4.0
壮大な連想ゲームの果てにあるもの
水戸芸術館の英語表記はArt Tower Mitoで、略してATM。そこから始まる連想ゲームのような展示。なんとなくそれぞれの関連性が低めの句集とか歌集のような展示という気もする。そして、この展示は、最低2周まわらないと分からないように作られている。ちなみに、田村友一郎の作品は何度かグループ展で見たことがあって、まとまった作品を見るのは初めてです。
まず、1周目、展示スペースに入ると、最初の展示室はほぼ何もなく、壁の中央にAAAからAZZまでの三文字、26×26=676個が白い壁に黒くプリントされていて、部屋の奥に銀行にあるようなものとは違うけど、ATMのような液晶パネル付きの端末がある。そこそこ広いスペースにあるのは、その2つ。どうなっているのか、よく分からない。なんと言っても、出展リストがない。さてどうする?
とりあえずATMのようなモノの前に行って見ると、液晶タッチパネルがあってアルファベットを三文字、入力できるようになっている。入力して「ENTER」を押すと、白い感熱紙にテキストが印刷されて出てくる。内容は入力した三文字を頭文字にしたテキストが3つ、日本語とその英文訳がある。どうやら、これが生成AIを使った作品のようです。
次の部屋ではBとNで始まる三文字のアルファベットに係わるモノが展示されている。ただ、分かるモノと分からないモノがある。とまあ、そんな感じで、進んでいくのですが、展示スペースを前へと進んでいくと、展示の密度が上がっていくのが面白い。そして、水戸芸術館でユニークな、長い廊下のようなスペースは倉庫のようになっていて、かつ照明を落として暗くなっている。廊下に入るまでは密度低めの展示が、廊下に入ったとたん高密度になるのがいい感じ。そして、廊下を抜けると、急にスッキリした展示に変わる。銀行のカウンターらしきものが配置されていていて、ここでようやく展示作品のリストと解説が渡される。そしてよく分からないQRコードの塗り絵のようなカードももらえるのだけど、後で塗り絵を試してみたけど、なかなか面白い。
ここまできて、やっと2周目に突入。解説を読みながら、そういうことね、とか、読んでも分からんとか思いながら展示を解読していく。これが楽しめるかどうか、私は楽しんだけど、どうなんだろう。さて、写真撮影はOK、展示替えはなさそうで、図録は制作中。ちなみに図録は666ページだそうで、会期中刊行予定としている。本当かな。