4.0
「裸婦の楢重」です。
最後の部屋「ハイライト 楢重の裸婦」が圧巻でした。
7枚の裸婦像画。ブルーグレーの暗い壁3面が、金色の額縁で切り取られ、7人の裸婦の温かみある肌が活き活きと映えます。いずれも40歳代の晩年近くの作品。画風の変遷を経て辿り着いた晩期スタイルは堂々たる趣きです。楢重が目指したのは、西洋的な理想美ではなく、日本人としての美意識に合致する肉体美。黄色味の艶のある肌、顔を描かない(ぼやかしや、横・後向きのポーズ)、といった作画がその一端であり、この美意識には素直に共感します。とはいえ、マチスの影響は随所に感じます。
東京美術学校の日本画に入り、途中で西洋画に転向という。やや回り道の画業スタート。30歳を過ぎた時期、二科展初出品入賞の出世作《Nの家族》(重文)は、その横に並ぶ3カ月前制作の《芸術家の家族》と較べて熟覧すると、妻子を養うべく必死に賞取りを狙ったような作り込みがあり、実に面白い。ホルバインの画集、セザンヌ風の果物静物、背景の壁に飾られる自画像、等々。必死さと気概がひしひしと伝わってくるので、受賞出来て良かったですね、と観者の私も嬉しくなります。
本展では、ガラス絵や本の装丁など、多彩な活動ぶりが紹介されています。そこで登場する「n」の文字デザインが、本展のロゴのように使われていて、気に入りました。A3紙二つ折りのチラシも私好みで素敵。府中美術館の「推し」度合いが一段と高まりました。











