六甲山頂で現代アートを巡る 「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」が今年も始まりましたヽ(^o^)丿
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- by morinousagisan
2010年から「六甲ミーツ・アート芸術散歩」として始まった神戸・六甲山頂を現代アートで巡る芸術祭は、今年15回目を迎えて今回のテーマは「新しい視界」、アーティストとともに様々な価値観と出会う芸術祭にしたいとの思いが込められています。
六甲山頂の9つの会場(ROKKO森の音ミュージアム、六甲高山植物園、六甲ガーデンテラスエリア、六甲ケーブル[六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台]、トレイルエリア、風の教会エリア、六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅、兵庫県立六甲山ビジターセンター[記念碑台]、六甲山サイレンスリゾート[旧六甲山ホテル])で61組の参加アーティスト(詳しくは⇒◆)による個性豊かな作品との出会いが嬉しくワクワクします。
アートブログに掲載できる画像は10件、人が写り込んでいない画像で印象に残った作品の中から比較的うまく撮れたものをアップしました。
神戸はすぐ目の前に大阪湾が広がり、そこから一気に標高931mの六甲山系へ駆け上がる地形のために、六甲山頂のお天気はとても変わり易い。晩夏から晩秋までの長期間野外展示される作品もあり、気候、天候、時の経過と展示環境の変化など展示作品は外的な影響を大きく受けて、その場、その時々の姿を見せていきます。
今年の8月はことのほか暑さが厳しく8月はほぼ家に籠っておりました。昨年から会場に加わったアップダウンのあるトレイルエリアもコースに含まれて、年齢的にも体力的に不安がなかったわけではありません。当日は朝から曇っており、神戸・六甲山公式お出かけサイトをチェックすると気温は22℃でした。下界よりはだいたい5℃は気温が低く、吹く風は爽やかでした。
バスで六甲ケーブル下駅に着き、出迎えてくれたのが本ブログのメインヴィジュアルとなっている周 逸喬《赤と緑の行き違い》です。六甲ケーブルには赤と緑のケーブルカーが走っていて、ちょうど真ん中あたりで行き違います。港町神戸は昔から外国人の多く住む街で、文化の行き違いもありながらも共存してきました。
六甲ケーブル山頂駅に着き外に出るとガスっていて、下界は全く見えず。
毎年六甲有馬ロープウェー六甲山頂駅に展示される作品にも注目しています。
葭村太一《四基の花》使われなくなった有馬へのロープウェーのゴンドラには花の名前が付けられ、それぞれのゴンドラに花のイラストも描かれていました。木彫で表されたそれらの花がお役御免となったロープウェーの駅に据えられていました。映像作品がゴンドラの中にあり、映像と木彫作品がリンクしています。
ガーデンテラスへ向かう道すがら、笹のブッシュのなかに点在する春田美春《音の気配 雪の声》を左手に見ながら、帰宅後写真で確認すると本当に異空間?異次元へのブラックホールがポッカリ開いているような金氏徹平《tower(ROKKO》を経由して、右手上に六甲枝垂れを見上げながら六甲ガーデンテラスへ
大阪湾を一望する見晴らしテラスには布施琳太郎《ニューノーモン:新たな大地のための日時計》詩人でもある布施琳太郎は、日時計に数字の代わりに『古事記』にあるオノマトペを刻み、オリジナルの詩を作りました。
路を渡ってトレイルエリアに入り、飛行機事故で殉職された客室乗務員を悼んで建てられたみよし観音に足を止めました。
水田雅也《イノシシ村のお願い》六甲山にはかつて「イノシシ村」があり人々は野生のイノシシを餌付けして共存していました。山中に乱立する害獣駆除の看板と街頭放送のようなアナウンス、取材と証言から出来上がったノンフィクション作品にクスッと苦笑いがこぼれました。
松田修《六甲おろさない》扇風機と「六甲おろさない」の看板は、六甲有馬ロープウェー六甲山頂駅1階にもありました。その答えがここに。阪神タイガースの応援歌でもお馴染みの「六甲おろし」に下から風を送って「六甲をおろさない」ようにしようという作品に「そうだったのか」とそんな発想があったかと笑ってしまいました。阪神間アルアルの阪神沿線か、JR沿線か、阪急沿線か問題も内包しているようです。
西野達《自分の顔も思い出せやしない》かつてあった茶屋をその思い出も含めて白い発泡スチロールで封じ込めた作品です。唯一郵便受けから中の様子を覗くことができる。トレイルエリアに微かに残る何かの建物があったらしい痕跡に導かれるような堀田ゆうか《Trace(BARELY》、熱海にある「埋まる家」でも知られる建築家近藤尚《わたしのお墓》ヒトを構成する骨の数45棟のお墓に見立てた家は、石峯寺で見た若冲の五百羅漢を思い出しました。
作品だけでなく高山植物にも癒される六甲高山植物園。
Waft lab《ベルサミ:一緒に遊ぼう》インドネシアのスラバヤを拠点とするWaft Labのメンバーが、廃屋建築集団・西村組の拠点「バイソン」(神戸市兵庫区梅村にあることから「バイソン」らしい)で、アーティストインレジデンスしながら作成。協業している西村組のアーティストも含めみんなが兎に角楽しそうでした。鮮やかな色彩が緑の植物園に映えていました。(※西村組⇒◆)
巨大な土の塊がパカンと割れたような野村由香《足もとの惑星》木材と布の構造体に六甲山の土と粘土を被せた作品は、時間の経過とともにまた土に返っていくのだろう。
HAFEN 本田耕《Wind of Plants Hill》建築家の本田耕は、六甲山に心地よい休憩所を作りたかった。自然素材の籐籠を組み上げた休憩所は、緑の植物園に溶け込んでいる。中に入って腰掛け上を見あげるとポッカリあいた天井から空が見える。会期末の頃には籐籠は朽ち始めて土にかえろうとしているかもしれません。
生田目礼一《『ヒカリ島』~夜光植物“UkarukuPa”燐光実験区》植物園の池の島にカラフルなガラスの夜光植物。今年も開催される「ひかりの森~夜の芸術散歩~」(詳しくは⇒◆)では綺麗に輝いているに違いない、がしかし実は環境問題を問いかける作品です。
田中優菜《雉は鳴かずにいられない》植物園内のショップアルピラコの壁面に飾られた綴織作品です。伝統工芸技法の「綴織」で作品を制作する染織造形作家の田中さん、六甲山に多く生息する雉を織り上げました。二羽の雉の胸辺りは、有馬と六甲山頂から見た三宮あたりの景色になっています。使われている素材も様々で変化に富む美しい作品です。
兵庫県六甲山ビジターセンター(記念碑台)で、兵庫県の県鳥であるコウノトリが風と共に舞い降りた姿を表現したURBAN KNIT(兼平翔太)《STORKS》、倉富二達広《六甲の年輪を泳ぐ虎》大の阪神ファンで、シンガポール在住の作家さん、自分が住んだ都市に関連ある虎を六甲山系の巨大な木の年輪として作品にしました。
ここから再びトレイルエリアにはいり、ROKKO森の音ミュージアムを目指します。
神戸子供服メーカの別荘だったバンノ山荘には青木陵子+伊藤存《歌う家》、アトリエをそのまま利用したヤンセンアトリエでは滲みをいかした「ウエット・オン・ウエット」で動物を描いたロプ・ファン・ミエルロ《Wild Animals》を展示中
ウ・ヒョンミン《山の音》K-POPアーティストだったウ・ヒョンミンの祖父は、漁師でした。航海中に亡くなった祖父への思いと家族の歴史を山の中に据えた舟に纏わせ、夫を亡くした祖母と自分の時間を繋なげています。
漸く到着したROKKO森の音ミュージアム
「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」のメインヴィジュアルとなっているいくらまりえ《おいでおいで》野外アートエリアの上の方までゆらゆらと大きな布がはためいていました。高橋瑠璃《2人の秘密の間を過ごす》巨石なのに愛らしい作品、どうやってここまで運んだのでしょう。植物が苦手な友人を思いながら、滞在制作中に綺麗だった紫陽花も作品にしました。
のん《のんRibbon Art 昔といまをむすぶちょうちょ》兵庫県出身の俳優のん、こけしとリボンの作品です。可愛いはずのこけしと深紅のりぼんが妖しく見える。
今回も見に行こうと思ったのは、宮永愛子が招待作家として安藤忠雄設計の「風の教会」で新作を発表されるということからでした。
この風の教会で、大きな窓を通して木の葉に風を見、教会へさし込む光の変化を受けとめて、神戸の成り立ちや歴史をリサーチして作品を造り上げています。有馬の太古の地層と六甲山系からベルトコンベアーで埋め立て地へ運ばれた土。都市やそこに住む人々の思い出や資料や記録の写真・・・
教会の中には8人ずつしか入れず、入り口で拡大レンズが手渡されます。
立ち去りがたい展示空間でした。
9月8日(日) 兵庫県立美術館 KOBELCOミュージアムホール において
神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond ×兵庫県立美術館 連携企画 KEN-Vi文化セミナー
「宮永愛子meets 神戸・安藤忠雄建築 ―この地での出会いから生まれた新作を発表する宮永さんを招いて」が開催されます。もちろん聴講予定です。詳しくは⇒◆
映画の一シーンのようなヒーローたちに見送られて会場を後にしました。
昨年は、10月の半ば過ぎにも出かけて、初めてロープウェーで有馬へ下りました。季節が移り風雨に晒されて原形をとどめていない作品も少なくはなかったです。今回も早々に大型台風が近づき作家さんやスタッフさんは作品をどう守るか心配されていました。
1度で全部回ることは難しいですし、トレイルエリアはしっかりした運動靴でお出かけ下さい。残暑が過ぎ去り、紅葉の時期がお薦めです。美術館は一人で出かける私ですが、芸術散歩の言葉通り、地図を手に連れとワイワイと、作家さんから作品のお話も伺いながら巡るのが愉しい。子供向けワークショップもたくさん開催予定です。お子さんがアートを体験できる素敵なチャンスです。
旧六甲スカイヴィラテラスには、ママサンユニットのマキコムズ《BE SUN GARDEN》兵庫県発祥のビーサンのカラフルな端材を利用しています。サンルームはいつでも自由に参加できます。
オフィシャルガイドツアーも開催予定です。麓からバスで六甲山サイレンスリゾートの昼食と鑑賞パスポート付きで5000円はお得かも。詳しくは⇒◆
【開催概要】神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond
- 会期:2024年8月24日(土)〜11月24日(日)
- 開催時間:10:00〜17:00
※会場により営業時間が異なります。17時以降も鑑賞できる作品があります。
- 会場:神戸・六甲山上9会場
ROKKO森の音ミュージアム/六甲高山植物園/六甲ガーデンテラスエリア/六甲ケーブル/(六甲ケーブル下駅・山上駅・天覧台)/トレイルエリア/風の教会エリア/六甲有馬ロープウェー 六甲山頂駅/兵庫県立六甲山ビジターセンター(記念碑台)/六甲山サイレンスリゾート(旧六甲山ホテル)
- 鑑賞パスポート料金 ※詳しくは⇒◆
- 公式サイト:https://rokkomeetsart.jp/