5.0
デルヴォーの「森」に会いに行く。
大好きなアーティスト・ポール・デルヴォーの「森」が展示される期間なので、観に行ったコレクション展示。
実は実家がある地域の美術館にも関わらずで過去1度くらいしか行ったことがなかったが、たまたまデルヴォー作品を所蔵している国内美術館について調べていたらなんとこの埼玉県立近代美術館が1点、しかも作風が変化する重要な転換期に当たる作品を持っていることを知って、行かなければ!と思い立った。
ただし常設している訳ではないだろうからいつなら?と思っていたら、ちょうど今年2024年夏は「シュルレアリスム宣言100周年」というテーマで行うとあり、これならきっと展示されるだろうと期待して展示作品をチェックしたら案の定あったので、とても楽しみにしていた。
企画展は敢えて観ずコレクション展へ直行。
シャガールの花の絵やモネの初期風景作品(わりと写実的!)といった珍しい作品展示を観ながらついに「森」と対面!
見ごたえがある大画面だ。
月が高く昇る夜に、天幕の下に夢見るように目ををつぶって横たわる輝く裸婦。これはもちろん運命の女性・タム。周りには生き生きした植物に囲まれており、だんだんと遠ざかる列車があっても駅ではない感じ。
駅や電車が描かれている作品は他にも観たが、それらとも異なる生命力を感じる。
この絵について事前に調べた時に知ったのが、束縛する母が亡くなり、若い頃両親の反対で泣く泣く別れたタムとの偶然の再会後に描かれたという運命の転換期の作品だけあって、新たな出発を暗示しているように思う。
明るくはないけれども重たすぎることもなく、シュルレアリスムらしい神秘的な雰囲気を湛えたいい作品。
鑑賞する人たちもこの絵の前で佇む時間は長かった。
私としても出かけた甲斐あり!と満足感が大きかった。
他にもシュルレアリスムの未知の作品にも出会え(ロベルト・マッタという人の作品が気に入った!)、こんなに色々といい作品を収蔵している美術館だったのか!と驚きも感じたくらい充実した内容だった。
にも関わらず残念だったのは、作品目録が展示室内閲覧用のみで持ち帰り用がなかったこと。コレクションだからといって手を抜いて欲しくなかったなあ‥。
ちなみに告知ポスターやイベント案内にはこのデルヴォーは紹介されていなかったので、我ながらよく調べて見つけて良かった。
屋外にも彫刻展示があったり… Read More