4.0
猛暑の夏にアートで涼みました。
今回も夏季恒例の優品展、五島美術館さんのコレクションから「一味爽涼」をテーマに約50点、夏の情景を詠んだ古筆、清雅な禅僧の墨跡、涼しさを感じる青磁・白磁や青花磁器、水墨画や近代日本画に表された消暑風景、などなどが紹介されています。また特集展示に古鏡6点。第二展示室は日本陶磁コレクションでした。
先ず私は、古筆はあまり分からないので、さっと観ました。和歌はまだ良いのですが、経や墨跡は苦手です。古いものばかりか近代書の森田竹華氏大澤竹胎氏の筆がまた、余計に分からないです(笑)。そんな中、本阿弥光悦筆伝俵屋宗達下絵の《和漢朗詠集色紙帖》は凄く美しいです。美しい下絵の上に絶妙のバランスで配された美しい文字。一部文字の乱れが光悦の病による手の震えか、とありますが、そんなそんな、私にはとにかく美しく見えます。まだ観たことのない方は是非、必見ですよ。
青と白の陶磁器はとても涼し気です。焼き物好きの私ですが、特に青磁・白磁・青花は、特に大好きです。五島さんと言えばの《青磁鳳凰耳瓶(重文)》はじめ、景徳鎮の青花が沢山観られました。
竹石山水などの水墨画にはやはり「涼」がありますね。そして近代日本画です。寺崎広業と言えば国立近代美術館さんの《溪四題(雲の峰・夏の月・秋霧・雨後) 》を思い出してしまいますが、こちら五島さん夏季で何度か観ていますが《夏のひととき》は、とてもいいです。これを観ると私は何故か何時も、松岡映丘《千草の丘》を思い出してしまうのです。そしてやはり夏季の名品と言える川合玉堂《松山懸瀑図》、小茂田青樹《緑雨》に、それから横山大観と横山操の富士《夏》に《朱富士》ですね。とても涼やかなスッキリとした気分にさせて頂きました。
第二展示室日本陶磁もなかなかでした。鼠志野の《峯紅葉》や光悦黒楽《七里》や黒織部沓形茶碗《わらや》などなどおなじみどころが並びますが、今日は、黄瀬戸平茶碗《柳かげ》ですね。内箱蓋裏に西行法師の歌「道のへの清水なかるゝやなき影しはしとてこそ立ちとまりけり」が書付られていることからの銘、でした。これも「涼」ですね。浅い筒形の小鉢で、鉄釉と銅緑釉の点が散っていて、線描きの唐草文とかあって、ごく自然な雰囲気で、アジのたたきでも入れたい感じです。
会期終盤、異常な暑さの続く中で、平日朝一、一応空いていました。ゆっくり観ることが出来ました。恒例でも、やはり良かったです。