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キリスト教的幻想から禅的な抽象画へ
横尾龍彦は1950年に東京美術学校日本画科(つまり東京藝大日本画科)を卒業した、と知って興味がわきました。メインビジュアルになっているはどうみても日本画じゃないし、岩絵具なんか使ってない。テーマもキリスト教風だし、なんでそうなったのか知りたくなりました。でも、当初は葉山の神奈川県立近代美術館でやっていて、どうも遠くて面倒と思っていたら、埼玉県立近代美術館に巡回してきたので、ようやく見に行きました。
美術学校卒業後、キリスト教に入信、その後、渡欧してスイスで個展。帰国後はキリスト教的幻想画を描いて、澁澤龍彦や種村季弘に評価されたとのこと。横尾龍彦の父は日本画家、母は霊能者とある。そういった環境で育った画家ならば、こういった画風もうなずける。そして、神秘主義的な方向は禅やルドルフ・シュタイナーの霊学に向かって、描く絵画は禅画風な要素を取り込んで、完全な抽象画の世界に入っていきます。晩年のパフォーマンスの映像を見たのですが、踊りながら抽象画を描いてました。
というわけで、かなり面白い。なんとも振幅の広い画家の生涯を堪能しました。