杉本博司 本歌取り 東下り

渋谷区立松濤美術館

  • 開催期間:2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)
  • クリップ数:36 件
  • 感想・評価:6 件
杉本博司 本歌取り 東下り 渋谷区立松濤美術館-1
杉本博司 本歌取り 東下り 渋谷区立松濤美術館-2
杉本博司 《カリフォルニア・コンドル》 1994 ピグメント・プリント 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto
杉本博司 《Brush Impression 0625》 2023 銀塩写真 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto
杉本博司 本歌取り 東下り 渋谷区立松濤美術館-1
杉本博司 本歌取り 東下り 渋谷区立松濤美術館-1

この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

杉本博司(1948~)は、和歌の伝統技法「本歌取り」を日本文化の本質的営みと捉え自身の作品制作に援用し、2022年に姫路市立美術館でこのコンセプトのもとに「本歌取り」展として作品を集結させました。

本歌取りとは、本来、和歌の作成技法のひとつで、有名な古歌(本歌)の一部を意識的に自作に取り入れ、そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して歌を作る手法のことです。作者は本歌と向き合い、理解を深めたうえで、本歌取りの決まりごとの中で本歌と比肩する、あるいはそれを超える歌を作ることが求められます。

西国の姫路で始まった杉本の本歌取り展は、今回、東国である東京の地で新たな展開を迎えることから、「本歌取り 東下り」と題されました。本展を象徴する作品である《富士山図屏風》は、東国への旅中に、旅人が目にする雄大な富士山を描いた葛飾北斎の《冨嶽三十六景 凱風快晴》を本歌とした新作で、本展で初公開となります。

またこの他にも、書における臨書を基に、写真暗室内で印画紙の上に現像液又は定着液に浸した筆で書いた《Brush Impression》シリーズなど、本展は新作を中心に構成される一方、中国宋時代の画家である牧谿の水墨画技法を本歌取りとした《カリフォルニア・コンドル》など、杉本の本歌取りの代表的作品も併せて展示します。さらに、室町時代に描かれたと考えられる《法師物語絵巻》より「死に薬」を狂言「附子」の本歌と捉え、その他の8つの物語と共に一挙公開致します。

現代の作品が古典作品と同調と交錯を繰り返し、写真にとどまらず、書、工芸、建築、芸能をも包み込む杉本の世界とその進化の過程をご覧ください。

【FEATURE|内覧会レポート】
古い物こそ新しい―古の美と杉本博司の芸術世界が邂逅する「杉本博司 本歌取り 東下り」

開催概要EVENT DETAILS

会期 2023年9月16日(土)~2023年11月12日(日)
  • 前期:9月16日(土)~10月15日(日)
    後期:10月17日(火)~11月12日(日)
    ※会期中、一部展示替えあり
会場 渋谷区立松濤美術館 Google Map
住所 東京都渋谷区松濤2-14-14
時間 10:00~18:00
  • (毎週金曜日は~20:00)
休館日 月曜日、9月19日(火)、10月10日(火)
※ただし、9月18日、10月9日は開館
観覧料 一般 1,000円(800円)
大学生 800円(640円)
高校生・60歳以上 500円(400円)
小中学生 100円(80円)
  • ※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
    ※土・日曜日、祝休日は小中学生無料
    ※毎週金曜日は渋谷区民無料 
    ※障がい者及び付添の方1名は無料
TEL03-3465-9421
URLhttps://shoto-museum.jp

渋谷区立松濤美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

渋谷区立松濤美術館 渋谷区立松濤美術館

感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

4.0

全ては繋がっていく

既に存在する作品にオリジナリティーを加える本歌取り。
杉本さんのテーマの中に、「古」や「昔の人が見ていたもの」が大きく影響していることは知っていましたが、
本展示を見るまで、本歌取りがどういうアートになるのかよくわかっていませんでした。そして写真の作品は絵画と違って見方がわからず、苦手意識も。
しかし、こちらは展示の順番や説明がわかりやすく、杉本作品への理解が深まりました。
「何が元になっていて、どういう影響を受け、こういった作品ができた」と説明書きが1つ1つの作品にちゃんと付いています。
全て写真撮影OKというのも、来場者がまた本歌取りをできるようになっていて面白い。
昔の人が見てきたものや、書いた文字、唱えた言葉が杉本作品を通して伝わってきました。単に歴史本を読んだり、昔の写真を見たりするのは違った方法で「古」を感じられます。

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さんぽさん、Boodlesさん、uchikoさん、micco3216さん

3.0

東下りに鹿はナシ

杉本作品に親しむようになったのは鹿モチーフからだったことと、姫路で昨年開催した「本歌取り」からの流れの展覧会だったこともあり、鹿作品を期待していたのに…出てなかったー!
とはいえ、「富士山図屏風」や「春日大社藤棚図屛風」など色の綺麗な作品や、三鈷剣を使ったモダンな作品を楽しみました。
また、「法師物語絵巻」が面白かった!説明が不要なほど内容が分かりやすく、騒動が起こる割には悪人が出てこない、微笑ましい作品です。

4.0

遊び心があって、観ていて楽しめる

「本歌取り」は多くの芸術家が少なからず取ったことのあるやり方ですが、和歌の「本歌取り」になぞらえて展覧会の企画テーマに仕上げています。
でも観ていて突っ込見所もいろいろあって、安土城図屏風の想像から姫路城図屏風といわれても、安土城は信長が見せるために造った城で、姫路城とはコンセプトも実際の設計も別物だと思うと、ちょっと府に堕ちません。富士山図屏風も、赤く照らされる赤富士ではないので北斎の凱風快晴を元にしたとは言い難いと感じちゃいます。
それでも姫路城も富士山も端正で美しく、屏風に仕立てると立派な作品になっています。
印画紙に現像液または定着液を浸した筆で文字を書くという手法で創った作品は、落ち着いたモノクロの中に力強さが伝わってきて楽しめました。
宇宙から見た地球を掛け軸に仕立てた作品は、掛け軸になった絵の中で、これが史上最もスケールが大きい風景画といって良さそうです。ご自身の代表作である海景シリーズを本歌取りしたとも言えます。
杉本博司氏の作品は、遊び心があって、観ていて楽しくなるものばかりでした。
松濤美術館の雰囲気も杉本博司氏の作品にぴったりでした。

THANKS!をクリックしたユーザー
さんぽさん、morinousagisanさん、micco3216さん

4.0

古典の随を杉本作品に変容・昇華させる

まずは地下の本歌取りの作品群から始まる。〈富士山図屏風〉は、本歌をすぐに理解できる圧倒的存在感。他にも屏風があり、大型作品は満足度も高いし気持ちいい。
2階で目立つは、印画紙に直接処理液で書いた書。杉本の手業を観るのも珍しいし、筆跡の表面が妙な生々しさがあって面白い試み。掛け軸仕立てのお馴染みの作品や、外部展示で劣化した作品とか、様々な杉本作品を堪能できた。
古典に見えて古典の手法では無い、時代の行き来が面白い。
松濤美術館の雰囲気にもマッチしていた。

9月23日(土)11時入館。混雑無し。撮影可。

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fumiko773さん、さいさん、morinousagisanさん、アバウトさん

5.0

過去から現在のシリーズ作品を本歌取りの視点で

滝、海景、ジオラマ、陰影礼賛に書のシリーズ更に室町時代の絵巻、能面、杉本が手掛けたLP.・CDジャケット、土偶、エジプトの紀元前の死者の書、猫の棺等々、バラエティ豊かな展示です。圧巻は美しく壮大な屏風作品で今回の展覧会の為の新作に加え、春日大社、姫路市美術館で開催された展覧会に展示された作品もあります。代表的シリーズ海景江ノ浦も新作初公開、杉本ファン必見ですね。?️可です。

THANKS!をクリックしたユーザー
morinousagisanさん
  • 1
  • BY TK

3.0

本歌無し

新発見の《法師物語絵巻》は全場面公開されていて面白い絵巻でした。
杉本作品自体はいろいろと趣向を凝らしたアレンジオマージュで本人は楽しそう。
本歌となった古美術作品と併せての展示がもっと多ければ良かったかなぁ。
2階は展示レイアウトや雰囲気も良かったのですが暑くて参りました。
全作品写真撮影可能だったと思います。

THANKS!をクリックしたユーザー
fumiko773さん、morinousagisanさん

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出展作品・関連画像IMAGES

杉本博司 《カリフォルニア・コンドル》 1994 ピグメント・プリント 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

杉本博司 《Brush Impression 0625》 2023 銀塩写真 作家蔵 ©Hiroshi Sugimoto

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