人間性の追求=版画の目指すもの
町田駅から国際版画美術館への道のりが不安だったため、送迎バスを利用して会場に向かいました。乗車時間は短時間でしたが、幾度か曲がり、急な坂道もあったので、やはりこの方法が良かったと思いました。
今回の展示品を鑑賞しているうちに…readmore
美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ - 日本全国 292 の美術館・博物館と 665 の開催中&開催予定の展覧会をご紹介中!
写真の発明は世界を大きく変えました。とりわけ大きな影響を受けたのが、何世紀にも渡ってイメージを写し伝えるという同じ役割を担ってきた版画です。
19世紀の版画と写真の関係は、これまで対立ばかりが語られてきました。しかし大量印刷ができず撮影に長い時間を要すなど技術的に不十分な点が多かった初期の写真には、版画によって支えられる部分も多く、両者は補いあう関係でもありました。やがて写真が技術的にめざましく発展していくなかで、両者は競いあいさまざまな表現を生み出していくことになります。
本展は世界初の写真術であるダゲレオタイプが公表された1839年を起点に、写真の技術が向上し印刷技術として実用化されていく19世紀末まで、版画と写真が支えあい競いあった関係を探るものです。ヨーロッパを中心に、版画と写真に加え、カメラや撮影機材をはじめとする関連資料180点を紹介します。
会期 | 2022年10月8日(土)〜2022年12月11日(日) |
---|---|
会場 |
町田市立国際版画美術館
![]() |
住所 | 東京都町田市原町田4-28-1 |
時間 |
10:00〜17:00
(最終入場時間 16:30)
|
休館日 |
月曜日 10月11日(火) ※ただし10月10日(月・祝)は開館 |
観覧料 | 一般 900円(700円) 大・高生 450円(350円) 中学生以下 無料
|
TEL | 042-722-3111(町田市代表電話) |
URL | http://hanga-museum.jp/ |
町田駅から国際版画美術館への道のりが不安だったため、送迎バスを利用して会場に向かいました。乗車時間は短時間でしたが、幾度か曲がり、急な坂道もあったので、やはりこの方法が良かったと思いました。
今回の展示品を鑑賞しているうちに…readmore
4.0
タイトルにある「1839-1900」の1839年は写真技術が公開された年で、1900年は写真が技術的に安定して芸樹的な写真を指向するようになり、版画のライバルのようになってきたあたりを示しているようです。
つまり、写真が登場して、如何にして版画に対抗するようになったか、そして、版画の方も写真に対抗するために、いろんな技法が登場して、文字通り切磋琢磨していたことを作品を通して解説しています。写真に興味がある方にも、版画に興味のある方にも楽しめる内容かと思います。
以下、今回の展示で知ったことですが
・写真が登場したときは焼き増しできない金属板写真ため、焼き増しのために版画が用いられた。
・写真技術が発展して焼き増しが可能になると、複製版画という分野から版画は撤退することになり、ここから版画ならでは美術表現を模索するようになる。つまり現在の版画作品は写真がなければできなかった。
・見た目は写真のような版画方式でしかもカラー対応のバクステロタイプという方式が1954-55年に登場したが失敗に終わった。つまり写真の登場にあわせて、版画の技術革新も起きた。
といったところです。
ちなみに会場はほぼ撮影可というのはありがたい。
4.0
芹ヶ谷公園内、緑豊かな地にある町田市立国際版画美術館へ。
版画と写真、両面から焦点を当て、その役割を追っていく少し勉強になる展覧会。
イメージを写し伝える、と言う共通の役割を持つ両者は
互いに競い合い、そして補い合う関係であり、目覚ましく
技術が発展していった、…。ざっくり言うとこういった内容です。
館内最初にあるのは ダゲレオタイプ 。???
いきなり聞きなれない言葉でたじろいだが、世界初の写真技術であるとのこと。
鏡面の様に磨かれた金属板に写し出されている。
撮影可能であったので、この写真はおもしろいと思い、カメラを向ける。
鏡面の様に磨かれているので、反射してなんも写らんやんけっ!、と一人で
心の中でつっこんで、次へと進むのであった。
写真や版画には様々な技法、手法があり、それらが逐一丁寧に説明されている。
専門用語が多くて少々理解するのに難儀する。
展示室入り口で版画の技法を説明した資料を貰えるので
そちらを参考にした方がよいと思う。
圧倒的に説明書きを読んでいる時間の方が長い、珍しい展覧会だった。
あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する
より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿は、
こちらから。ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する
周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
東京都町田市で開催中の展覧会
オノレ・ドーミエ 《写真術を芸術の高みにまでひきあげるナダール》、1862年、リトグラフ、国立西洋美術館
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《写真家セスコー》、1896年、リトグラフ、国立西洋美術館
ダゲレオタイプ制作のための処理用具、1845年頃、横浜市民ギャラリーあざみ野
ジルー・ダゲレオタイプカメラ、1839年(後年のレプリカ)、横浜市民ギャラリーあざみ野
マシュー・B・ブレイディ・スタジオ《二人の子ども》、1855年頃、ダゲレオタイプ、横浜市民ギャラリーあざみ野
ノエル・ぺマル・ルルブール『ダゲリアンたちの世界旅行』より、1840-43年、銅版画、個人蔵
※ダゲレオタイプを銅版画で複製したもの。ルルブールは世界各地で撮影したダゲレオタイプをこのような版画にして 『ダゲリアンたちの世界旅行』という画集にして出版、大きな評判を得ました。
カミーユ・コロー《乙女と死》、1854年、クリシェ・ヴェール、町田市立国際版画美術館
※クリシェ・ヴェールはガラス板に描画し、印画紙に焼き付ける、写真と版画のハイブリッドな技法。
ジョージ・バクスター《磔刑(大)》1855年(1868年頃刷り)、バクステロタイプ、東京工芸大学中野図書館
※一見写真に見えますが、実は銅版と木版を組み合わせた版画。バクステロタイプとは発明者バクスターが自分の名にちなんでつけた名称です。
ギュスターヴ・ル・グレイ《海景》、1856-59年、鶏卵紙、東京都写真美術館