4.0
浮遊する、あるいは回転する彫刻
関東では初の個展だそうです。確かに今村源の作品は、大阪の国立国際美術館で見たことがあるし、宮城県石巻市で開催された「リボーン アート・フェスティバル 2019」を紹介した写真でも拝見した覚えがある。どちらも2019-2023年の作品で《きせい・キノコ》というタイトルでした。針金で作られたキノコの立体作品で、そこそこ大きい。空中に飾って、下から仰ぎ見るような展示なので、ある程度の大きさと密度がないと形が分からなくなるような作品です。浮遊する彫刻とでも表現するしかない独特の世界。特に針金を使うようになった、2010年以降の作品は、軽くて隙間だらけで、吹けば飛びそうなんだけど、たぶん壊れないし、飛んで行かない。そんな感じです。
今回は、1997年の作品、つまり初期の作品から始まって、現代の作品に至る様子が分かるようになっている。徐々に軽く、粗くなって行くのが面白い。そして2006年の作品からモーターと小さなプロペラを使って回転する作品も登場する。素材が軽いから回転するのだろうが、ぱっと見は軽そうに見えないので、意表を突かれる。
ちなみにタイトルの「遅れるものの行方」の意味は分かりませんでした。図録を購入すれば、何か分かるのかもしれませんが、図録の出版は来年の模様。