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中国陶磁の色彩が魅せる世界と、2000年の歴史を、辿れます。
今展では、さまざまな色彩の中国陶磁が、細川護立の蒐集エピソードと共に展示されています。永青文庫さんの展示はいつも、エピソード付キャプションがちょっと楽しいです。護立は、日本において鑑賞に主眼を置いた「鑑賞陶器」として中国陶磁が注目されるなか、いち早くその価値を見出し、蒐集を始め、「鑑賞陶器」蒐集の草分けの一人として位置づけられているのだそうです。
色をテーマとする本展では、中国陶磁のさまざまな色彩を堪能できます。特に唐三彩の色の美しさは流石です。そして技巧を凝らした白磁のなめらかな肌、やがて宝石のような美しさの《緑釉鉢》《油滴天目》《禾目天目》、そして精緻な青花の美しいコントラストにぼかし、青磁の複雑で深い色、見どころ満点です。少しの難は展示ケースの観難さでしょうか。
中国陶磁に魅せられた、近代の画家や陶芸家の作品も紹介されていました。洋画家・梅原龍三郎の描いた《唐美人図》は、唐時代の《加彩女子》に惹かれて制作されたと。
なかなかの粒ぞろいの作品を楽しみながら、中国陶磁の2000年の歴史を、じっくり辿ることが出来ます。私以外の観覧者には帰る時まで誰にも会いませんでした。まだ、4月14日までです。お隣椿山荘さんや肥後細川庭園、江戸川公園の桜がそろそろ咲きます。歴史や焼き物に興味がおありの方は、一緒に観覧されてはいかがでしょうか。