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静かなエネルギーを感じました
展示されている多くの彫刻は、木製にしろ石膏にしろ、大胆に激しい造作をもって作品に形作られていました。展示室の中に静かに佇んでいながらも圧倒的なエネルギーを感じるのは、制作を通じて作者の生命エネルギーが封じ込められているのではないかと思いました。
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日本の現代美術を代表する彫刻家・戸谷成雄は愛知県立芸術大学で彫刻を専攻したのち、1970年代より本格的な活動を開始しました。彫刻というジャンルが批判や解体にさらされていく同時代の美術潮流のなかで、戸谷は彫刻の起源や古今東西の彫刻表現を探究し、彫刻とは何かを問い続けました。
木材の表面をチェーンソーで彫り刻む「森」シリーズの発表を機に80年代から国内外で高く評価され、ヴェネチア・ビエンナーレ(1988年)をはじめ数多くの国際展に参加してきました。90年代より「《境界》から」、「ミニマルバロック」シリーズ、2000年代より「洞穴体」シリーズ、近年には「視線体」シリーズなど優れた作品を手がけ、精力的な活動を続けています。
本展では「森」シリーズなど代表作を含む約40点によって、半世紀にわたる実践を振り返ります。さらに「森」に至るまでの初期の模索にも焦点を当て、初公開となる卒業制作の人体彫刻や資料類をあわせて紹介し、戸谷成雄の創作の原点を検証します。
◆ 戸谷成雄(とやしげお)
1947年、長野県上水内郡小川村生まれ。1975年、愛知県立芸術大学大学院彫刻専攻修了。初個展「POMPEII‥79」(1974年)以降、同時代の美術潮流のなかで解体されていった「彫刻」というジャンルの再構築を試み、その根源的な成り立ちや構造を問う作品を発表する。1984年より制作をはじめた「森」シリーズによって高い評価を得る。主な個展に、「視線の森」(広島市現代美術館、1995年)、「戸谷成雄 森の襞の行方」(愛知県美術館、2003年)、「戸谷成雄 洞穴の記憶」(ヴァンジ彫刻庭園美術館)、「戸谷成雄―現れる彫刻」(2016年、武蔵野美術大学 美術館・博物館)など。ヴェネチア・ビエンナーレ(1988年)、光州ビエンナーレ(2000年/アジア賞受賞)をはじめ多くの国際展に参加。2009年、紫綬褒章受章。武蔵野美術大学彫刻科名誉教授。
会期 | 2023年2月25日(土)~2023年5月14日(日) |
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会場 | 埼玉県立近代美術館 Google Map |
住所 | 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1 |
時間 |
10:00~17:30
(最終入場時間 17:00)
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休館日 |
月曜日 5月1日は開館 |
観覧料 | 一般 1,200円(960円) 大高生 960円(770円)
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TEL | 048-824-0111 |
URL | https://pref.spec.ed.jp/momas/2022toya-shigeo |
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展示されている多くの彫刻は、木製にしろ石膏にしろ、大胆に激しい造作をもって作品に形作られていました。展示室の中に静かに佇んでいながらも圧倒的なエネルギーを感じるのは、制作を通じて作者の生命エネルギーが封じ込められているのではないかと思いました。
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戸谷成雄の作品は、巨大な木彫で、木材からチェーンソーで削り出したもの。刻まれた痕跡が荒々しく、ストロークが長いものもあるし、チェーンソーでこんなに細かく刻めるんだ、と思わせるものもある。いずれにしても手で鑿を振るってできるものではない。今回の展示では、チェーンソー以前の作品、初期の1970年代の作品から順に2020年の作品まで展示している。初期の作品は、コンクリートを使ったり、すべすべとした木彫の人体彫刻だったりと、かなり作風が違う。いろんな手法を試している感じが面白いところ。後半は、チェーンソーを使った代表作の《森》シリーズ以降が並ぶのですが、なかなか圧巻です。個人的には《森IX》という220cmの高さの木彫を30本(5×6)並べたのが気に入ってます。ちなみに、すべて撮影可でした。
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