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KOBE Re:Public Art Project KORPA 特設会場「住友倉庫」

住友倉庫外観

神戸リパブリックアートプロジェクト #KORPA

「パブリック」に「アート」はすでにある。わたしたちが見落としていた”古くて新しい”神戸を発見しよう。

神戸出身のコンテポラリーダンサー(俳優、振付師)森山未來さんに神戸市が依頼して立ち上がったプロジェクトのようで、関西辺りのメディアでは何度も取り上げられてきていました。気にはなっていたけれど・・・、どこに行けばいいのか?何を観ればいいのか?街歩き?演劇?パフォーマンス?・・・片桐はいりさんの演劇とか観たいけれど、どこも人出が多そうだ。

(参考)昨年9月1日の記者発表の記事⇒コチラから

そして会期末も近づく。知り合いの現代アート作家さんのFBで「行ってきました!」を読んで、漸く重い腰が上がりました。

 何度もグーグルマップで場所を確認して、でも先にKIITOによって会場となっている「住友倉庫」への行き方も確認して。

参加が決定した23人のアーティストさんたちは、海も山もある神戸に滞在して、街をリサーチし、何が気になり、何に気づき、「神戸で何を発見したのか?」

それぞれのアーティストが撮影した写真をマッピングしたインスタレーションとアーティストのプロフィールが、KIITOの1階に紹介されていました。

KIITO(デザイン・クリエイティブセンター神戸)は、つまり「生糸」神戸・三宮の海側にあった「生糸検査所」を改修した建物で、詳しくは⇒コチラから

アーティストインレジデンス、制作のための宿泊の場も森山さんが立ちあげたとのニュースも読みました。※美術手帖の記事⇒コチラから


住友倉庫外観

KORPA特設会場は、神戸の発展を支えてきた港湾施設の「住友倉庫」でした。

大正時代に建てられたこの倉庫は、取り壊しが予定されているらしい。

そもそも港湾施設の倉庫に入るなんてことはまずない。いえ、近づくことさえありません。

見えてきた住友倉庫の外観にまずビックリ(*_*;

防波堤を越えればそこは海で、左手にはポートアイランドが伸び、停泊中の船も見える。すぐそばではまだ埋立中の作業場もある。入口入る前に倉庫の前を行ったり来たりウロウロして、港湾倉庫の建物を見上げる。

そうして漸く入口から一歩踏み入れて目にする光景にもえっー!となりました。

※※展示作品の説明は、展示会場での解説を全て引用しました。


会場入り口入ってすぐの光景

ドンツキに見えるのは 遠藤薫「閃光と落下傘・神戸」まるで映画のスクリーンだ!


遠藤薫「閃光と落下傘・神戸」

「神戸港で実際に使用されていた麻袋を再利用して制作した落下傘の作品。

中世末期のヨーロッパにおいて、船の帆布をもとに落下傘が発明されたこと。また、戦時中に製麻工場は軍事作戦用の落下傘を制作する工場に転換されたこと、物資不足のため麻でも落下傘を織った、などの証言から本作品は着想。」

この倉庫は、スパイスの貯蔵倉庫として使用されていたそうで、微かにスパイスの匂いが残っているようです。(花粉症で3重マスクの私には分からなかったですが)「スパイス」うーんと遡れば大航海時代は麻袋に香辛料を詰めて運ばれて・・・歴史を遡り、大海原へも繋がる。


小金沢健人「//」

「約100年前に建てられた倉庫内での、照明を使ったインスタレーション。坂道の神戸と港の神戸に取材し、それを元に照明のリズム構造を決定している。神戸のモーションスケープと光の表現に読み換える試み(18:00-20:00の間は振り子としてインスタレーションを稼働予定。)」

左右天井まで階段が迫る。天井に吊るされたクレーン・・・まぁ長く生きてきて実際に見たことがないものばかり、ゾクゾクゾワゾワ、空間内を行ったり来たり回ってしまいました。

『のぼって、くだる、回ってすすむ。神戸では海と山のあいだでいつも体が傾いている』リサーチと再発見というよりも「そのままやん!」とも思いながらも、高さもゆうに20mはあろうか、巨大な空間に包まれ、光の加減でモヤ?埃が舞っているのも見える。見える限りでは、作家は2つの電球を吊るしただけなんだけど(既成の巨大空間に最小限の仕掛けで成立するインスタレーション)


小金沢健人「//」の展示空間

この空間、最近見たような気がする・・・草刈正雄と濱田岳が出ていた探偵物のロケ地?

この展示空間を最大限に生かした作品ではないだろうか?展示会場は15:00~で、夕方からは吊るされた電球が振り子のように動くらしい。その光景も見たかった!夕方から観に行った方は、昼間は外からの光が入り込みまた違って見えると仰っておりました。私の拙い文とヘボイ画像からではその大きさが伝わらないのがとても残念です。


今西泰赳「直会(なおらい)」

3番目の空間の入り口に立ち、真正面に見える祭壇の様な作りが、見た瞬間はボルタンスキー思い出す。

今西泰赳「直会(なおらい)」


今西泰赳「直会(なおらい)」

「酒造りを通じた、神戸の過去と未来の視点を提示。酒造りに必要な米、水、菌、そして人。さまざまな時代に工夫と改良なされてきたその歴史の「これまで」と「これから」を考えることをテーマとした作品。」

※六甲山の宮水を利用した酒造り「灘五郷」西宮から三宮にかけて海岸線には酒蔵が多い。⇒コチラから


秦雅則「ATLAS(homo sapiens-made) KOBE」

秦雅則「ATLAS(homo sapiens-made) KOBE」

「神戸湾岸を散策して撮影した素材を、ガラスと光を使って多面的に表現した作品の展示。」


内海昭子「Traverinng strata」

奥の方で何やらが動く音がする。

内海昭子「Traverinng strata」

「神戸の地層をテーマにしたアート作品の展示。かつてベルトコンベアと船で大量の土を運ぶ「山、海へいく」という壮大なプロジェクトにより、地球が誕生した46億年以来初めて、自然に上に向かって積み上げられていった地層が人の手で移動するようになった。ベルトコンベアに乗って時間が運ばれた。現代の土の作られ方を再現し、これからの土を考える作品。」

神戸出身の作家ならではの作品と感じた。山を削ってその土を埋め立て地へ運び、人工島を作ってきた神戸。今もこの倉庫の前でも埋め立ては続いています。本当に神戸空港は必要だったのか?山から運ばれサラサラと落ちて、古い地層が新しい地層を覆って埋め立て地となる。サラサラと落ちる砂とベルトコンベアの動く音もあいまったインスタレーションで、動画の方が分かりやすいかったかもです。


日頃ははんなりした日本画や茶道具を好み、甲斐庄楠音展観ただけでもドギマギしてしまう私。いやー兎に角、私にとっては衝撃的な空間でした。作品というよりもこの倉庫そのものにガーンと・・・

 

外に出てみるとお隣はなーんと最近出来たフェリシモの水族館です。”カワイイ”がコンセプトのようなフェリシモとのギャップに唸ってしまいました(゜.゜) フェリシモさん、ついでにこの倉庫も取得して、ドーンとスケールの大きな現代アートを展示したら、評価ももっと上がるかも・・・個人的意見です? KORPAの運営はエイベックス・エンタテイメントでした。

住友倉庫での展示は、3/12まで 


このプロジェクト、森山未來をメインキュレーターに迎えたとあって、内容も多彩。今回は成果物を求めないとのこと、継続的なプロジェクトとなることを願っています。

【開催概要】神戸リパブリックアートプロジェクト

  • 会期:2023.02.22 WED -03.09 SUN
  • 会場:神戸市全域
  • プロジェクトサイト:

プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
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