嗚呼、しかし何という眼なのだろう
本展は幾つかのサイトで詳しい紹介がされていますので、敢えて付け足すべきことはあまりないのですけど、まだ触れられてない(と思われる)ことが一点あるのでそれについて書いておこうと思います。
今回展示されている窪俊満の肉筆浮世絵…readmore
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「黒」は何にも染まらない特異な色といえます。日本絵画において、古くから欠かすことのできない要素の一つでした。多くの人が絵を楽しむようになった江戸時代には、絵画表現が広がり、黒は多様に用いられるようになりました。本展覧会では黒に焦点を当て、江戸絵画にみる黒の表現とともに当時の文化や価値観なども紹介します。
黒と聞いて夜を思い浮かべる人も多いでしょう。月夜の情景や人々の暮らしの様子といった夜を描いた作品の中でも、影や暗闇などの描写に注目し、黒がどのように用いられたのか探ります。また、背景を黒く塗り込んだ作品や、黒を基調とした「墨彩色(すみさいしき)」「紅嫌い(べにぎらい)」と呼ばれる趣味人たちに好まれた浮世絵などから、それらが何を象徴するのか検証します。
暗闇の中でわずかな灯りとともに作品を鑑賞するコーナーでは、普段の美術館では味わえない金屏風の柔らかな輝きによる美しさをご堪能ください。
江戸時代の人々は黒に対して何を見出し、何を感じていたのでしょうか。様々なテーマから江戸絵画における「黒」について探究し、その魅力に迫ります。
会期 |
2025年3月8日(土)~2025年4月13日(日)
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会場 |
板橋区立美術館
![]() |
住所 | 東京都板橋区赤塚5-34-27 |
時間 |
9:30~17:00
(最終入場時間 16:30)
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休館日 | 月曜日 |
観覧料 | 一般 650円 大学生 450円 高校生以下 無料
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TEL | 03-3979-3251 |
URL | https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4001836/4001855.html |
本展は幾つかのサイトで詳しい紹介がされていますので、敢えて付け足すべきことはあまりないのですけど、まだ触れられてない(と思われる)ことが一点あるのでそれについて書いておこうと思います。
今回展示されている窪俊満の肉筆浮世絵…readmore
4.0
この展覧会、皆さんの評価がたいへん高いので、気になって会期ぎりぎりになって観てきました。
確かに黒というテーマで様々な闇、影、髪、墨などを取り上げ、おもしろい企画構成に仕上がっています。
江戸時代の日本人の美意識、センスを再発見できる内容でもありました。
企画力で勝負する板橋区立美術館、さすがですね。
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墨だけで何でこんなに表現できちゃうんだろうか…。すごいなぁ、しか言葉が出てこなかった。ぼかし方が素晴らしかった。
金屏風の部屋はいつまでも居られた。
年度末になると板美が気になります。毎年毎年、なかなかの好企画展を3月に持ってきますから。
今回もタイトルからしていいじゃないですか。"Edo in Black" なんてカッコいい響きでしょう。
3月の上京時、最初は行こうかどうしようか迷いに…readmore
4.0
季節がら 其一の<暁桜夜桜図>が
一番でした
薄墨の夜桜 薄紅の暁桜
いつまでも見ていたい
最後の部屋は暗がりの中に浮かぶ
狩野了承<秋草図屏風>だけ
揺らぎと明るさを操作できる装置があります
なるほど昔は自然光と夜は蝋燭
なかな良い演出でした
来館前に 近くの乗蓮寺にも寄ってみました
桜越しの大仏さまはとても良かったです
5.0
「色に焦点を当てて作品を選考する企画展」をあまり見ないと思います。
それを江戸時代の黒に絞り、企画展名を日本名にせずに「エド・イン・ブラック」とし、それに合うスタイリッシュなポスターにしたことなどに、板橋区立美術館のセンスを感じます。
当然、会場全体の色味は、黒~灰色メインになるのですが、長沢芦雪の「雪竹図」のようにユニークなものや伊藤若冲「瓢箪」や東東洋「梅・糸瓜図」のようにデザイン性の高いものなど、描かれる題材は色々なので、飽きることはありません。
そして、とても好きな鈴木 其一の作品「暁桜夜桜図」。夜明けの時間帯の桜と夜の”影絵状態”に見える桜の絵が一対となったもの。図録では「夜桜はシルエットで描かれているため、この一幅のみでは桜だと気付かないだろう」と書かれていますが、気づきます。黒の濃淡のみで夜桜を見事に表現する其一の画力に、改めて感動しました。
展示会場の最後の部屋で、狩野了承「秋草図屏風」を蠟燭を模してゆらぎをつけた電球の灯りで鑑賞するという体験は、おそらく誰も観たことがないでしょう。黒・夜を題材とした企画展の最後にふさわしいし、この機会に観れて良かったと思いました。
5.0
本展、すばらしいです。地域公立美術館の展覧会の範たる企画ではないでしょうか。
まず、フライヤ、チケットからしてセンスが光ります。
淀川の夜景を描いた伊藤若冲《乗輿舟》をデザインしたものですが、黒の深みやグラデーション部分のざらざらした質感、たまらない。
展示作品は数点を除いて借りもの、しかも約半分が個人蔵です。鑑賞機会が少ない作品も多いことでしょう。テーマに沿って流れるような展示構成に出来上がってます。よく集めたもの、脱帽です。
心に残った作品を幾つか挙げるなら、
・狩野了承《二十六夜待図》の描く一面黒諧調の闇、
・長沢芦雪《月竹図》のひょろ長い構図、
・歌川豊春《二美人図》・窪俊満《砧打ち二美人図》等の黒い美人画(黒彩色・紅嫌い)の味わい、
・狩野養信・歌川国貞《鐘道と美人画》の異流派コラボ、
この辺りは個人蔵作品でした。
暗闇の中で蝋燭の時代に金屏風絵がどのように見えたのか、を体験する企画も「なるほど」の実感あり。金ピカの六曲一双屏風、狩野了承《秋草図屏風》を暗室に置き、「ゆらぎ」と「光の強さ」を観る者が調節して見させる展示方法でしたが、淡い光に秋草が影となって揺らぎます。風情豊か、エモーショナル。
コンセプトの統一感あり、センス良く、珍しい珠玉の良作を配しての、超かっこいい展覧会に大満足でした。
5.0
区民は勿論区外からも根強い人気がある板美。今回、改めて江戸絵画展示に定評がある訳を実感しました。展覧会切り口は勿論、全国から逸品をチョイスした感じです。名品や奇想の系譜に属する名品が水墨画、肉筆浮世絵、墨摺絵、錦絵、漆絵、拓本版画等々多岐にわたり興味深いラインナップです。平日に行きましたが大盛況で海外の方もグループでお見受けしました。個人蔵の優品多数掲載の展覧会図録は買いですね。コスパも良いオススメ展覧会
4.0
この時期にイタビに来るとあぁ春だなぁと感じますね。
ブラックをテーマに黒、夜、影、墨、闇を描いた作品が並ぶ展覧会です。
個人蔵多数、それに関西のミュージアムからも出品があるのが関東民として嬉しい。
長沢芦雪《月夜山水図》 兵庫県立美術館
与謝蕪村《闇夜漁舟図》 逸翁美術館
鈴木其一《暁桜夜桜図》 黒川古文化研究所
お気に入り3点もすべて関西ミュージアム所蔵。カッコイイ。
他にも伊藤若冲、歌川豊春、喜多川歌麿、鳥文斎栄之、月岡芳年、森一鳳(星図!)など
人気作家や初見の珍しい画題の作品も多く観られて良かったです。
金屏風を暗がりの展示室で蝋燭を模した照明でゆらぎ明るさを調整しながら鑑賞出来るのも面白い。
イタビの江戸絵画展はすっかりお馴染みになっていて結構観客が来ていましたね。
公園の梅もまだまだ見頃。江戸絵画好きにはかなりオススメです!
5.0
もともと展覧会は学芸員のセンス比べみたいなものですが、今回の展示は黒が基調というだけではなく、「あの人がこんな絵を?」という作品が多く、ラインアップがカッコよかったですね。
そのうえ、今回はいつもお世話になっている古美術商さんと一緒だったので、専門家の解説付きで楽しみました。
墨江武禅の「月下山水図」は木の描き方が斬新で、他では見たことのない表現。
月岡芳年の席画は線が太くて勢いがあって、マジックペンでも使っているような筆致が面白い。
狩野養信と歌川国貞のコラボ作品は画風の違いと鍾馗・美人・鬼の位置取りがマッチしていて、微妙な調和が取れている。
黒彩色では女性の肌の白さや着物の質感が際立って、肉筆画が新鮮に見えるし、抱一と其一の黒い琳派も見応えがある。
この展覧会、めっちゃ好きですね。
最後にろうそくの灯りを再現できる照明を使って、当時の屏風の見え方を体験できます。これは、金屏風をキンキラで派手すぎと思っている人にぜひ見てほしい。あのくらい金箔を貼らないと、夜の暗さに負けて絵は見えません。黒い金屏風は必見です。
5.0
初めての訪問。
外観はシックな黒檀色。
展示内容も、黒。
チケットも、黒。
なかなか粋。
色名から物を連想させるのは、日本が一番優れた文化だと思っているので、期待以上に面白い展示でした。
地域の美術館や博物館の方が、面白い展示をしているような気がする。気のせいかなー。
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狩野了承《二十六夜待図》個人蔵
伊藤若冲《乗興舟》(部分)千葉市美術館
亜欧堂田善《品川月夜図》神戸市立博物館