4.0
残してくれてありがとう。
欧亜堂田善をこんなに大量に見たのは初めてだ。
罰末の西洋を模した絵 というだけでなく、エッチングを自分のものにしたりしてなかなか奥深い作品が大量。
明治になって海外に流出するのを地元で防いだとあった。
須賀川の人々に頭が下がる。残してくれてありがとう。
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江戸時代後期に活躍した洋風画家、亜欧堂田善(あおうどうでんぜん 1748〜1822)は、現在の福島県須賀川市に生まれ、47歳の時に白河藩主松平定信の命を受け、腐食銅版画技法を習得した遅咲きの画人です。主君の庇護のもとで試行錯誤を重ねた田善は、ついに当時最高峰の技術を身につけ、日本初の銅版画による解剖図『医範提鋼内象銅版図』や、幕府が初めて公刊した世界地図『新訂万国全図』など、大きな仕事を次々に手掛けていきます。
一方で、西洋版画の図様を両国の花火に取り入れた《二州橋夏夜図》や、深い静寂と抒情を湛える《品川月夜図》など最先端の西洋画法と斬新な視点による江戸名所シリーズや、《浅間山図屏風》(重要文化財)に代表される肉筆の油彩画にも意欲的に取り組み、洋風画史上に輝く傑作を多く世に送り出しました。
首都圏では実に17年ぶりの回顧展となる本展では、現在知られる銅版画約140点を網羅的に紹介するとともに、肉筆の洋風画の代表作、谷文晁・司馬江漢・鍬形蕙斎といった同時代絵師の作品、田善の参照した西洋版画や弟子の作品まで、約250点を一堂に集め、謎に包まれたその画業を改めて検証します。(会期中大幅な展示替えを行います)
会期 |
2023年1月13日(金)~2023年2月26日(日)
|
---|---|
会場 |
千葉市美術館
![]() |
住所 | 千葉県千葉市中央区中央3-10-8 |
時間 |
10:00~18:00
(最終入場時間 17:30)
|
休館日 |
2月6日(月) 休室日 1月30日(月) |
観覧料 | 一般 1,200円(960円) 大学生 700円(560円) 小・中学生、高校生 無料
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TEL | 043-221-2311 |
URL | https://www.ccma-net.jp/ |
4.0
欧亜堂田善をこんなに大量に見たのは初めてだ。
罰末の西洋を模した絵 というだけでなく、エッチングを自分のものにしたりしてなかなか奥深い作品が大量。
明治になって海外に流出するのを地元で防いだとあった。
須賀川の人々に頭が下がる。残してくれてありがとう。
4.0
亜欧堂田善は、白河藩主松平定信の命を受け、腐食銅版画技法を習得しました。そういう意味では、解剖図や世界地図の実用銅版画が、彼の画業のメインといえます。基本は御用絵師だった訳です。
でも世界地図の銅版画を見ていると、地図の精度は高く、日本が世界の中ではちっぽけな存在であると認識できます。亜欧堂田善の眼は、世界へ向いていたのだと確信できます。
油彩画も含めて描かれた江戸の風景画、七里ケ浜などの風景画は、光と影、雲の形が写実的、立体的に描かれ、奥行きを感じる開放的な空間になっています。
最先端を行く新しもの好きの画家として足跡を残したといえます。
4.0
名前のインパクトすごいなぁ、と思ってたらそーゆー意味だったのね。
白河藩主・松平定信に銅版画を見せたら
「アジア(亜)とヨーロッパ(欧)を眼前で見てるようだ」と褒められた事から
【亜欧堂】って言う号を与えられたようです。
それにしたって銅版画の勉強を始めたのが50歳を過ぎてからって言うもんだから
スゴいよ、ホントに。
解剖図とか世界地図とか細密で見応え十分。幕府が初出版する
世界地図の絵師に抜擢されたのが63歳頃だから、スゴいよ、ホントに(2回目)
いくら絵が上手いからと言っても当時、出来る人がほとんどいなかった銅版画を
一から学んで、幕府にもその腕を認められて、今ではその幾つかは重要文化財だもんなぁ。
カッコいい人生だよ。
個人的なお気に入りは
『三囲雪景図』1804-18頃
絵は多くは語らないが、雪の中を歩く二人の人物の距離感とか、情景とかが
絶妙です。思った以上におもしろかったです。
5.0
初千葉市美。神奈川県から三都物語。
版画が好きなので、チラシを見て版画家の企画展かと思い、ぶらっと行ってみました。
8階・7階が企画展会場で、8階から入場。
けれど行けども行けども版画がない。チラシには版画が堂々と載ってるのに・・・あれ?
よく見たら「洋風画家」と書いてある。ああ、またもや勘違いか・・・。
でも第一章なんて本人の絵1枚しかないんだけど・・・(笑)。
第二章でやっと田善の絵がお出まし。版画があんまり出てこないまま8階は終了。
あっちとこっちので違う画風になっちゃったりして、好きなものもあったけど、絵は何とも不思議な感じ。
7階へ。いやはや、ここからが本領発揮でございました。
・・・版画すごい。
日本の版画の技術も、西欧の版画の技術も自由自在。
元々絵が好きで描いてた人なので、人にウケる版画も作ることができて、さらに西洋版画のあらゆるパターンも網羅した上で完璧にマスター。
1人の人が作った作品群だなんて・・・びっくりですよ・・・。
地図すごいですよ。日本人が描いた(銅板なので描くのに近い形で削ります)って言われなきゃわからない。
解剖図もすごい。これも日本人が描いたとは・・・。
でも、これと浮世絵的な名所の「お洒落で売れそうな」版画をやってしまう、これが一番すごいなぁ・・・。
地図や解剖みたいな仕事で精度を求めだすと、アーティスティックな側面って削られそうに感じるけど、彼にとっては両方デザイン力を発揮できるフィールドのよう。
7階の展示数もかなり数あって、もうお腹いっぱい。最後の方は眼精疲労でよれよれでした(笑)。
しかし「終わった~」と思ったらある意味ここから始まるのであった。
まず7階の出口付近で、おまけのお楽しみ♡的な展示が少しあった。
その後5階の常設展を観に下りると、もう一つの企画展が「新収蔵作品展ー江戸絵画を中心にー」。つまりほぼ続きです。田善展でゆかりのある画家の作品がたくさん出てくるのですが、半分はその方達の作品。続いて房総ゆかりの作家・作品。
さらに常設「コレクション展(~2/5まで)」。この中に更に「田善とその時代」という特集があるので、ここも企画展の続き。
他ビゴー、寺崎武男、板倉鼎、浜口陽三、等々等々、さらに浮世絵、作家2人の特集。
・・・えらい豪華な版画祭りですよ、これは。
ちなみに4階で、「原倫太郎+原游|RE 幼年期ディスカバリー」という体験型の企画か… Read More
4.0
亜欧堂田善の作品は、幕末をテーマにした美術展では、西洋絵画風の絵の例として割とよく見るのですが、その全貌が解説されることもなく、今まで来ました。だから、亜欧堂田善って誰?というのが正直なところで、たぶん司馬江漢の弟子筋とかフォロワーかな?という程度の認識でした。
この展示で知ったのは、
・亜欧堂田善は福島県須賀川市に生まれ、47歳の時に白河藩主松平定信の命を受け、腐食銅版画技法を習得した遅咲きの画人
・日本初の銅版画による解剖図『医範提鋼内象銅版図』や、幕府が初めて公刊した世界地図『新訂万国全図』などを作成
・西洋画も手がけ、独自に油絵具を開発したりとなかなか苦労している
といったあたりです。
西洋画の人かと思ったら、そうでもなくて、銅版画の技術的な功績が大きいという印象です。
ちなみに会期は、2つに分かれ2月7日から後期となります。さらにちなみに、解剖図『医範提鋼内象銅版図』など一部撮影OKでした。
4.0
亜欧堂田善、面白かったです。
東博所蔵の浅間山図(本展では後期展示)他いくつか見てきましたがまとめては初めてです。
メインの銅版画はまだ拙い画業初期から随分達者な全盛期まで網羅しています。
銅版画を挟むように紹介されている肉筆画がまた妙な感覚に陥ってしまいます。
掴みどころがないというか捉えどころがないというかなんだかこのよく分からなさが魅力なのかも。
狩野派、琳派、円山四条派、南画、奇想に加えて田善のような奇妙派がいるのも江戸絵画の奥深さ。
カメラマークがある作品のみ(3点くらい?)写真撮影可能でした。
会期短めです。お早めにどうぞ。
続く新収蔵品では文人画を中心とした江戸絵画を紹介。
海北友松、谷文晁ほか初見の絵師もいて楽しめました。
千葉ゆかりの絵師高森碎巖(たかもりさいがん)が収穫。
常設は田善に呼応したような作品を紹介していて企画の妙が光ります。
谷文晁の梅図が素晴らしい。
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