東洋陶磁美で愛でる茶道具
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- by morinousagisan

東洋陶磁美術館(通称:Moco)コレクションの中核をなすのは、皆様もご存じの安宅さんの審美眼で蒐集された中国・韓国陶磁コレクションです。この「安宅コレクション」が住友グループから寄贈されて東洋陶磁美術館が開館となりました。90年代には李秉昌さんから韓国陶磁コレクションが寄贈されて、Mocoコレクションは質量ともに世界屈指のコレクションとなりました。その後もコレクターの嗜好を反映した個人コレクションが寄贈され、核となるコレクションを補完して更に充実したコレクションとなってきました。
『特別展 MOCOコレクション オムニバス―初公開・久々の公開― PART 1』は、初公開や久々のお目見えとなる作品を担当者がピックアップして紹介展示するPART1です。つまりPART2に続いていくようです。
各コレクションをみていきましょう。
第1部(展示1)明器游境(めいきゆうきょう)―海野信義(うみののぶよし)コレクション
古代中国でお墓に副葬するために特別に作られたものを「明器」と呼び、海野信義さんのコレクションは、漢代(前206-220年)から唐代(618-907)の明器を中心とするものです。安宅コレクションの中でゆっくり回っている唐代のふくよかな女性を造形化した俑《加彩 婦女俑》は、私の特にお気に入りの1つなのですが、本ブログでもメインヴィジュアルに海野信義コレクションの中でも勇ましい天王像でなく《加彩 侍女俑》にしました。

第2部(展示2)千秋精粋(せんしゅうせいすい)―白檮廬(はくとうろ)コレクション
卯里欣侍(うさときんじ)さんは、新石器時代から清時代まで通史的に蒐集した中国陶磁を蒐集しました。卯里さんの号「白檮廬」がコレクション名となっています。掲載画像は、漆器の食器台を写した副葬品だそうで、四つの獣脚が駱駝の脚にも見えるのですが、さてさて何の脚でしょう。後ろの1本は後補らしく不安定なため、展示も工夫されています

第3部(展示3・4) 尚用成器(しょうようせいき)―入江正信(いりえまさのぶ)コレクションⅠ・尚用酒趣(しょうようしゅしゅ)―入江正信コレクションⅡ
弁護士だった入江正信さんは、なかなかの趣味人だったようで、書や和歌も嗜まれたそうです。お酒がお好きで「使って楽しい、眺めて楽しい器」こぶりで愛らしい酒器がお好みだったそうです。コレクターの気持ち伝わる酒器がどれもこれも素敵でした。
東洋陶磁と言えば、中国・韓国陶磁の一級品に会いに行く!ですが、今回は、まとまった茶道具の展示がありました。

第4部(展示6)以陶即妙(いとうそくみょう)―松惠(しょうけい)コレクション
寄贈者のお名前は伏せられていますが、コレクション名は、茶の湯に造詣の深かったご両親の名前から一文字ずつとって名付けられました。

お隣でご覧になっていた方が「なんでこんなとこにあるんや!」と思わず叫んでしまわれました「ですよねー」と相槌を打ちたいほどでした。
重要美術品《石山切(伊勢集)》京都の西本願寺に伝わった冊子状の和歌集『三十六人家集』のうち、「伊勢集」を含む2冊が、昭和4年(1929)に分割されて掛軸にされたものです。本願寺の旧所在地である摂津国石山(現在の大阪城付近)に因んで《石山切》と名付けられました。「表装も立派やな」と呟いておいででしたので、全体の画像を掲載しました。
「ノンカウ」の茶碗《黒楽茶碗 銘「埋火」》があり、東洋陶磁で「ノンカウ」とお目にかかる、そしてそのお隣には了入の《赤楽茶碗 銘「かがり火」》銘に「火」があり、お品のチョイスも良い。

「まこも」藤田美で出会った「まこも」と「あやめ」を思いだしました。あちらは黒樂茶碗でした。

野村美へ通うようになってから高麗茶碗に目が惹かれがちな私です。

この辺りまで来ると顔がゆるゆるです。薩摩焼は、薩摩の領主・島津義弘(1535-1619)が文禄・慶長の役の時に連れてきた朝鮮陶工によって始まりました。義弘は織部に見せて評価を受けた上で幕府に献上していたそうです。垂れた釉薬が下に溜まった景色にうーんとなりました。松惠コレクションの茶道具には、茶杓や釜もあるそうなのでPART2でお披露目となるかもしれません。

第5部(展示7)慧眼探美(けいがんたんび)―鈴木正男(すずきまさお)コレクション
朝鮮陶磁器研究者の浅川伯教の娘婿である鈴木正男さんが、伯教旧蔵の韓国陶磁器や伯教が調査研究で描いたスケッチなどの関連資料を寄贈されました。
2011年東洋陶磁で開催された『特別展「浅川巧(たくみ)生誕百二十年記念 浅川伯教(のりたか)・巧(たくみ)兄弟の心と眼-朝鮮時代の美-」』は私の中で強く印象に残った展覧会です。それまで私は浅川伯教・巧兄弟を知らなかったのです。「民藝」という言葉が生まれて100年の展覧会が各地で開催されましたが、それもそもそも浅川伯教・巧兄弟と柳宗悦との出会いがあったからこそです。

会寧や明川の製品は、日本では「会寧焼」として人気を博したそうです。あぁ「海鼠釉」だと思いました。民藝の器にも海鼠釉のものがありますが、この「会寧焼」を倣ったものなのでしょうか。深い釉調が魅力的です。
もちろん、安宅コレクションも李秉昌コレクションもコレクション展に展示されています。国宝も含めいつ伺っても惜しげもなく写真におさめてOKな東洋陶磁美術館で、肘をついてお気に入りの陶磁器を眺めればついつい長居をしてしまいます。