4.0
一旦の大回顧展。但し、回顧するにあまりに時期尚早。
絵画は具象も抽象もあれば大小もさまざま。陶芸、版画、学園祭風のインスタレーション、更にはビジュアル系音楽コラボ、等々。
表現手法は多種多様であり、何といっても展示品数が膨大です。
私の食欲ではとても食べきれない料理の数々。
それに加えて、迸るエネルギー。捻じれ、屈折を織りなしながらの、圧倒的な熱量。
視点は、時に自己に向かい、時に美術界を取り巻くレジームへの懐疑へと向かうが、活動歴約20年を経て、未だに矢は放たれ続けているようだ。
発散・漂流・遷移が留まるところ知らず、現在進行形である。
そこそこ齢を重ねた私のような鑑賞者にとって、落ち着く場所はなく、これはもうカオス。
ジグザグしながら走り続ける韋駄天の梅津氏の後姿を、何とか見失わないようにするのが精一杯だ。
初期作品の梅津氏自身の裸体画《フロレアル(わたし)》《智・感・情・A》の頃は、私も手を取り合って歩けていたように思うのだが。
10年後、20年後、梅津氏は何処に、何に、辿り着くのでしょうか。そこで、何を自身の生業、定めと見出すことになるのでしょうか。
否、どこまでも発散・遷移しつづけるのかもしれませんね。
同期して共感するのは私には難しいですが、遠目から後姿を末永く追い続けたい、それが今からとても楽しみ、そう思いました。