4.0
メキシコの文化が気持ちいいです
メキシコというと明るく大らかな国民性で遠く離れた異国の地というイメージでしたが、古代文明色の強いメキシコと古くからある文化を大切にしている日本の親和性は意外にも高いのだと良い意味で考えが変わりました。線も色彩もはっきりした作品が多く、普段美術展に触れない方でも楽しく鑑賞が出来る展覧会だと思います。影響を受けた5人の日本人作家の作品もふんだんに展示してあり、最初から最後まで飽きずに見ることが出来ると思います。
美術館・展覧会情報サイト アートアジェンダ - 日本全国314の美術館・博物館と779の開催中&開催予定の展覧会をご紹介中!
1950年代の日本では、メキシコ美術が展覧会や雑誌を通じて盛んに紹介され、多くの美術家がその鮮やかな色彩、古代文明や革命の歴史と結びついた力強い造形表現に魅了されました。とりわけ、1955年に東京国立博物館で開催された「メキシコ美術展」は、美術家たちがメキシコに目を向けるきっかけとなります。
一方、埼玉県立近代美術館は1982年の開館以来、メキシコの近現代美術を収集し、メキシコ美術に焦点をあてた展覧会をたびたび開催してきました。こうした活動の背景には、埼玉県とメキシコ州との姉妹提携締結(1979年)に加えて、1955年の「メキシコ美術展」を訪れ、メキシコ美術への造詣を深めていった初代館長・本間正義の存在がありました。
この展覧会では、1950年代にメキシコに惹かれた美術家の中から、福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温の足跡をたどり、彼ら彼女らがメキシコをどのように捉えたのかを考えていきます。また当館のメキシコ美術コレクションとその形成の歩みを、学芸員としてメキシコ美術の普及に努めた本間正義の仕事とともに紹介します。作品や資料、開催された展覧会などを通じて、戦後日本がメキシコ美術に向けたまなざしを、様々な角度から検証する試みです。
会期 |
2025年2月1日(土)~2025年5月11日(日)
|
---|---|
会場 |
埼玉県立近代美術館
![]() |
住所 | 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1 |
時間 | 10:00~17:30 (最終入場時間 17:00) |
休館日 |
月曜日 ※ただし、2月24日、5月5日は開館 |
観覧料 | 一般 900円(720円) 大高生 720円(580円)
|
TEL | 048-824-0111 |
URL | https://pref.spec.ed.jp/momas/ |
4.0
メキシコというと明るく大らかな国民性で遠く離れた異国の地というイメージでしたが、古代文明色の強いメキシコと古くからある文化を大切にしている日本の親和性は意外にも高いのだと良い意味で考えが変わりました。線も色彩もはっきりした作品が多く、普段美術展に触れない方でも楽しく鑑賞が出来る展覧会だと思います。影響を受けた5人の日本人作家の作品もふんだんに展示してあり、最初から最後まで飽きずに見ることが出来ると思います。
4.0
本展会場の冒頭に、1955年の「メキシコ美術展」について回顧的に紹介されています。
パリ、ロンドンからの巡回で、1000点以上の美術品・民芸品、内現代美術だけでも400点以上が出品されたとのこと。もう70年も前の話ですが、この数字から想像するだけでも、驚異的なスケール。そして、当館を含む日本の美術館のメキシコ美術収蔵につながり、また、強くインスパイアされた日本の画家が登場した。その流れで、福沢一郎、岡本太郎、利根山光人、芥川(間所)紗織、河原温の5人にフォーカスした展示があります。(河原はズレてますが)
好みは分かれるのでしょうが、私には刺さりました。本展、かなり良いです。
インスパイア組に加えて、本チャンのメキシコ画家からリベラ、オロスコ、シケイロス、タマヨ等の巨匠の作品も饗宴し、賑やかなこと。
全体を通して、鼓動・息吹・心情がじんじんと伝わってきます。
キャッチコピー「あの頃、みんなメキシコに憧れた」に共感しました。
利根山はもっと見たい。秋に世田谷美の企画展が楽しみです。
埼玉県立近代美術館に行った。「メキシコへのまなざし」展を見るためだ。1955年東京国立博物館で開催された大規模な「メキシコ美術展」は、美術家たちがメキシコに目を向けるきっかけになった。同展は、1950年代にメキシコに惹かれた美術家…readmore
3.0
良くも悪くも、コーナーごとにでこぼこがある。表現として。それゆえ、好みもそれぞれだと思う。個人的には、福沢一郎の大味な絵画がよかった。あと、常設展もすごい。必見。
4.0
70年前、1955年に東京国立博物館で開催された「メキシコ美術展」が発端だそうです。そして、埼玉県とメキシコ州との姉妹提携締結(1979年)も関係ある。さらに埼玉県立近代美術館の初代館長、本間正義さんがメキシコ美術に造詣が深い、ということもあって、埼玉県立近代美術館にはメキシコ美術コレクションも多少はあるらしい。今回の中心になるのは「メキシコ美術展」を見て、その影響を受けた美術家5人の作品。その5人は岡本太郎、福沢一郎、芥川(間所)紗織、利根山光人、河原温。
気になったのは、芥川(間所)紗織と河原温。ほかの3人は作品を何度か見ているし、作品からメキシコ的な要素は明らかに濃いので、そうだろうなあという感じ。作品から芥川(間所)紗織もそうかもしれないという気がするが、河原温は違和感があった。その辺が気になって、北浦和の埼玉近美へ。
今回見て、興味深かったのは以下のポイントでした。
1.1955年に東京国立博物館で開催された「メキシコ美術展」は、会場ディスプレイ担当が丹下健三、カタログ担当が亀倉雄策、掲載図版の写真撮影が石元泰博というまあ、当時の最強の布陣。そのままオリンピックとか万博までいきそうな感じ。
2.2024年に生誕100年ということで、話題になった芥川(間所)紗織ですが、メキシコの美術家ルフィーノ・タマヨの影響を受けた、というあたり。ルフィーノ・タマヨの作品もそこそこ拝見できてよかった。
3.河原温の作品にはメキシコ感はないが、解説によると、相当興味を持っていたらしい。実際、1959年から3年メキシコに滞在していたし、その後もメキシコを訪問して《| GOT UP》シリーズを始めたりした、とのこと。
写真撮影は一部不可。図録は制作中。展示替えあり。
あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する
より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿は、
こちらから。ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する
周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
埼玉県で開催中の展覧会
利根山光人《いしぶみ》1961年|油彩・カンヴァス|東京国立近代美術館蔵|©一般社団法人アルテトネヤマ
芥川(間所)紗織《大木にハサマレタ若い神》1956年|染色・布|世田谷美術館蔵
福沢一郎《埋葬》1957年|油彩・カンヴァス|東京国立近代美術館蔵
河原温《20 ABR. 68》1968年|リキテックス・カンヴァス|名古屋市美術館蔵|©One Million Years Foundation
岡本太郎《建設》1956年|油彩・カンヴァス|川崎市岡本太郎美術館蔵
ホセ・クレメンテ・オロスコ《家族》1926年|リトグラフ・紙|名古屋市美術館蔵(後期展示)
シケイロスのアトリエを訪ねる岡本太郎|1967年|画像提供:川崎市岡本太郎美術館