ゆったりと鑑賞できます。過去の密集展示では見逃した各仏像の表情、特にやさしい微笑みが見られ、幸せな気分になりました。
円空は生涯で12万体を造像(現存5千体)したと伝えられていますが、今回見た作品群は寺社に奉納されたためか、ていねいに彫られているようです。そごう美術館では、木材をナタで荒く造形し、目鼻を付けた程度の作品が多く並べられていました。民間人に一宿一般のお礼として渡した作品は、短時間で仕上げた荒削りのものがほとんどのようです。そうでなければとても12万体は掘れないと思います。