スーラージュと森田子龍
兵庫県立美術館|兵庫県
開催期間: ~
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展示作品が映える安藤建築の展示空間にひたる
コロナ禍で二度の延期を経てようやく開催となりました。
アートフェアで、書家の方から前衛書の井上有一を教えて頂き、井上有一作品を展示する京都のギャラリーで店主さんから井上有一についてご説明頂いた。以来「前衛書」も気にかかるようになりました。昨年でしたか、京国美のコレクション展で「前衛書」にかなりのスペースを割いて展示されており、その時も子龍の作品も観ました。勿論、県美でもコレクション展で展示されておりました。
しなしながら、やはり子龍についても、ましてやピエール・スーラージュについては全く知りませんでした。
八木一夫たちが走泥社を結成して、前衛の陶芸を追究したように、1952年には井上有一らは「墨人会」を結成します。そこはよくある「書の理論があってこそ、新しい書表現が旧態依然とした書壇の体制をうちやぶる」と考えてのことでした。森田子龍も「墨人会」結成メンバーです。一方、森田は、書の雑誌の編集者としても活躍し、その中で積極的に海外のアーティストの作品を紹介します。雑誌「墨美」を通じてスーラージュとの交流が始まりました。
もう一人の主役ピエール・スーラージュは、残念ながらこの展覧会を待つことなく2022年に亡くなってしまいました。展覧会サイトには「画業の最初期から晩年に至るまで一貫して抽象を追究した。」と紹介されています。日本へは5回も来日し、展覧会も開催されるよく知られた画家でした。フランスにおいては、2009年にはポンピドゥー・センターで大回顧展を、2019年にはルーヴルで個展が開催され、生前にルーヴルで個展が開催されたのはピカソ、シャガール以来3人目だそうで、フランス国内における画家スーラージュは戦後美術の大家でした。全く知りませんでした。
スーラージュは、他の作家の作品と並べて展示されることを好まなかったようで、本展でも、スーラージュと森田子龍の展示室を分けて交互にそれぞれ制作順に展示されています。
73年ぶりに来日したスーラージュ作品や日本の美術館に所蔵される作品とスーラージュ美術館所蔵の作品が並ぶのはこうれからもそうないのではないでしょうか。
安藤建築は、李禹煥展の時も感じましたが、展示構成も練られており、安藤建築の特性を生かした展示空間がとっても素敵でした。
アンフォルメルが日本で持てはやされた頃、スーラージュもちょっとした時の人で、展覧会も巡回しました。その後は日本の美術界からは忘れ去られたようになりました。スーラージュの作品は、その時代を反映して「具体」の作品のお隣にあってもなーんら違和感がないだろうと思いました。
スーラージュと森田子龍の二人展、「白と黒の仲間」という関係で相互に影響しあったなどととこ言うことはありませんでした。
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- BY morinousagisan