4.0
しれっと横綱級の名品並んでるんですけど…
世田谷の閑静な住宅街に溶け込んでいる五島美術館。
時流の熱気とか流行とは無縁な感じの端然とした佇まいですが、所蔵品の稀少さとレベルの高さは国内でも群を抜いてます。
世界最古の小説で国宝な源氏物語絵巻が有名ですが、それも含めて国宝5点、重要文化財50点を含み約5000点を所蔵。
最終日の16日に滑り込みセーフで鑑賞しましたが、五島美術館あるあるな展示内容の贅沢さに思わず浮かぶ半笑いです。
25mプール3レーンくらいの展示室1には室町~戦国時代の著名人所縁の茶道具類が70点程の展示。
入口からいきなり目に入る、太閤豊臣秀吉が奥方の淀君に宛てた消息(手紙)。
戦国時代最大の有名人直筆の消息(手紙)という稀少さにあれ?茶道具じゃない?というツッコみも忘れて心を鷲掴みされます。
隣には、茶道創始者である千利休直筆お手紙がなんと3通も並んでいます。
秀吉の大らかで闊達な文字と、均一な文字サイズのポキポキとした筆跡の利休になんだか性格の違いが浮かび上がり、面白いですね。
展示ケースには、稀少な布に包まれた織田信長由来の大振りな唐物茶入、利休所蔵のコンパクトな茶入(=抹茶を入れる容器)。
歴史の教科書にも度々掲載されている、武将茶人古田織部が絶賛した重要文化財の水指『銘 破袋やぶれふくろ』等。
凄く稀少で贅沢なラインナップですが、あまたの名品を所有する五島美術館では当たり前の光景。
なんというか、もっとこう稀少さをドーンとアピールしても良いんじゃないかとも思うのですが、不思議と五島美術館で過ごすと力が抜けていきます。
当時の室町将軍や利休の師と謳われた堺の豪商茶人、武野紹鴎の所有の漆棗や茶釜の銘品、茶道具がズラズラ並んでガン見してしまいます。
もっと小さいスペース展示室2には茶事の懐石取り合わせ(食器一式)が20点程の展示。
こちらにも江戸のルネッサンス人と謳われる平賀源内が四国の高知で指導生産した【源内焼】という陶磁器製の小皿セットが眼福です。
次回の企画展展示は2/22~所蔵品による【中国の陶芸展】。
こちらもまた名品揃いはほぼ確定していますので、要注目です。