宮永愛子-海をよむ@ZENBI 鍵善良房
- 7
- 0
- VIEW208
- by morinousagisan
有楽斎展@文博に併せて特別拝観されている正伝永源院へ伺って、直ぐ近くのZENBIさんへも伺ってきました。
現代美術家宮永愛子さんの展覧会です。現代アートはちょっと苦手な私は、国際美や大阪や神戸で開催される現代アートイベントが若手の現代作家さんを知るきっかけとなります。宮永愛子さんを知ったのも国際美で目にした”ナフタリン”の造形でした。儚い”ナフタリン”(若い人に「ナフタリン」は通じなかった)で作られた作品ってと、白いふわぁふわしたものが舞っているような作品が印象に残り、以後「宮永愛子」と言う作家の名を目にするたびにあぁあの作家さんだと思うようになりました。コロナ禍前は、18切符で日帰りのアートの旅に出るのを楽しみにしており、2019年夏には瀬戸大橋を渡って『宮永愛子展 漕法』@高松市美術館へ出かけました。決して饒舌ではないが、サヌカイトの音と共に映像として自分の中に深く残る思い出深い旅となりました。
それまで彼女の経歴を辿ることをしてこなかったのか?すっかり抜け落ちていたのか?2021年秋京セラ美で開催された『コレクションとの対話:6つの部屋』の参加アーティストの一人に「宮永愛子」を見つけ、あらっ!と、彼女は京セラ美の近くに生まれ、京都で育ち、「宮永東山窯」を開いた京焼の陶芸家、初代宮永東山の曾孫でした。近年、京都に活動拠点を移して、実家で目にしていた「陶房に今も残る古い型にガラスを流し込み」、それで招き猫だったのかと、答え合わせは2階の展示室にありました。
皆さんもよくご存じの通り、鍵善良房は、祇園社近くにある老舗菓子舗さんです。あこの「くずきり」を召しあがった方も多いでしょう。本店に入れば大きな飾り棚に河井寛次郎の作品が飾られていることにもすぐお気づきになったことでしょう。漆芸家黒田辰秋は鍵善さんの螺鈿のくずきり用の器や朱塗りの飾り板なども制作しました。
本展では、宮永さんの作品と鍵善の所蔵品や黒田辰秋の漆芸作品が共鳴し、ZENBIならではのしつらえと相まって、素敵な展示空間、全てを含めたインスタレーションの様でもあり、そんな中に身を置き、花見小路の側と言うことも忘れる静かな時間を過ごさせて頂きました。
サウンドインスタレーションだったようですが、器の形と色に惹かれ、見込みを覗き、携帯で拡大していると、器の貫入が美しくて、キャプションを撮るのを忘れてしまいました。
あちこちに置かれた招き猫の答え合わせです。この石膏型にガラスを流しいれて作られていたのでした。鈴や耳や左前足や後結びなどは別の型で作っていたのですね。陶芸家の家系という自分の出自と現在の宮永さんを繋ぐ石膏型です。
鍵善所蔵の木型も展示され、その木型から発想を得たガラスの作品も展示されています。
美術家宮永愛子の過去と現在そして未来を受けて、京都の過去から未来へ流れる時間に思いを馳せながら
【展覧会概要】宮永愛子-海をよむ
会期:2023年6月3日(土)~8月27日(日)
会場:ZENBI 鍵善良房 https://zenbi.kagizen.com/
開場時間:10:00-18:00 [入場は17:30まで]
休館日:月曜日 [祝日の場合は翌平日]
観覧料:一般 1000円、大学・高校・中学生 700円、小学生以下無料