4.0
「20世紀美術の巨匠たち」タイトルどおり、現代アートのカタログ空間
大原美術館所蔵品が比較的こじんまり、とイメージして臨みました。作品数約40点ですが、ところがどっこい、です。
本展のタイトルには、ウォーホル、ロスコ、リキテンスタインを挙げてます。
その他にも、ピカソから始まって、メインビジュアルのボロック、サム・フランシス、ステラ、ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、等々。タイトルどおり、20世紀美術の巨匠の作品が並びます。
一応は章立てしてストーリーをかぶせて展示されてますが、そんなかぶせモノで行儀よく収まるような作家に非ず。しかも、必ずしも各作家の代表作に近いような作風でもない、やや小ぶりの(巨大ではない)作品がひとつひとつ、所狭しとしてビミョーに訴求してきます。
ですので、「この作品って、この作家の、どの時期の、どんな位置づけのものなの」などと考えながら見てゆくと、数は多くないものの結構大変。当然消化しきれないので、帰宅後のお勉強ネタとして記憶(写真NG)を持ち帰りました。
様式・運動・主義・アート概念が発散するアメリカ中心の現代アートの、まるでカタログのような本展です。
そんな全体感にあって、最初と最後がすこぶる良い。
まず最初。ジャン・マルシャン《移住者》、コスモポリタン情趣の本展唯一の具象画は印象的。とび色の画面が紅色の背景壁と一体化して、入口から眼前に広がる「赤」でお出迎え。
そして最後は、大胆にも茶室畳に置かれたイヴ・クライン《青いヴィーナス》。彼の代名詞のインパクト強い「青」でお見送り。
ナイスな展示構成です。
大原美術館には何度でも行きたいし、趣ある神戸御影(閉館中)の香雪美術館にも行けるようになればと願いつつ。