お雛様だけだと思いきや?
1月11日 京セラ美術館[2025冬期]コレクションルーム 特集「お雛さまと⼈形の世界〜絵画と共に四季をめぐる」
に行ってきました。
・撮影一部OK(お雛様を撮影できなかったのは残念)
・「副館長&作家と話そう! in コレクションルーム 冬期」に参加
最近、美術館の関連イベントを狙って通っているのですが、これが本当に楽しいです!
作品についてプロの視点を直接聴けますし、鑑賞のコツを教えていただけるのも非常にありがたい。
ただし、お話を聞くとそれが正解という先入観になってしまうこともあるので、
イベント開始前に軽く1周回っておくのが私のおススメです。
展示は四季に関するものを始め、細かくテーマ分けされていましたが、
その中から自分のお気に入りと関連イベントで話題に上った作品について紹介します。

【 津田信夫 英雄闘志 鋳銅軍鶏置物 】
おかしいなあ、昨年からなぜか「鶏」がかっこよくて仕方がありません。
きっかけは、やはり若冲なのですが、この作品は若冲とはまた違うアプローチで鶏のカッコよさを引き出していました。
羽の描写はあえてあっさりと省略されていますが、
首の筋肉の躍動感と足のどっしりとした重量感……写真からでも伝わりませんか?
【 福田平八郎 白梅 】
関連イベント案内役の作家さんから、枝の広がりや余白の効果について解説をいただきました。
この絵、実は画面の右半分が余白です。
「この余白がもし3分の1や3分の2だったら、見え方はどう変わるだろう?」という話題で盛り上がりました。
【 四世、五世、六世 大木平藏製 本行衣装人形大勢 】
タイトル通り、本当に大勢でした。その密度たるや、シルバニアファミリーも真っ青です。
お雛様のような端正な顔立ちに、正式な有職(ゆうそく)のしきたりに従った着物と小物の数々。
……正直に言ってしまうと、「ここまで精緻に作ってどうするの!?」と圧倒されるレベルです。
しかも、その小物の作家さんがイベントに紛れ込んでいたというサプライズもあり、
急遽「副館長・作家・職人に聞いてみよう」という豪華な会に。これもイベントの醍醐味ですね。
人形用に縮小された小物や楽器は、すべて実際に使用可能な状態で仕上げられているという驚きの事実も。
材料収集の苦労は想像できません。
これから鑑賞される方は、ぜひ「すべて本物と同じ手続きで作られている」という点に注目してみてください。

【 梥本一洋 送り火 】
今回の私の一推しです。
苧殻(おがら)を焼きながら精霊送りをしている光景ですが、
一番上のお姉さんが燃やしている「手紙」が気になって仕方がありません。
誰からの手紙なのでしょう……。
後ろにぽっかり浮かぶ満月が「今は19〜20時くらいかな」と思わせます。
この時間帯の火遊びって、子供は興奮して夢中になってしまうのはよくわかります。
【 五世大木平藏製 黄櫨染御袍 有職雛一式 】
当初、一番見たかったのがこちらです。
「黄櫨染」は今上天皇しか着用が許されない特別な色。
それを雛人形という形で見られるのは非常に貴重な機会です。
先ほども書いた「有職」の古式に則った正式な作り方に、感動もひとしおでした。
【 小清水漸 垂線 】
副館長が「どうしてもゲストとディスカッションしたい!」と熱弁されていたのがこちら。
天井から吊るした鉄線に、真鍮製の円錐を取り付けたオブジェのような作品です。
副館長から「この作品、どう思います?」という、まさかの無茶振り(笑)。
それでも次第に意見が出始め、
「円錐の造形に意図があるのでは」「ライトの当て方が計算されている」など活発な議論に。
そんな中、ある方が「タイトルが『垂線』なのだから、実は円錐ではなく鉄線の方が主役では?」と発言され、
作家・副館長・ゲスト一同が大喝采!まさに目から鱗の瞬間でした。

【 西村五雲 園裡即興(左:下絵) 】
作家さんがディスカッションに選んだのがこちら。
私自身、最も衝撃を受けた作品です(理由はネタバレになるので内緒です)。
一見すると、とてもほのぼのとした絵なのですが、ここでも「どう感じますか?」という問いが。
ゲストからは「寂しそう」という感想も出ましたが、
副館長からは「最初はキャプションを読まずに感じるのがいいですよ」とアドバイスがありました。
私には、圧倒的な「無関心」が表現されているように感じられました。
また、もし下絵を鑑賞する機会があれば、修正跡に注目して
「修正前後でどう印象が変わったか」
を考えてみるのがコツだそうです。岩絵具を細かく磨り潰してパステル調に仕上げた技術も見どころです。
前日までは、お雛様の美術展だと思っていましたが、実際は多方面からアプローチされた素晴らしい展示でした。
関連イベントはやはり楽しく、ゲスト同士のディスカッションも熱を帯びていて大満足です。
特に、有職雛や小物の「本物を」極限まで小さくする、
という執念にも似た精緻な職人技には、深い感動を覚えました。
