4.0
用の美の世界、伊達男伊達女たちのおしゃれ必須アイテムが面白い。
今回も「たばこと塩の博物館」さんは、私好みの工芸系で凄く嬉しいです。
今展は、日本橋の袋物商・井戸文人(1874~1923)が著した袋物に関する日本初の通史『日本囊物史(1919年)』に沿いながら、江戸・明治・大正、そして昭和前期くらいまで、和装にはなくてはならない袋物の歴史をたどり展覧してくれています。「たばこと塩の博物館」ですからもちろんお得意の「たばこ入れ」を中心とした、様々なジャンルの袋物や付随の根付に金具類に緒締の珠などの部品、意匠も合わせて共に持たれた煙管入れや脇差、絵画資料や書籍など前後期(展示替え有)合わせて約300点の作品がずらり!!です。2016年に寄贈になった袋物(山本コレクション)も観ることが出来ます。流行の変遷に、時代時代のこだわりの美意識、様々な素材、様々な分野の職人が関わる手仕事の数々で、職人の技術が垣間見え、細部にわたる魅力が楽しめ、みどころ満載です。「袋物商は、いわば商品プロデユーサー」と言うことだそうで、色々な手を経て組まれ出来上がった商品ならではの魅力を感じます。また、人々のしゃれっ気や遊び心の隠しを見るのも楽しいです。小さな火打袋の中に、底を少し丸くしてアイボリーの奇麗で細かなドレープのある品がありましたが、これの口ひもを引くとまるでホタテ貝で、何でもないことですが、おっしゃれ~ですね。それから、からくりもあります。《引出し付き一つ提げたばこ入れ(個人蔵/引出しの中には象牙と竹で出来た薬さじが入っています) 》がとても素敵でした。袋物ではないですが、たばこ入れ専用のからくり簞笥(八代目桂文楽旧蔵コレクション/池之端・京屋での誂え品。キセルの段とたばこ入れの段に分かれていて、容易に引き出しを開けられないようなからくりが仕掛けられているのだとか)、なんてモノも展示されていました。洋装時代のハンドバッグやベルトのバックルなどもありました。彫金士鈴木春盛の図案集と、その中にあるカブトムシのバックルの実物作品は見事で、変化する時代に当時の職人たちの不屈の努力をみせられた気がしました。各資料展示の浮世絵も、とても良かったです。更におまけ、3階コレクションギャラリーではミニ展示、琵琶の名手として知られた赤坂の芸者・吉住はま(1879?~1963年)の『たばこ入れコレクション』が展示されていました。芸者時代から愛煙家だったはまは、自分好みのた… Read More