5.0
金屏風三作品
毎年、花の季節にあわせて開かれる『燕子花図』の展覧会。本展示では、メインの三作品は各章に分けてあり、場所を離して展示されていましたし、特に燕子花図と藤花図は、ぐっと引いてみることができるスペースのある配置で、ゆったり見ることができました。紙本金地着色、いわゆる金屏風は、展示室の明るさや照明の当たり方でニュアンスが変わるので、やはり肉眼で見る特別感があります。
そして、ここの美術館に来たら、庭園の散策も欠かせません。今回は混雑を避けるため、あえてカキツバタ開花前にきましたが、ツツジが咲き始めたり、モミジの小さな赤い花がそろそろプロペラみたいな羽になりそうだったり、足元には蕨やすみれも咲いていたり、さらにはカメの甲羅干しを見かけたりと、色々春が楽しめます。
展示に話を戻して、個人的に興味深かったのは展示室5です。季節に合わせた「女面の魅力-能「杜若」によせて-」で、その名の通り女面が展示されています。「能面のような顔」という表現が使われるようにひとくくりにされがちですが、髪の毛の表現や目元などの違いの解説になるほどと思うし、「般若」は女性が嫉妬による怒りや悲しみから徐々に人の姿を失っていく過程の面で、その前後の姿の面も見られて、いち女性としては複雑な心境ではあるものの観賞ではない、鑑賞の良い時間が過ごせました。