東洋陶磁美術館は「大阪の宝」
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- by morinousagisan

特別展「CELADON―東アジアの青磁のきらめき」が大阪市立東洋陶磁美術館で開催中です。会期が長いのでもっと先で出かけようと思っていたのですが、「生誕150年記念 上村松園」@大阪中之島美術館の後期展示へ伺うついでに同じ中之島をお散歩気分でこちらにも早々に出かけてきました。ちょうどお隣のバラ園も見ごろでした。
関西へ帰って来てから繰り返し伺っている、癒されに通っていると言っても過言ではない。「安宅さんの審美眼と安宅コレクションが散逸することなく大阪市に寄贈されて東洋陶磁美術館として出来たことに住友さんにも感謝、感謝」と繰り返す私の感想は読み飽きたとの方もおいでだろうなぁと拝察しつつ。
今回の特別展は、青磁の美しさを、青磁を形容した言葉で分けて紹介しています。形容された四字熟語が素敵です。
コレクション展では、「大阪・関西万博開催記念の企画として「『大阪の宝―MOCOの宝20選』」に選出されたものをたくさんあるコレクション展の中でも特に見所として紹介しています。メインヴィジュアル《青花 虎鵲文 壺》東洋陶磁のマスコット“mocoちゃん”の裏側の木の下で丸まったmocoちゃん、猫でなく虎です。「『大阪の宝―MOCOの宝20選』」の1つです。
東洋陶磁での展示の特色から

1. コレクション展示の11展示室では特別の自然採光で展示作品を観ることができる
《青磁 管耳瓶》HPから「本作は、古代青銅器の形を模した優美な造形に、南宋の龍泉窯青磁特有の「粉青色」が美しく映えている。」貫入も自然光でクッキリ見え、フォルムも釉調も美しい。

2.最新のLED照明で陶磁器本来の釉色を楽しめる
国宝《飛青磁 花生》完璧なフォルム、プロポーション、釉色、釉調。近づいて見ると小さな気泡が無数に見えるとあるけれど見えますか?この気泡が独特の色をつくっているそうです。筆で鉄分を置いた斑点、斑点の色も焼成で変化し一色ではなく、小さいながらも形も違う、そして何よりその斑点の配置加減が絶妙です。鴻池家伝来です。

3.展示ケースの前に木製の肘置きがあり、目の高さで存分に作品と対峙できる
重要美術品の《青磁彫刻 童女形水滴》の女の子でなく、男の子の画像をご紹介。高さ11㎝の水滴、注ぎ口となる鴨をしっかり抱えている姿もカワイイ。

4.回転する展示台があり、全方向から作品を観る事が出来る
正倉院宝物「鳥毛立女屏風」を立体造形にしたような、ふくよかな《加彩 婦女俑》がゆっくり回っている。手に小鳥を載せていたのか、狆を抱いていたのか。足元の結びもカワイイ

5. 国宝「油滴天目茶碗」は独立ケースでじっくり拝見、さらには最新の技術を駆使した装置で、手取りを実体験できます。
いつ行っても出会える国宝なので、この日は独り占め状態でした。
6.なーんといっても国宝も重文もお気に入りも全部撮影OKです。なので、繰り返し伺っている私は、毎回写真におさめているので、同じ作品がドンドンたまっています。好きな作品は同じなんだと思ったりしています。
7.アプリ「ポケット学芸員」でも解説がオンタイムで聴けます、もちろん無料です。
美術館HPの本展についての展覧会構成を引用させて頂き、それにそって写真におさめた画像を選びました。

第1部「青磁至宝(せいじしほう)―中国・韓国の青磁の至宝」
大阪市立東洋陶磁美術館(MOCO)コレクションが誇る国宝《飛青磁花生》をはじめとした中国と韓国の青磁の世界的な至宝10件を紹介する。
オリーブグリーンの青磁《青磁刻花 牡丹唐草文 瓶》シャープな彫りと深い彫りにたまった濃い釉薬の色が美しいですね。

第2部「翡色玲瓏(ひしょくれいろう)Ⅰ・Ⅱ―高麗青磁のきらめき」
「翡色(ヒスイの色)」と呼ばれ、金銀器以上に貴重なものとされた高麗時代の青磁の美しさとその魅力を紹介する。
象嵌なんですよね~。可憐な高麗磁器の魅力が溢れる展示室です。酸化銅の顔料で鮮やかに赤を発色させた辰砂彩、高麗独自の装飾技法です。

第3部「青磁脈脈(せいじみゃくみゃく)―日本の青磁」
日本では古来中国の青磁が尊ばれた。江戸時代に入ると有田で青磁が誕生し、その後各地で作られるようになり、青磁の技術は今も脈々と受け継がれている。日本の江戸時代から近現代にいたる青磁の魅力を紹介する。
鍋島藩窯の品格ある青磁とも思いましたが、意匠が面白い、見ようによっては描かれた大根が若冲の果蔬涅槃図的にも見えるかも。

第4部「青翠如玉(せいすいじょぎょく)―中国歴代の青磁」
越窯、耀州窯、汝窯、南宋官窯、龍泉窯など後漢時代から明時代までの中国歴代の青磁を、当館コレクションから紹介する。
この様な釉薬の色の磁器も青磁に分類されています。見どころはもちろん「金絲鉄線(きんしてっせん)」ともいわれる大小無数の貫入でしょう。器の形は元は青銅器を写して形づくったのでしょうか。
本展は、会期も長く(2025年11月24日(月・振)まで)、展示品は全て館蔵品なので、この先々でもお目にかかれます。東洋陶磁コレクションは、「国宝祭」には引けを取らない「大阪の宝」。他府県人ですけれど。中之島はアートエリアとなり、皆さんが思っている大阪とはちょっと違っているかもです。
開催概要⇒◆