鑑賞レポート一覧

佐伯祐三 自画像としての風景

佐伯祐三 自画像としての風景

東京ステーションギャラリー|東京都

開催期間:

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佐伯と共に世界を巡る

いゃあーー、実におもしろかった!楽しかった!大満足である。
大阪、東京、パリ。もっと細かく言えば下落合やモランなど、その土地土地での
風景を描いているのだが、その時の佐伯の心理描写まで反映しているかの様で
ただの風景画に収まっていないのが、また良い。
どこにでもある田舎の風景なのに、和みとか牧歌的な色合いが薄くて
常に全力で、力強く描いているのが、カッコいいんだよなぁ。
東京のアトリエ近くの下落合を描いたシリーズは佐伯の画風の中でも
比較的、優しさとか、温かさを感じる作品だと思う。
ホントに何でもない、田舎道とか電柱とか民家とかなんだけど
やたらと心に沁みます。(泣)

自画像から始まり、下落合、大阪、近しい人たちの肖像画と続きます。
中でも一人娘の彌智子(やちこ)の一歳頃を描いた作品なんて
慈愛に満ちていて、もう可愛くて仕方なかったんだろうな、って言う感じが
全面に出ててほっこりします。
静物画も秀逸で茹でたズワイガニなんかおもしろいです。
活きが悪いからと捨てられたカニを拾いあげて30分で描いて、描き終えたら
一人でそのカニを平らげた、と言うエピソードもおもしろい。
佐伯のちょっとした人間性も感じられて良き良き。

その後、2度のパリ滞在期間中の絵画が作風の変遷と共に見られます。
街中のどこにでもある、壁だとか、広告だとか、店舗の外観だとかを
ひたすら、描いてます。好きなモチーフは何度も描いてます。
でもそこにはその土地で感じた喜びや高揚感、葛藤や焦りなんかも表れていて
パリが佐伯を完成させた、と言われているのも納得できる作品群です。
パリでヴラマンクを訪ねて、こてんぱんに批判されてから己の作風を
模索している様子がありありと分かるのでそこも楽しむポイント。

圧巻なのはモランでの作品群。20日で30数枚と言う、ハイスピードで描かれた作品たちは
正に命を削って生み出されたもの。一心不乱に己と向き合った成果が教会や雪景色などに
込められているが、モチーフとは裏腹に、様々な情念が渦巻いていて
見ているこちらの胸が締め付けられるほどに息苦しさも感じられる。
まだまだ、見所は続きますが、ここらへんで失礼します。

儚くもあまりに濃すぎた画業人生を包括的に見られるのでオススメです。
しばらくはまぁまぁ、混雑するかと思います。
配達夫のワンポイント刺繍の入ったハンドタオルがかわいかったです。

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