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洋風画という不思議な日本画と謎のコレクター歸空庵の全貌
歸空庵コレクションって名前が前から気になっていた。秋田蘭画とか司馬江漢、亜欧堂田善などの展覧会で、作品の所蔵元として必ず見る名前です。その歸空庵のコレクションから選りすぐった作品を展示する、とのことで、1時間以上かけて板橋区の奥まで行ってきました。この美術館には、来場者を迎える幟(のぼり)があって、そこには「遠路 おつかれさまです」とありました。
洋風画は桃山時代にキリスト教伝来に合わせて広がるのですが、禁教でいったん途絶え、江戸中期に蘭学の普及で再度、描かれるようになります。今回は桃山時代の作品として全12点の《西洋風俗図》を見せて、あとは江戸中期以降の作品を展示してます。その後は秋田蘭画と司馬江漢、次に石川大浪(1762~1817)と孟高(1763~1826)兄弟の作品と西洋医学の肖像、最後に風景画を見せてくれました。
印象深いのは、蘭学の広がりに合わせて、蘭方医や蘭学者に需要があったという、ヒポクラテスの肖像画。例えば円形の枠の中にヒポクラテス像が描かれていて、枠の周りを天使が取り囲んでいる、というモノ。あと石川大浪と孟高の作品も◎。
そして歸空庵ですが「きくうあん」と読みます。「歸」は「帰」の旧字体です。歸空庵という号は陶淵明の『歸園田居』から採られているそうです。コレクションは板橋区立美術館に寄託されていて現在248件あるそうです。コレクションは「2004年に当館では『日本洋風画史展』を開催し、全171件を一挙公開しました」とのこと。今回は新規に寄託された作品も含めて、選んでいる。この辺から、まだ増える、あるいは、生きているコレクションと言えそうです。
さて、今回は板橋区立美術館のコレクション展示でよくあるように無料です。そして全て撮影可、そして展示替えなしです。