彫刻刀が刻む戦後日本
2つの民衆版画運動

町田市立国際版画美術館

  • 開催期間:2022年4月23日(土)~2022年7月3日(日)
  • クリップ数:24 件
  • 感想・評価:1 件
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青森県八戸市立湊中学校養護学級生徒(指導:坂本小九郎)『虹の上をとぶ船・総集編(2)』より《天馬と牛と鳥が夜空をかけていく》1976年、木版、五所川原市教育委員会蔵(写真提供:青森県立美術館)
※本作は、宮崎駿監督映画「魔女の宅急便」の劇中画にインスピレーションを与えました。
魔女の宅急便 © 1989 角野栄子・Studio Ghibli・N
鈴木賢二《署名》1960年、木版、915×910mm、町田市立国際版画美術館蔵
上野誠『ヒロシマ三部作』より《男》1959年、木凹版、510×320mm、町田市立国際版画美術館蔵
小口一郎『鉱毒に追われて』より《治水か破水か》1972年、木版・ポスターカラー、450×710mm、小口一郎研究会蔵
小林喜巳子《私たちの先生を返して ―実践女子学園の斗い―》1964年、木版、530×1000mm、個人蔵
滝平二郎『裸の王様』より、1951年、木版・謄写版、352×253mm、町田市立国際版画美術館蔵
©JIRO TAKIDAIRA OFFICE Inc.
京浜絵の会『版画集』第二集表紙、1955年8月、木版・謄写版、260×180mm、個人蔵
東京都府中市立府中第八小学校6年生20名(指導:前島茂雄)《新宿西口駅前》1970年、木版、900×1800mm、府中市立府中第八小学校蔵
神奈川県川崎市立東大島小学校版画クラブ6年生12名(指導:浪江年博)《造船所》1968年、木版、1800×900mm、川崎市立東大島小学校蔵
石川県羽咋郡志賀町立下甘田小学校(指導:前田良雄)《版画と詩 百姓の子》1959年3月10日、木版・謄写版、246×180mm、志賀町蔵 
青森県八戸市立鮫中学校版画クラブ(指導:坂本小九郎)《するめの出来るまで》1960年11月、木版、373×270mm、志賀町蔵
岩手県江刺市立梁川中学校2年A組(指導:山内茂)『南部の民話版画集 絵姿女房』1967年12月再刊、紙版・謄写版、245×360mm、志賀町蔵
新潟県柏崎市立枇杷島小学校(指導:藤巻金一)《はんがの指導 作品・実践・計画》1956年3月1日、木版・謄写版、253×180mm、志賀町蔵
神奈川県川崎市立旭町小学校3年1組(指導:掛樋進)《ごんぎつね(原作:新美南吉)》1960年12月20日、紙版・実物版・謄写版、400×270mm、志賀町蔵
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この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

子どものころ、学校で版画を作ったことはありますか?

日本の多くの学校で版画を学ぶのは、戦後の文化運動と深い関わりがあります。中心となったのは「日本版画運動協会」と「日本教育版画協会」という2つのグループ。どちらも民主主義への参加を呼びかける民衆文化運動が活発だった1940年代後半から50年代に誕生しています。当時の時代精神を背景に、版画を作ることで誰もが表現の主体となることを目指しました。

「日本版画運動協会」のメンバーに強い影響を与えたのは、半植民地化された中国を憂えた魯迅が主導した中国木刻(木版画)でした。敗戦間もない1947年、中国木刻が紹介され大きなインパクトを与えると、感銘を受けた人々が各地で巡回展を開き、版画熱が全国に伝播。1949年には「日本版画運動協会」設立に至ります。主要メンバーは飯野農夫也(いいののぶや)、上野誠(うえのまこと)、大田耕士(おおたこうし)、小口一郎(こぐちいちろう)、鈴木賢二(すずきけんじ)、滝平二郎(たきだいらじろう)、新居広治(にいひろはる)、油井正次(ゆいまさじ)らです。

彼らプロの作家だけでなく全国のアマチュアも版画運動に加わり、労働運動、農民運動、平和運動に寄り添った作品を制作しました。同時に、当時注目された「生活綴り方(作文)」の文化運動を版画に応用した「生活版画」を打ち出し、暮らしの実相を描く作品の制作もしました。版画の複数制作の利点を生かして、社会運動の手段にも用い、また海外に作品を送って交流することも盛んに行われています。

1950年代後半に組織的な活動が途絶えた後、多くのメンバーはライフワークとなるテーマをおのおの追求しました。広く人気を博した滝平の切り絵の新聞連載や『モチモチの木』などの絵本もその一つです。

一方、日本版画運動協会設立メンバーの一人である大田耕士は、会メンバーや恩地孝四郎、平塚運一らの協力を得て1951年に「日本教育版画協会」を設立。小学校教員だった経験を活かし、学校教育で版画を普及し、教員と子どもが主体の民衆文化運動を目指します。

大田は初め生活綴り方に熱心な教員に呼びかけ、学級文集の挿絵で版画を推奨します。参加教員が多様になるにつれ絵が文集から独立し、子どもたちが取材した地域の生業・歴史や民話採集を題材に、版画集・大型作品を共同制作することにも発展。紙版画などの造形の遊びを考案して幼児にもすそ野を広げていきました。この影響で1958年には版画を制作が小学校全学年の学習指導要領に加わり、汎用的なカリキュラムが出来上がると同時に、熱心な教員によるユニークな教育実践も行われ続けます。これにより教科を横断する内容と集団活動で子どもの人間形成を目指す「教育版画」という日本独自のジャンルが確立していきます。

本展では約400点の作品と豊富な資料を通して、知られざる2つの民衆版画運動の全貌に迫ります。

開催概要EVENT DETAILS

会期 2022年4月23日(土)~2022年7月3日(日)
会場 町田市立国際版画美術館 Google Map
住所 東京都町田市原町田4-28-1
時間 10:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
  • 土日祝 10:00~17:30(入場は17:00まで)
休館日 月曜日 
観覧料 一般 900円(700円)
大・高生 450円(350円)
中学生以下 無料
  • ※( )内は20名以上の団体料金
    ※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は半額
    【無料日】展覧会初日:4月23日(土)
    シルバーデー(65歳以上の方は無料):毎月第4水曜日(4月27日(水)、5月25日(水)、6月22日(水))※状況により中止
    【割引】「私も版画家だった」割引、リピーター割引、ウェブクーポン割引ほか、各種割引を実施(詳細は美術館の公式サイトをご確認ください)
    【無料送迎バス】会期中の土日祝日・シルバーデーは町田駅前から無料送迎バスを運行
    詳しくは美術館の公式サイトをご確認ください
TEL042-726-2771
URLhttp://hanga-museum.jp/exhibition/schedule/2022-512

町田市立国際版画美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

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感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

5.0

戦後木版画の広がりと奥深さ 身近な世界の表現方法としての版画の楽しさを実感

 子供の頃に学校で彫刻刀を使った記憶はありましたが、木版画がこんなに身近な表現方法として存在していたのかと、驚きと感動の展覧会でした。中国から伝えられた身近な方法としての木版が、当時の日本人に広がり、専門家だけでなく、多くの子供や大人に、日常の仕事や生活風景を素朴に表現する手段とし広がった事を知りました。
 特に驚いたのは小学校や中学校のクラブ活動で制作された、畳一枚より大きい作品を多くの生徒達が共同で制作した作品でした。一枚の作品の中に1つの世界を構想し、細部まで丁寧に彫り、そして美しく刷り上げた事が想像できます。
 木版画は、木を彫刻刀で削るという、緻密にも、繊細にも、荒々しくも表現できる方法として、多くの普通の人々の、素直で素朴な作品を生み出せたのだと感じました。

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魔女の宅急便 © 1989 角野栄子・Studio Ghibli・N

鈴木賢二《署名》1960年、木版、915×910mm、町田市立国際版画美術館蔵

上野誠『ヒロシマ三部作』より《男》1959年、木凹版、510×320mm、町田市立国際版画美術館蔵

小口一郎『鉱毒に追われて』より《治水か破水か》1972年、木版・ポスターカラー、450×710mm、小口一郎研究会蔵

小林喜巳子《私たちの先生を返して ―実践女子学園の斗い―》1964年、木版、530×1000mm、個人蔵

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