5.0
ネットワークの接写
今回サラ・モリスの17の映像作品が3つのシアターで鑑賞できる。作品は大きく分けて2種類。1つは人物にインタビューを行ったもので、
・「ロバート・タウン」
・「1972」(ミュンヘンオリンピックを扱ったもの)
・「有限のゲームと無限のゲーム」(アレクサンダー・クルーゲ)
・「クリス・ロック」
がそれに当たる。予習するとより楽しめると思う。
残りは近代都市の風景を断片的に組み合わせた作品。
こうやって改めて見ると、都市って美しいんだなと思う。普段見慣れていて何とも思わないビルも、採光のため大きく作られた窓が規則的に並んでいるのが美しいと思った。アール・デコや未来派の気持ちがわかった。当時新しく生まれていた都市は珍しく美しかったんだと思う。
そういった機能的な都市、システムの中にあっても人々は個性的に見えた。サラ・モリスは寄りの映像が特徴的だと思う。人々が寄りで映し出されることにより、人々がシステムの一部ではない個として表現されている。それは、その人の内面が読み取れるから、ではなく、その人の生きてきた年輪が感じられるから。それによって、「群衆」ではなく、尊重しなければならない個として人々がそこにいる。
後者の作品は断片の中の要素が照応し合う仕組みになっていて、そのためにはやはりある程度の長さが必要である(短い映像の中で関連性のあるものが何度も登場するとくどい)。そして、そのように長い映像の中で要素が関連し合うことを見つける作品は立て続けに鑑賞するものではないと思う。最初のシアターは一つひとつの作品が短いため、ぜひ全部観てほしいが、残りのシアターの長い作品は、メインディッシュのお料理を決める感じで、自分の見てみたい都市を選んで鑑賞するのが良さそうである。キャプションのQRコードからダウンロードできる作品解説も参考になる。

