「椅子の美術館」がアートとしての「椅子」を通して多様な文化や社会背景も伝える
こちらの美術館には、5・6年以上は前になると思いますが、一度だけ何かの企画展を観に来たことがありました。その時は駅前にもかかわらず、地元の子供たちが遊び、お年寄りも憩う、緑いっぱいの公園の中にあり、現代的で斬新でおしゃれなデ…readmore
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美術の中の椅子は、権威の象徴として、記憶の依り代として、あるいは拡張された身体として、さまざまな機能や象徴性をまとっています。
椅子という身近でありながら特異な造形物の背後には、どのような哲学や思想を見出せるでしょうか。
デザインの文脈を離れ、現代のアーティストによる平面・立体・映像作品を通して、「究極・絶対」なるものとしての椅子に迫ります。
【FEATURE|展覧会レポート】
芸術家たちは椅子を使って何を表現したか。「アブソリュート・チェアーズ」
会期 | 2024年2月17日(土)~2024年5月12日(日) |
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会場 | 埼玉県立近代美術館 Google Map |
住所 | 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1 |
時間 |
10:00~17:30
(最終入場時間 17:00)
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休館日 |
月曜日 ※ただし、4月29日、5月6日は開館 |
観覧料 | 一般 1,300円(1,040円) 大高生 1,040円(830円)
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TEL | 048-824-0111 |
URL | https://pref.spec.ed.jp/momas/ |
こちらの美術館には、5・6年以上は前になると思いますが、一度だけ何かの企画展を観に来たことがありました。その時は駅前にもかかわらず、地元の子供たちが遊び、お年寄りも憩う、緑いっぱいの公園の中にあり、現代的で斬新でおしゃれなデ…readmore
5.0
素晴らしい展覧会でした!
いろんな、美的な、独創的な、椅子がならぶ展覧会だと思ってました。
それは、常設展で展示されていて、それはそれで見応えあり。
しかし、企画展は、椅子という概念をめぐる、さまざまな美術家からの
アプローチが、それぞれの形で造形化されていた。そもそも、造形じゃ
なくて、写真とか、ダンス映像とかまであった。もちろん、岡本太郎的な
意味だけじゃなくて、座れない椅子もたくさんあった。めくるめく展開。
そうした中でも、椅子としての造形じゃなくて、作品としてのかたちに、
椅子をめぐって、時間も記憶も込められた宮永愛子作品には、息をのんだ。
5.0
当方、こちらの美術館は初訪問でしたが、駅周辺が京浜東北線らしい雰囲気に類似性を感じながら、事前に地図で確認していた印象をもとに、駅前から見渡せる公園に向かって歩くと程なく到着しました
しっかりした建物でお金がかかっている印象
展示作品は椅子という概念でイメージする家具・道具の作品性でなく、展示の最初にあるデシャンの"自転車の車輪"が本展のキーノートという感想
最初の建築物が洞穴だったことになぞらえて、最初の椅子は石とか段差など座れるもが本質だという思い込みがあるが、人が座るモノとして定着した椅子を物質に還元して戻したところに行き着く先は椅子の機能を喪失したただのモノになってしまい、椅子ではない、そのような人間の認識構造を椅子を通じて展示しているような印象
椅子の魅力はもっといろいろな切り口があるような気がしつつ、その魅力に依拠した展示という点でもっと発展性があるような気がした
副産物産店による実際に座れる椅子や岡本太郎氏の椅子などが展示品かつ座ることができるのは楽しいうえ、「椅子の美術館」としてホールにいくつかの有名な椅子が設置され、実際に座れる点で楽しめた
この美術館は椅子に相当の愛があるかもしれない
3.0
居場所として椅子を様々な観点から捉えた展示である。それは安心して心の拠り所となるような場だけでなく、対極にある危険で極悪な場でもあることを椅子を通して表現されているのは興味深い。
4.0
埼玉県立近代美術館はデザイン史上の名品となる椅子をコレクションしていて、それらに座れることもある。そこで椅子の美術館と自称していたりする。でも今回のテーマはデザイン系の椅子ではなく、現代美術が扱ってきた椅子についてです。
というわけで、デシャンの《自転車の車輪》、木製スツールの上に自転車の車輪をひっくり返してがネジ止めして載っかっている作品とか、金色のよく分からないモノに覆われた草間彌生の《無題(金色の椅子のオブジェ)》とかの座れない椅子から始まって、椅子がテーマの作品を83点展示してます。よく集めたな、という感じで、少々感動しました。
気になった作品ですが、宮永愛子のナフタリンで作った椅子をガラスケースに封じ込めた《waiting for awakening -chair-》(2017)。この作品、ケースにシールが貼ってあって、これを剥がすとナフタリンの気化が始まるらしい。白い布に黒い糸でドローイングしたYU SORAの《my room》(2019)。毛布にくるまった少女がソファに横たわっている状態を灰色一色の立体で表したハンス・オプ・デ・ビークの《眠る少女》(2017)。そして会場の外にあるのですが、ミシェル・ドゥ・ブロワンの《樹状細胞》も◎。この作品は40脚の会議用椅子を球形に組み合わせたもので、樹状細胞という免疫細胞を模した作品です。これが、美術館の地下1階から地上3階まで吹き抜けているセンターホールにぶら下がっているのでした。
あと、座れる椅子として20点ほど出展した副産物産展というプロジェクトの作品も面白かった。一応、展示作品は座れないものが多いのですが、ここにあるのは全部座れます、というのはなんだか嬉しい。
ちなみに一部撮影不可。公式図録は制作中で平凡社から3月下旬刊行予定。
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