4.0
初期から晩年まで
白の時代の作品をよく見る気がしているユトリロですが、若い頃から比較的晩年まで見ることが出来、色々見比べが楽しかったです。制作方法の解説もあり、勉強になりました。
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20世紀初頭のパリの街並みを描いたことで知られる風景画家モーリス・ユトリロ(1883–1955)は、生まれ育ったモンマルトルや暮らした郊外の風景を数多くの油彩画に残しました。画家としての歩みには、母シュザンヌ・ヴァラドン(1865–1938)をはじめとする家族との複雑な関係や、幼少期からのアルコール依存といった要素が絡み合い、独自の世界観を築き上げています。波乱に満ちた人生を送りながらも、20世紀前半の美術界を席巻したこのエコール・ド・パリの画家は、とりわけ日本において現在もなお根強い人気を誇っています。
本展は、フランス国立近代美術館(ポンピドゥセンター)の協力のもと、同館所蔵の《モンマニーの屋根》(1906–07年頃)や《ラパン・アジル》(1910年)を含む作品約70点と、アーカイヴを管理するユトリロ協会から提供された資料を通して、その全貌に迫ります。アルコール依存症の治療の一環として絵筆をとった「モンマニー時代」、さまざまな素材を用いて白壁の詩情を描き出した「白の時代」、そして鮮やかな色彩を駆使した「色彩の時代」をたどりながら、ユトリロが確立した唯一無二の様式と、彼が愛した風景の詩情を感じられる展覧会です。
| 会期 | 2025年9月20日(土)~2025年12月14日(日) |
|---|---|
| 会場 |
SOMPO美術館
|
| 住所 | 東京都新宿区西新宿1丁目26-1 |
| 時間 |
|
| 休館日 |
月曜日、10月14日、11月4日、11月25日 ※ただし10月13日・11月3日・11月24日は開館 |
| 観覧料 | 一般(26歳以上)事前購入券 1,700円、当日券 1,800円 一般(25歳以下)事前購入券 1,100円、当日券 1,200円 高校生以下無料 ※年齢は入場時点 ※25歳以下の方は入場時に生年月日が確認できるものを要提示
|
| TEL | 050-5541-8600 (ハローダイヤル:美術館利用案内) |
| URL | https://www.sompo-museum.org/ |
4.0
白の時代の作品をよく見る気がしているユトリロですが、若い頃から比較的晩年まで見ることが出来、色々見比べが楽しかったです。制作方法の解説もあり、勉強になりました。
5.0
初期「モンマニーの時代」、中期「白の時代」後期「色彩の時代」に分け、その時代の色彩とともに彼の心象風景も変わっていく様子が感じられた。後期になって、色彩が鮮やかになっていき、描かれる人の数が増えたり、人との距離が近くなっていくのを見て、見ているこちらも何故かほっとした。
アルコール依存症で早く亡くなったイメージを勝手に持っていたが、実は71歳まで生きて晩年は穏やかに暮らしたらしい。絵からもそれが伝わってくる。
寂寥感の中に可愛らしさが同居している彼の絵を見るたびに好きになる気がする。
#2025年10月
#美術館巡り
4.0
白の時代、色彩の時代、がよく比較されるように思うのだが、ユトリロといえばやはり、白の時代。
その独特のニュアンスのマチエールは、絵具に石膏や鳥の糞、砂などを加えて、ざらつき感を出していたと展示解説される。なるほど。そして意外だったのは、白の時代の短さ。
本展では、お得意の都市風景、建物がモチーフの作品が並ぶ。
較べてみていると、教会の塔とか、高さのある建物をモチーフにした構図が良いように感じる。
《トルシー=アン=ヴァロワの境界(N県)》を筆頭に。
新書サイズの自伝の小冊子の配布もあり。こういうのもいいですね。
3.0
幼い時から母親の問題、アルコール依存症の問題があり絵を描くようになったようだ。
初期のモンマニー時代は印象派の影響もあるが一生懸命に丁寧にかいている。
有名な白の時代になると複雑な白の使い方に神経を集中している。とにかく建物以外の
絵は皆無に近いところにユトリロの精神が見えるようだ。色彩の時代になると少し絵が明るくなる。落着きが出てきたのだろうか。ただ雑な絵が混じっているのが少し気になる。
4.0
ユトリロの画業の変遷を辿る、没後70年の回顧展です。
ユトリロは、若い時からアルコール依存症、精神疾患にかかり、その人生は波乱に満ちたものでした。
精神病の治療として絵を描き始めたそうで、街の風景画ばかりを何枚も描き続けたこと、それも奥へと延びる通りを遠近法で描くというワンパターンな構図ばかりです。展覧会では、ラパン・アジルというモンマルトルのキャバレーを何度も描いたということで、同様の構図の作品が複数並べて展示されていました。解説によれば、ラパン・アジルを描いた作品は300点を超えるとのこと。これはちょっと異常です。きっと同じ絵を描き続けることで、精神の安定が得られたのだろうと想像します。
画風としては「白の時代」が最もユトリロらしい寂しい街並みの絵です。次の「色彩の時代」になると、普通の風景画ぽくなってしまいます。「白の時代」は1910~15年くらいの僅か5年ほどの短い期間だったことも初めて知りました。
4.0
まずユトリロが生涯に生み出した作品数の多さを想像する。
アルコール依存症とか軟禁されていた時期もあるが
とにかく治療としてもかなり描いているのだと感じる
画家の映像なんかも鑑賞できたので
少し神経質っぽい感じがしたが
自分の描き方で、自分のペースで進み続けた印象がある
縦のキャンバスにモンマルトルを描き出す美しい白い絵
もの寂しいが、美しく客観的なパリの絵のイメージだが
今回の展示では、その後「色彩の時代」の鮮やかな
軽さも明るさもある画風も素敵だった
やはり、モンマルトル、パリらしさと言ったら
まず名前があがる画家の一人であること間違いなし
4.0
ユトリロの画業をたどる展覧会。幼少期からアルコール依存症と付き合ってきた人生。複雑な環境だったが、自暴自棄にならずアルコール依存症を自ら克服しようと努力したり、戦争に志願したりと人生を立て直そうとしている。そんな彼の絵からは、人にあふれにぎやかなはずの都会での孤独を感じる。平気で絵葉書をコピーする彼には孤独を表現しようといった意図はなく、自然とにじみ出てくるものなのだろう。でもその意図的でないところがむしろ良い。やがて勲章を受章し、結婚し、晩年は依存症も落ち着き幸せになったみたいだ。色彩豊かで人物が多く描かれるようになった絵に、またそれがにじみ出ている気がする。それはそれでよかったと思うが、やはり彼の絵は孤独を感じさせる時代のものがいい。それは私も都会の孤独者だからだろうか。独りで美術館を訪れ、展覧会はそれなりに賑わっていたが、誰とも会話することなく美術館をあとにした。
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モーリス・ユトリロ《マルカデ通り》 1909年 油彩/カンヴァス 60.3×81.3cm 名古屋市美術館
©Hélène Bruneau 2024
モーリス・ユトリロ《モンマニーの屋根》 1906-07年頃 油彩/カンヴァス 65×54cm ポンピドゥセンター/国立近代美術館・産業創造センター
©Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. GrandPalaisRmn / Bertrand Prévost / distributed by AMF
©Hélène Bruneau 2024
モーリス・ユトリロ《サン=ドニ運河》 1906-08年 油彩/紙 53.4×74.5cm 石橋財団アーティゾン美術館
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モーリス・ユトリロ《可愛い聖体拝受者、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》 1912年頃 油彩/カンヴァス 52×69cm 八木ファインアート・コレクション
©Hélène Bruneau 2024
モーリス・ユトリロ《廃墟の修道院》 1912年 油彩/カンヴァス 61×82cm ポンピドゥセンター/国立近代美術館・産業創造センター(モンマルトル美術館寄託)
©Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. GrandPalaisRmn / image Centre Pompidou, MNAM-CCI / distributed by AMF
©Hélène Bruneau 2024
モーリス・ユトリロ《ラパン・アジル》 1910年 油彩/カンヴァス 50×61.5cm ポンピドゥセンター/国立近代美術館・産業創造センター
©Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. GrandPalaisRmn / Bertrand Prévost / distributed by AMF
©Hélène Bruneau 2024
モーリス・ユトリロ《シャラント県アングレム、サン=ピエール大聖堂》 1935年 油彩/カンヴァス 111×130.5cm 公益財団法人ひろしま美術館
©Hélène Bruneau 2024