江上幹幸コレクション
インドネシアの絣・イカット
〜クジラと塩の織りなす布の物語〜

たばこと塩の博物館

  • 開催期間:2023年1月21日(土)~2023年4月9日(日)
  • クリップ数:17 件
  • 感想・評価:2 件
江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット 〜クジラと塩の織りなす布の物語〜 たばこと塩の博物館-1
江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット 〜クジラと塩の織りなす布の物語〜 たばこと塩の博物館-2
江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット 〜クジラと塩の織りなす布の物語〜 たばこと塩の博物館-3
レンバタ島ラマレラ村(海の民)の腰衣(婚資) 1330×740 mm
ティモール島西アマヌバン郡の腰巻 1804×1024 mm
レンバタ島ラマレラ村の伝統捕鯨(撮影:小島曠太郎 2007年5月)
江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット 〜クジラと塩の織りなす布の物語〜 たばこと塩の博物館-1
江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット 〜クジラと塩の織りなす布の物語〜 たばこと塩の博物館-1
江上幹幸コレクション インドネシアの絣・イカット 〜クジラと塩の織りなす布の物語〜 たばこと塩の博物館-1

この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

民族考古学を専門とする江上幹幸(えがみともこ)氏(元 沖縄国際大学教授)は、製塩をテーマの一つとして、東部インドネシアや沖縄で調査研究を続けてきました。たばこと塩の博物館も、塩をテーマとする常設展・特別展のなかで、その研究成果を活用しています。

本展では、「製塩」そのものではなく、「交易品としての塩」が関わることで生み出されたイカット(絣織物)に注目します。イカットの蒐集と並行して背後にある生活文化を探求してきた江上氏の研究成果を、そのコレクションと合わせながら、3部構成で紹介します。

第1部では、江上氏の主な調査地であるレンバタ島で蒐集したイカット約20点を展示します。綿から糸を紡ぎ、その糸を藍や茜から得た染料で括り染めしてから織るレンバタ島のイカット。それらは、海と山の交易なしには生まれなかった布たちです。伝統捕鯨で得たクジラ肉や自ら作った塩のほか、染料に必要な石灰など“海の恵み”を持つレンバタ島ラマレラ村の「海の民」。主食の農産物のほか染料になる藍や茜など“山の恵み”を持つ「山の民」。その間で続く素朴な交易の原動力はクジラと塩です。

第2部では、島のイカットを背後で支える交易や、暮らしの文化について、江上氏と共同研究者の小島曠太郎氏(捕鯨文化研究家)による写真を交えて解説します。

第3部では、作品としてのイカットの多彩さに注目します。地域ごとにさまざまなイカットが織られている広大なインドネシアの中でも、フローレス島東部地域とティモール島西部で江上氏が蒐集したイカット約30点を中心に展示し、その多様な色彩と意匠の世界を紹介します。

開催概要EVENT DETAILS

会期 2023年1月21日(土)~2023年4月9日(日)
会場 たばこと塩の博物館 Google Map
展示室2階特別展示室
住所 東京都墨田区横川1-16-3
時間 10:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
休館日 月曜日 
観覧料 大人・大学生 100円
満65歳以上の方(要証明書)50円
小・中・高校生 50円
TEL03-3622-8801(代表)
URLhttps://www.tabashio.jp

たばこと塩の博物館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

たばこと塩の博物館 たばこと塩の博物館

感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

4.0

先住民の命の文化は、これからどうなるの??

日本では絣。世界的には「イカット」というのだそうで…。織物や染色には少しだけ興味があり、テーブルセンターなどでも、いくつかのインドネシアのイカットも購入したことがあり、今回「たばこと塩の博物館」の企画展に出かけました。手織物や染色の話かと思いきや、先住民族の生業の話でした。山の民との交易で得た綿から糸を紡ぎ、藍や茜などを染めてイカットを織る海の民。藍染に不可欠な石灰を海の民との交易でまかないイカットを織る山の民。染料に必要な石灰づくりや生きていくための塩づくり、重要な交易品であるクジラ肉を得るため、男たちにより命がけの伝統捕鯨が行なわれ、クジラと塩を原動力とする物々交換の交易システムが、イカットを生み出している、というのです。今回、思いもよらず捕鯨というものについて、考えさせられました。命がけで男たちが獲ったクジラを、大切に余すところなく使う生活。日本もかつては捕鯨国だったのですよね。子供の頃はよくクジラの南蛮漬けや唐揚げを食べたことを思い出します。獲物のクジラに酒をささげ、骨まで余すところなく大切にいただいていたと聞きました。欧米では、鯨油を取るためだけにクジラを狩り、肉は不味いと燃料として燃やすか捨てるかだったと聞きました。捕鯨中継地としてペリーは日本に開国を求めたそうですね。開国後の日本にとってももちろん鯨油は生糸と並ぶ輸出品だったわけだけれど。捕鯨反対論者は日本人が高騰哺乳類でしかもかわいいクジラを残酷にも食用として絶滅の危機にさらしてた、と…? 誰が悪いかなどの話は別にして、インドネシアの先住民たちの命の捕鯨は、これからもちゃんと、管理されながらでも続けられることを祈りたいです。何故か「ちゃんちゃこ」の「空飛ぶクジラ」が頭の中に流れてきてしまいました。

4.0

現地の文化を丸っとひとさらい

イカットって絣…というか絣がイカットか
(なんのこっちゃ)

インドネシアで織られた素朴な絣の鮮やかな色合い
そんなイカットをたーっぷりとみられる展示を期待してしまいそうになるけど

実はこの展示、どちらかといえば鯨と塩を中心に回る
現地独特の経済、文化の解説パネル展示のほうがメインである

と、いうとがっかりされるかもしれないけど
これがまた興味深く面白い

イカットの材料である綿花を収穫し、染織する
染織の方法や染色に使う石灰の調達
地域によって違う製塩やクジラ漁の様子
漁に使う船の構造図解や細かく決められた獲物の分配

そして何よりこれらの背景にある交易や
海の民山の民の関係

これは思ったより欲張りな展示だぞ?
まさかここまで現地の暮らし生活についてまで細かく解説されているとは思わなかった

各地のイカットもかなり魅力的なのだけど
それらが生み出されたバックボーンにまで迫る
好奇心をそそられる展示だ

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レンバタ島ラマレラ村(海の民)の腰衣(婚資) 1330×740 mm

ティモール島西アマヌバン郡の腰巻 1804×1024 mm

レンバタ島ラマレラ村の伝統捕鯨(撮影:小島曠太郎 2007年5月)

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