お箱が見たい!箱は語る。
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- by morinousagisan

藤田美術館は、3つのテーマで展示され、毎月1つのテーマが展示替えとなり3ヶ月で全部の展示が替わるシステムです。今月のテーマは、「遊」「虫」「誂」です。今月末で「誂」の展示が終わります。「お箱が見たい!」涼しくなったら出かけようと思っていたのに、「誂」の展示の終わり近くに何とか間に合いました。
「遊」書家・中塚翠涛さんとコラボした展示となっていました。
《縁梨子地松竹花蒔絵飾琴》演奏者から見て、箏の右側(弾く側)が龍頭、箏の左側が龍尾で、両端の豪華で凝った作りも目を奪われるのですが、側面の「磯」と箏の胴体上面「龍甲」の間の細長い部分に施された「源氏香」、木画なのか漆で描いているのか、細部に表現された技にキュンでした。

藤田美の仕切りの壁面に展示されている《色絵古銅三ツ人形蓋置》唐子の蓋置です。私には「か~ごめ、かごめ♪」にしか見えなかった!“カゴメカゴメ”の歌には実はちょっと怖さが潜むと聞いたことがあり、唐子の表情にそれを見た思いがしました。

どうですぅ、この造形。手遊びの光悦ならではの茶碗。すっぽりと手の中へのおさまりもよさそう。両の掌の中でその感触を・・・と妄想してしまいます。光悦の重要文化財《赤樂茶碗 銘 乙御前》とも似ていますね。

あれでもないこれでもないと思案して詰め合わせを楽しむ、小さな茶箱にキッチリ詰めて。小堀遠州所持と伝わる本茶箱には、8つのお道具(五色縞宝入唐物緞子袱紗、象牙茶杓、木地茶筅筒、堆朱屈輪胴張替茶入、唐物文琳茶入、刷毛目塩筍茶碗、宋胡録食籠香合、菊竹蝶文共蓋茶巾筒)が納められています。個人的なお気に入りは「宋胡録食籠香合」です。この茶箱の蓋の布袋を松花堂昭乗が描き、賛は江月宗玩「全てのことに没頭して楽しむという禅語『遊戯三昧』を引用しているとの説明です。後水尾天皇のサロンに集った寛永の文化人がぎゅっと詰まった茶箱です。
岩間政盧作《手遊図刀装具/黒塗木目地脇差拵》おもちゃづくしの脇差拵、こしらえの表にある福助の姿が可愛いと思って裏面に回ればそこに福助の後ろ姿があり「あっりゃー」となりました。頭には餅つく兎、鐺(こじり)にミミズク達磨、見どころ満載の拵でグルグルと目を凝らして見入ってしまいますよ。

豪華なひな人形飾の様な蒔絵の香箱、聞香のセットです。この遊び自体がなんともはぁ~ゆかしくて、「源氏香」はこの遊びに由来します。1つ1つも美しく、一揃いとなってさらに美しい。

9月から始まったテーマ「虫」秋の夜の虫の音に思いを致して、蝶、蜻蛉、鈴虫・・・作品を彩る虫を紹介していました。釜の鐶付は蛾のような「カイコガ」お蚕さんの蛾のようで、絹の糸巻に見立てた釜にとまるカイコガです。地模様に見えるのは五七の桐でしょうか。
《阿蘭陀四方藍画花鳥蜻蛉向付》オランダデルフトで焼かれた器です。懐石で出されたらモダンな模様に目を惹いたことでしょう。

「誂」国宝《曜変天目茶碗》は年に1度はお目にかかれますが、それを収納するお箱は、それも全部ひと揃えとなるとそうそうお目にかかれません。「あやめとまこも」の《黒楽茶碗 銘 まこも》、渋い《刷毛目茶碗》、小ぶりですが油滴がビッシリしかも鮮明な《油滴小天目茶碗》、《真中古野田手茶入 銘 面影》と茶道具も展示されていますが、今回のお目当てはその箱次第です。
お道具を収納する箱は、茶道具だけに限りませんが、それでも所有者が移るごとに、それまで収納されていたお箱も大切にとの思いもあり、これまでの所有者への敬意も込めて、これまでの伝来を丸ごと納めるお箱を誂える。箱書き、つまり箱の表裏の箱書きも語りますが、箱そのものが誰の所持であったかを物語っているのです。マトリョーシカ状態の幾重にも重なるお箱です。

藤田家で誂えた箱は「藤田箱」と呼ばれています。藤田箱でも箱の違いを見れば誰が収集したお品なのかがわかるところも凄い!藤田さんなどは、箱職人がお屋敷に常駐していたのでしょう。数寄者のお宅にはお軸用や仕覆用の裂、古裂の箪笥もあったと言いますから、それを仕立てる職人、お抱えの表具師はもちろんのことだったでしょう。

藤田傳三郎夫人のキタが創案したと説明されている「藤鳥文」は、藤田箱や屏風の裏面、食器類にまでデザインとして使われていました。

今回のお箱、茶道具の次第を拝見して思い出しました!「畠山記念館の名品」@京博でお目にかかった 重要文化財《唐物肩衝茶入 銘 油屋》畠山記念館蔵。不昧公がこの茶入をいたくお気に召して、参勤交代のときも一式を圜悟克勤墨蹟「流れ圜悟」(国宝)と一緒に笈櫃に入れて自分より先を歩かせて共に往来したとのこと、一時も目を離せられない茶道具なのでした。
他の展示作品については、藤田美術館さんのHPの画像をご参照ください。藤田邸跡公園を通りながら、この公園も今は建物さえ見えなくなったかつての太閤園も藤田邸だったんだよなーって思いつつ。次回は向かいの造幣局の桜の咲く頃に伺いたい。
大きな展覧会で覚えていられないほどのお宝を拝見して後半にヘトヘトになるよりも、私には藤田美さんや野村美さんや大和文華館サイズがちょうどいい。お財布的にもありがたい。
- 藤田美術館 https://fujita-museum.or.jp/
- 開館時間:10:00~18:00
- 休館日:12/29~1/5 ※月曜日開館しています!
- 入館料:1,000円(19歳以下無料)
- お問い合わせ:06-6351-0582