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春のひと時をのんびり 美筆を堪能
新緑とつつじの美しい五島さんのお庭も楽しみに、館蔵・春の優品展『古今和歌集を愛でる』に行って来ました。
今年の春の優品展は、古今和歌集を書写した平安・鎌倉時代の古筆切を中心に、古今和歌集に関わる歌仙絵・古典籍・近代書など約50点を展示しています。和歌ですか‥先だって終わったNHK連ドラの影響か、最近短歌も人気が出いたりするらしいですが‥、一応個人的にはお経や書簡よりかなり好きな分野です。館蔵品展なので、すでにお馴染みがほとんどとは思いながらも、名品は何度見てもよいです。と言っても、私は昔々大学は渋谷の某大史学科で、古文書学やらもそれなりに一応勉強したものの、おまけに当時より和歌を少しやって来たこともあり、変体仮名なども習ったりしたてるのに、悲しいことに名筆が全く読めません。それでも、こんな私でも、文字や料紙や表具やらの「見た目」の美を味わえ、それに添えて描かれた絵もなかなかに面白可笑しく、いろいろ想像も膨らませつつ、こんな私でも十二分に楽しめました。それから、大東急記念文庫蔵本も並ぶようになって、展示に厚みが増しました。
今回古筆の見ものは、高野切古今集の第一種、第二種です。また、江戸時代の『源氏物語図屏風』も、なかなか、ちょっと笑えて面白かったです。『源氏物語奥入』は藤原定家による源氏物語の注釈書なのだそうですが、展示室2の隅に、近年発見された定家自筆の断簡(個人蔵)が初公開されています。超貴重な機会だと思います。筆もさることながら、表具のかわいらしい人物刺繍が印象的です。
平日朝一、とても空いていました。どうか少しでも興味のある方、春のひと時をのんびり、古の美筆を堪能してみてください。