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中国「内画鼻煙壺」、凄いです。
最初のコーナーでは、日本ではあまり知られていない「嗅ぎたばこ」について、その歴史や人々が嗜む様子を、文献や版画、写真や参考図版などを通して紹介されています。
嗅ぎたばこを保管・携帯する容器は「嗅ぎたばこ入れ」とよばれ、形も材質も色々なタイプのものがあったようですが、それらが展示されています。小さなものなのにとても凝った意匠で、観ごたえあります。代表的なものは「スナッフボックス」と「スナッフボトル」だそうで、ヨーロッパ上流階級が多く使ったのが箱状の「スナッフボックス」。多くが美しい金台エナメル仕上で、エナメル絵画や金台の装飾がとても見事でした。磁器製のモノや金属製や木製、象牙製もあり、瑪瑙製銀縁なんて言うのもありました。嗅ぎ煙草がステイタスだったことがうかがわれますが、私は大事なアクセサリー入れにしたいなどと思いながら観ました。一方「スナッフボトル」は瓶状または壺状で、中国で鼻煙壺(びえんこ)と呼ばれ大変流行したようです。陶磁器製、ガラス製、象牙製、金属製など、何れも小さい物なのに見事な装飾がされていました。被せガラス技法の作品も美しいのですが、特に驚かされたのが、ガラス、水晶、琥珀のような透明な容器の内側に絵や文字を書き色彩を施す技法の「内画鼻煙壺」作品たちです。今日では中国細密工芸を代表する美術工芸品として、鑑賞用に数多く製造されているのだとか。会場内でガラス内画鼻煙壺の作家さんの製作の様子がVTR紹介されていましたが、絵師は内径およそ5㎜程度の壺口から小さな筆先がL字に曲げられた特殊な筆を入れ、多種多様な美しい絵を描く、中には文字が描かれているものもありますが、当然ながら左右逆の鏡文字で書かなければできません。まさに驚愕としか表現しようが無いとんでもない超絶技巧で、本当に感動でした。現在内画技法は、中国の第1次国家級無形文化遺産に登録されているのだとか。11月24日にはVTRの方のお弟子さんが実演にも来て下さるのだとか。もう少しアクセスの良い場所にあれば、また来たいと思うところなのですがね。