4.0
モリカズの家族愛、胸が痛みます
40周年展と銘打ち。
とはいえ当館の場合、周年イベントというよりも、毎春恒例のお誕生日会ですね。
昨年は、旅がテーマ。風景画が多く、のびやかでした。
今年の周年展は、家族がテーマ。これは、重い。
40歳過ぎての結婚、極貧の生活が続き、ご子息・ご息女を亡くす。
独特の輪郭線で描かれるモリカズ様式の確立は70歳を過ぎてから。
こんな守一氏の人生において、家族への愛情は溢れています。
1階の展示室を入ると、自画像、父母、奥様の肖像画。
そして展示室奥のメインの展示壁には、ご子息陽氏の死去《陽の死んだ日》が。
続いて、ご息女萬氏の病中の画や、葬送《ヤキバノカエリ》。
筆致や描線に、抑えた感情・抑えきれない感情が交錯します。
しばし立ち止まり見入っては、胸が痛くなります。
今年も岐阜から良い作品が多数来てます。
当館自体の所蔵品数は多くはない。
ですが、本展の開会に合わせてコレクション本が発刊され、販売してました。
1階のロビー、焙煎珈琲の香が満ちるカフェ空間が素敵です。
ブラックコーヒーをすすりながら、コレクション本(見本)に目を通す。
スタッフの方との会話。
小生「今年は、ジーンとくる重さですねえ」
スタッフ「そうなんですよ。スタッフ間でもそういう意見があったのですが、守一といえば家族のテーマは外せないので、40周年ということで、やりました」
印象深い、贅沢な午後のひと時でした。