来春、関西は日本美術が熱い!「日本国宝展」大阪市立美術館で開催!
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- by morinousagisan

令和7年(2025)4月26日から大阪市立美術館で「日本国宝展」が開催されます。公式サイトや公式X(旧Twitter)もオープンし、アートアジェンダにもアップされ、詳しい内容が明らかになってきました。2017年秋「開館120周年記念 特別展覧会 国宝」が京都国立博物館で41年ぶりに開催されました。大阪では初めての「国宝展」が開催されるというニュースに、これほど早くまた国宝展が関西で開催されるとは嬉しい驚きでした。京都では出陳されなかった国宝や見逃してしまった国宝に会えるチャンスが到来です。

大阪市立美術館は、昭和11年(1936)に住友家本邸の跡地に開館し、来年で90周年を迎えます。この間本格的な改修工事が行われてこず、2年間休館して外観はそのままに、内装を大きく改修して最新の展示環境を整え、内装はより開館時に近い形に戻し、ミュージアムショップやカフェもオープンします。
本展の正式なタイトルは「大阪・関西万博開催記念 大阪市立美術館リニューアル記念特別展 日本国宝展」70年万博では美術館が建てられ、そこに世界の名画が展示されました。その美術館は、そのまま万博記念公園内に国立国際美術館として残り(※後に現在の中之島へ移転)、そのお隣には今年創設50周年を迎えた国立民族学博物館も開館しました。パビリオンの1つとして建てられた大阪日本民芸館は当時の姿を今に伝えています。来年開催予定の万博には、美術館を建てる構想がありません。
テーマは「いのち輝く未来社会をデザインすること」
日本の「国宝」は、考古遺物以外は、建物の中で伝わってきた品々で、つまり先人が意図して残そうとして今に伝えられたものです。先人の未来社会のデザインであり、先人に学び今を生きる私たちも「国の宝」も未来へ繋いでいかなければなりません。

展示構成、展示内容についてみていきましょう。
見どころ
① 参考出品と皇居三の丸尚蔵館所蔵作品以外は、全て国宝です。
② 幅広い時代と多様なジャンルの作品から日本の美の歴史を辿ります。教科書で見た国宝の実物を見る感動と美の持つ力が伝わるはず。「知ってる、知ってるよ」の興味が学び直しの場となることでしょう。
③ 大阪初の国宝展で、リニューアルなった快適な展示空間での初めての特別展として大阪ゆかりの国宝をまとめて紹介します。
展覧会は2部から構成されています。
Ⅰニッポンの国宝-美の歴史をたどる
Ⅱおおさかゆかりの国宝
Ⅰニッポンの国宝-美の歴史をたどる 日本美術にあるデザイン、意匠に注目する
第1章 日本美術の巨匠たち 誰もが知っている日本美術の巨匠、永徳、等伯、画聖 雪舟、又兵衛、光悦、光琳、応挙、蕪村、若冲などの代表作がお目見えします。
私としては、関西ではなかなかお目にかかれない、2007年の永徳展@京博ではメインヴィジュアルとなったが、2017年の国宝展では展示がなかった 狩野永徳・常信筆《唐獅子図屛風》(国(皇居三の丸尚蔵館収蔵))と岩佐又兵衛筆《洛中洛外図屏風》(東京国立博物館蔵)、尾形光琳作《八橋蒔絵螺鈿硯箱》は絶対見たい!大好きな蕪村筆《夜色楼台図》、浦上玉堂筆《凍雲篩雪図》、本阿弥光悦作《舟橋蒔絵硯箱》も捨てがたい。メインヴィジュアルにもなっている光琳筆《燕子花図屏風》は、70年万博の記念切手になりました。
第2章 いにしえ文化きらきらし 古代の文化を紹介します。迫力ある造形美と最高級の技と素材による神さまへの奉げもから古代の人たちの息吹が伝わります。
第3章 祈りのかたち 篤い信仰から生まれた造形美。お目にかかれるなら何度でも観たい 原三溪旧蔵《孔雀明王像》(東京国立博物館蔵)、《平家納経 観普賢経》(厳島神社蔵) リスト2の範疇ですが、神像はいつも不思議《家津御子大神坐像》(和歌山・熊野速玉大社蔵)
第4章 和と漢 伝統的な「やまと絵」、禅宗とともに中国から伝えられた水墨画、足利将軍家が所蔵した唐物として珍重された中国絵画など。川崎正蔵、大原孫三郎旧蔵男装の麗人 伝銭選筆《宮女図》、神護寺所蔵の肖像画の傑作も三幅揃って展示されます。初めて知る《随身庭騎絵巻》(大倉集古館蔵)が気になります。
第5章 優雅なる日本の書 大陸から伝わった漢字文化から始まる書の美は、日本独自の文字の美の世界を形成してきました。「書聖」王羲之筆《喪乱帖》、通称が知られている「流れ圜悟」圜悟克勤筆《与虎丘紹隆印可状》と「破れ虚堂」虚堂智愚筆《与照禅者偈頌》は同時期に展示されるので今度こそ見分けがつくようにしたい。平安三蹟(小野道風、藤原佐理、藤原行成)や「高野切」が第一種、第二種、第三種それぞれが展示されます。
第6章 サムライ・アート 武具が美となる日本独自の技の総合芸術。日本各地の名刀が集合します。後世に人の手が入れられていない貴重な甲冑を展示します。

Ⅱおおさかゆかりの国宝-大阪の歴史と文化
大阪初の国宝展ということで、大阪の歴史と文化の歩みを紹介します。
古来より海外への玄関口であった大阪の地は、経済、文化の中心的存在としても発展してきました。大阪の寺社に伝わる宝物を紹介します。大阪には、大阪の財界人がコレクターとなった美術館があります。和泉市久保惣記念美術館、正木美術館、藤田美術館が所蔵するお宝も展示されます。八百万の神々や自然の生が波動する《日月四季山水図屏風》(大阪・金剛地蔵)は今回も見逃したくない!薬の町として知られる道修町(どしょうまち)は、現在も多くの製薬会社があります。武田科学振興財団杏雨書屋蔵《説文木部残巻》(※杏雨書屋HPより引用「唐代 元和15年、820年ごろ書写 原本は後漢の許慎の著した部類分けの中国最初の字書、木偏の文字を解説した部分」)は、一般の展覧会ではなかなか触れる機会のない、日本と東アジアの歴史を語る貴重な史料です。
日本の美を未来へ~紡ぐプロジェクト 日本の美を「保存・修理・公開」のサイクルで未来へ継承し、国内外に向けて発信しています。本プロジェクトで修理された国宝を展示し、その保存修理の技術も紹介します。
特集展示 皇居三の丸尚蔵館収蔵品にみる万博の時代 1900年のパリ万博や明治期の内国勧業博覧会に出品された作品や資料を展示します。
イマーシブ映像による失われた智積院障壁画をCGで再現した展示空間で来場者が没入体験
音声ガイドは、大阪出身の津田健次郎さんです。
イラストレーター中村佑介さんとのコラボ企画もあります。

大阪市立美術館は、外観も見どころがあちこちにありました。既に見学会に参加した方や、大阪イケフェスで新装の美術館へ足を踏み入れた方もおいででしょう。大きなシャンデリアが吊るされていた天井の上から現れた元の天井の姿や、大理石の正面階段に反射する美しいステンドグラス、二階から真正面に見るステンドグラスの輝き、ちょっと歪みのあるガラス越しに見る書跡も忘れ難いが、やはりストレスフリーの低反射ガラスとタブレットでコントロール出来る最適な照明、免振設備も整い陶器の展示も安心、高さも幅もワイドな展示ケースは両界曼荼羅が並べて二幅掛けられるそうです。12月時点での作品リストも公開されています。展示期間は6期に分かれており、少なくとも3回は出かけることになるのではないか。その上、「日本、美のるつぼ」@京博、「超国宝」@奈良博と本展が来春同時期に開催されます。日程調節に悩む苦心の春となりそうです。

- 会 期:2025年(令和7年)4月26日(土)~6月15日(日)
- 会 場:大阪市立美術館 https://www.osaka-art-museum.jp/
- 開館時間:午前9時30分~午後5時 ※土曜日、5/4,5/5は午後7時まで
※入館は各閉館時間の30分前まで
- 休 館 日:毎週月曜日、ただし4/28、5/5は開館
- 観 覧 料:一般2400円、高大学生1700円、小中学生500円
前売券発売や企画チケット等詳しくは⇒◆
- 公式サイト:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kokuhou2025/index.html
- 公式X:@kokuhouten2025
