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御所すぐの相国寺承天閣美術館で企画展「屏風 黄金の調度」が開催中

京都五山(別格: 南禅寺、第一位: 天龍寺、第二位: 相国寺、第三位: 建仁寺、第四位: 東福寺、第五位: 万寿寺)の二位に列せられる相国寺は、京都の真ん中、京都御所の北の門、今出川御門の向いを奥に入っていくと萬年山相國承天禅寺総門に至ります。


京都御所今出川御門

総門に向かって今出川通り左手には、同志社大学や冷泉家があります。


相国寺総門

十四世紀末、室町幕府三代将軍の足利義満により創建され、何度も焼失と復興を繰り返し、現在約四万坪の境内に本山相国寺と十二の塔頭寺院があります。山外塔頭に鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、真如寺があります。


京都市内地図

洛中での位置関係をご確認ください。※相国寺HP ⇒

相国寺は、伊藤若冲とも深い関係があり《動植綵絵》は若冲が相国寺へ寄進したことは皆さんご存じのとおりです。相国寺承天閣美術館には、鹿苑寺蔵、伊藤若冲筆 床貼付《葡萄小禽図》十一面と三之間床貼付《月夜芭蕉図》四面が立体展示されており、若冲にいつでも会える美術館です。本展開催前に、照明がLEDに交換され、「一之間小襖」は特に鮮明に見えるようになっていました。月夜に映える芭蕉の「筋目描き」大好きです。

 

では、承天閣美術館へ


本展は、Ⅰ期(10月19日~12月21日)のみ19件、Ⅱ期(2026年1月11日~3月8日)のみ18件、通期10件(うち展示部分入替3件)、常設展示作品を除く展示作品総数は、47件、重要文化財1件、初公開は8件です。47件?ということなかれ、大きな屏風の展示で、「件数」ですので、決して物足りないなどという事はありません。


相国寺承天閣美術館入口

展覧会は、3章構成です。私的お薦め屏風をご紹介したいと思います。

作品の画像はアートアジェンダ展覧会紹介サイトをご参照ください⇒

第1章 相国寺を荘厳する屏風

屏風と言えば、一般には風よけや間仕切りとして使われていましたが、寺院では方丈などを荘厳するものもあり、寺宝として伝えられてきました。相国寺境内に承天閣美術館収蔵庫が造られたのは昭和59年で、それまでは方丈へつながる相国寺本山の玄関に収蔵されていました。宮家から寄進された屏風など重要な寺宝は玄関近くの土蔵で管理されていました。

応仁の乱、天明の大火など何度も災禍にあった相国寺ではその度毎にその大半が焼失しました。本章では、明治41年の相国寺所蔵品が記された什物帳『常住什具統記』に記載されている作品を主に豪華な金屏風を展示しています。

《郭子儀兒孫遊嬉図屏風》六曲一双 紙本金地著色 江戸時代 相国寺蔵[Ⅰ期展示]

右隻の建物の中には郭子儀とその家族、左隻につながる庭には多くのその子孫たちを描いて子孫繁栄を、左隻の橋には亀を手にした人物が見上げる先には鶴が飛び吉祥も表現されています。

中御門天皇の第二皇子で、天台座主を歴任した公遵法親王(1722-88)の遺言により、相国寺第113世梅荘顕常(大典和尚)に形見分けされた屏風です。大典和尚と言えば、若冲と一緒に淀川を下って大阪の木村蒹葭堂を訪ねた僧で、そのゆるりとした舟旅の様子を拓版画の『乗興舟』として若冲と共作したことでも有名です。大典和尚は、天明8年には相国寺を離れていましたが、この年の天明の大火で多くを焼失した本山相国寺へこの屏風を贈ったのでした。

・正面壁面に《釈迦十六善神像》原在中筆 一幅 絹本着色 江戸時代 寛政10年 相国寺蔵[Ⅰ期展示]、この両脇に《牡丹図坐屏》原在中筆 一対 紙本着色 江戸時代 相国寺蔵[Ⅰ期展示]、更に外側に《相国寺方丈杉戸絵 孔雀図/鳳凰図》原在中筆 36面のうち2面 板地著色 江戸時代 文化4年 相国寺蔵[Ⅰ期展示] この壁面で相国寺の室中の様子を再現展示しています。相国寺を始め京都の寺院には、原在中の襖絵などが多くみられますが、そのことからは天明の大火の後の再建に原派が活躍していたことが分かります。

《色紙短冊貼交屏風》六曲一双 紙本墨書 江戸時代 相国寺蔵[Ⅰ期右隻、Ⅱ期左隻]

様々な仏教経典の経文を和歌に詠んだ釈教歌や僧侶の詠歌が散りばめられた屏風で、中世までに詠まれた古歌を江戸時代に色紙や短冊にして金屏風に仕立てたものです。後水尾天皇の第二皇子、八条宮穏仁親王(はちじょうのみややすひとしんのう)が、寛文5年(1665)に23歳で亡くなり、後水尾天皇が八条宮家の菩提寺である慈照院を塔頭とする本山相国寺へ金剛壽院(八条宮穏仁親王の法名)供養のために寄進したもののうちの1つです。貼られた短冊が釈教歌であることから金剛壽院追善の思いを込めて奉納されたと考えられています。南蔵に収蔵され、寺宝として大切にされてきた特別な屏風です。色紙の料紙も美しく、修理後間もないことからとても豪華な屏風です。

第2章 人々の営みを描く屏風

日本や中国の故事、古典に題材をとった作品や制作当時の人々の営みが生き生きと描かれその風俗を反映した作品もあります。題材としてよく描かれてきたものが多いように思います。

《四季耕作図屏風》狩野永常筆 六曲一双 絹本金地著色 江戸時代 相国寺蔵[Ⅰ期展示]

重要文化財の久住守景筆「四季耕作図屏風」もありますが、狩野永常は京狩野家の七代目で、『本朝画史』を著した狩野永納の系譜にあり、京狩野でもよく描かれた画題であったようです。本作の登場人物は、中国風の姿をしています。当時の農作業が図解され、その周りで遊ぶ唐子たちもカワイイ。

・初公開《帝鑑図屏風》六曲一双 紙本金地着色 江戸時代 慈照院蔵[Ⅰ期展示]

中国の古代の皇帝たちの故事から、特に為政者の戒めとなるべき善行、悪行を取り上げて図説化したものを「帝鑑図」と言い、版本『帝鑑図説』の挿絵を画題にして描いています。この屏風の裏面には金地に白い花を咲かせる山吹が描かれ、部屋の仕切りとしてリバーシブル利用可の実用性をもつ屏風です。

・重要文化財《花下遊楽図屏風》六曲一隻 紙本金地着色 江戸時代 相国寺蔵[Ⅰ期展示]

花見遊山に浮かれる老若男女が100人以上も描かれ、当時の風俗も伺えます。群像で描かれた女性がやがては浮世絵の美人画へ繋がっていくように思いました。

第3章 自然を描く屏風

雪村周継、狩野松栄、円山応挙、池大雅の水墨画を一部屋で眺めてみると応挙の表現が新しいと感じました。描かずして空気感や積もる雪を表現し奥行きさえも描き、遠近感や陰影も感じて、応挙さんやっぱり上手い!山水画には深山幽谷に隠棲する人やその友を遥々と訪ねる人物を描き、花鳥画には人物は登場しません。Ⅰ期展示だけでも全く違う応挙の作品が3点も展示されています。

鹿苑寺の大書院の障壁画50面を若冲が描きました。この大書院の一之間と四之間の袋棚小襖だけは住吉如慶(1599-1670)が描いています。この鹿苑寺大書院の一之間と四之間の小襖も初公開され、必見です。


承天閣美術館で授与の御朱印

第一展示室前にあった御朱印見本です。承天閣美術館で会期中限定の「特別御朱印」(左右の2種)が頂けます。

Ⅱ期は新年という事もあり、《松鶴図屏風》、応挙筆《海浪群鶴図屏風》などおめでたい作品も展示されます。若冲作品も展示されますが、初公開 狩野義信筆《扇面貼交屏風》、狩野松栄の次男にして、永徳の弟、狩野宗秀筆《柳図屏風》や呉春筆《竹図屏風》も拝見したい。屏風は立ったまま観ることはなかったでしょう、おそらく座して見上げていたと思われます。屏風というジグザグとした特有の形式から観る人の位置によって見える景色、隠れる景色があり、それを考慮して絵師たちは描いたに違いない。


豊臣秀頼の寄進により慶長十年(1605)、法堂です。その後の災禍を潜り抜けて現在では、日本最古の法堂として、桃山時代にできた禅宗様建築です

【開催概要】企画展「屏風 黄金の調度」

  • 会期:2025年10月19日(日)~2026年3月8日(日)

Ⅰ期 10月19日(日) 〜12月21日 (日) Ⅱ期 2026年1月11日(日) 〜3月8日(日)

  • 会場:相国寺承天閣美術館 ⇒
  • 時間:10:00~17:00 (最終入館時間 16:30)
  • 休館日:2025年12月22日(月)~2026年1月10日(土)
  • 観覧料:大人 1,000円/大学生・高校生 800円/中学生 500円/小学生(保護者同伴必須)無料 ※大人20名様以上の場合 800円
  • 相国寺承天閣美術館展覧会サイト⇒

プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
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