5.0
企画展示+特集展示=大満足!
若干タイトルが壮大かなとは思いますが、時代を追って様々な作品が展示されることで、自分の好みがよくわかります。
石井柏亭の『柳ばし』、橋口五葉の『長襦袢の女』、小早川清の『市丸』あたりは美人に見入ってしまって、なかなか次に進めませんでした(笑)
最近よく見かける靉嘔の作品も面白かった。54枚のパーツをつなげて1つの作品に仕上げた『レインボー北斎 ポジションA』は、パーツの間に微妙な隙間があって、味なのか不具合なのか、そんなことを考えるのも楽しい。
それと、版画展なのに蔦重に寄せていないところも好感です。これから東博や千葉市美で蔦重展があるので、一線を画す意味でも面白いですね。
そして、特集展示「ふぞろいの版画たち」が企画展示以上に面白かった!版画のステート(刷りの段階や状態)の違いがわかる作品が展示されていて、時間の経過と作者の思考の変化がわかる画期的な企画です。
特にピカソの『ダヴィデとバテシバ』で8つのステートを並べたのは見応えがありました。最初はラフ画みたいなのに、描き込み(彫り込み?)が進むとダヴィデの顔が好色で邪気のある表情に変わり、女性たちの佇まいがよりピカソ風に変化していく様がはっきりと見て取れる。8枚の作品の前を何往復もしてステートの違いを楽しみました。
ヨルク・シュマイサーの『彼女は老いてゆく』は4枚連作。こちらは女性の横顔と背景の色合いで老化を表現した容赦のない作品。成長と思いたいけれど、20歳くらいから先は老化なんだなぁと実感します。
洋物の版画はあまり得意でないはないんですが、この特集展示はオススメです!