没後30年 木下佳通代

埼玉県立近代美術館

  • 開催期間:2024年10月12日(土)~2025年1月13日(月・祝)
  • クリップ数:8 件
  • 感想・評価:3 件
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-2
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-3
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-4
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-5
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-6
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-7
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-8
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-9
《LA '92-CA729》 1992年| アクリル 、カンヴァス| 京都国立近代美術館蔵
《'91-CA652》 1991年|油彩、カンヴァス| 京都市美術館蔵
《無題》 1962年|油彩、カンヴァス| The Estate of Kazuyo Kinoshita蔵
《無題 A》 1975年| シルクスクリーン・フェルトペン、紙 京都市美術館蔵
《Pa-C '80-120》 1980年| パステル、紙 ギャラリー島田蔵
《む 36》 1976年|フォトコラージュ、感光紙|大阪中之島美術館蔵(展示期間: 10月12日-12月1日)
《'76-C》 1976年|フェルトペン、感光紙|大阪中之島美術館蔵
《'86-CA358》 1986年|油彩、カンヴァス| 西宮市大谷記念美術館蔵
木下佳通代 アトリエにて 1985年
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1
没後30年 木下佳通代 埼玉県立近代美術館-1

この展覧会についてABOUT THIS EXHIBITION

神戸に生まれ、関西を拠点に活動した美術家・木下佳通代(きのしたかずよ 1939-1994)。大阪中之島美術館との巡回展として開催する本展覧会は、生前を通して初めての大規模な回顧展です。

京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で絵画を学んだ木下は、在学中から作家活動を開始しました。1960年代には、神戸で結成された前衛美術集団・グループ〈位〉と行動をともにし、制作を通して「存在」に対する思索を深めていきます。1970年代から写真作品の制作に着手すると、複数の写真を並置した組作品や、幾何学図形を写した写真の上から線を描き重ねるなどの手法により、視覚と認識、存在と事物の関係性を鮮やかに表現しました。

「存在」や「見ること」について問いかける一連の作品はヨーロッパで高く評価され、1981年にはドイツで個展を開催しました。1980年代に入ると、油彩へと制作の軸足を移し、問題意識をより発展させた作品制作に取り組みます。木下がカンヴァス上につくり出す緊張感の漂う空間は、たびたび表情を変えながら独自に進化していきました。そして、1994年に亡くなるまで、様々な作風の作品を通して「存在とは何か」という問いに向き合い続けたのです。

本展では、これまで公開される機会の少なかった初期の油彩画をはじめ、代表作である写真シリーズ、亡くなる前の病床で描かれた絶筆までを取り上げ、「存在」を追究し続けた木下佳通代の全貌に迫ります。

開催概要EVENT DETAILS

会期 2024年10月12日(土)~2025年1月13日(月・祝)
  • 会期中、一部作品の展示替えがあります
会場 埼玉県立近代美術館 Google Map
住所 埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
時間 10:00~17:30 (最終入場時間 17:00)
休館日 月曜日、年末年始(12月27日~1月3日)
※ただし10月14日、11月4日、1月13日は開館
観覧料 一般 1,000円(800円)
大高生 800円(640円)
  • ※( )内は20名以上の団体料金
    ※中学生以下と障害者手帳を提示の方(付き添い1名を含む)は無料です
    ※企画展観覧券(ぐるっとパスを除く)をお持ちの方は、あわせてMOMASコレクション(1階展示室)も観覧できます
TEL048-824-0111
URLhttps://pref.spec.ed.jp/momas/

埼玉県立近代美術館の情報はこちらMUSEUM INFORMATION

埼玉県立近代美術館 埼玉県立近代美術館

感想・評価 | 鑑賞レポートREVIEWS

4.0

「存在とは何か」を追求した画歴、と納得するにはやや難しかった

神戸を基点に活躍された女性美術家。初の美術館での個展がいきなり大阪中之島美術館で昨夏に開催されていて、注目してました。根強い親派がいることの証。なので、宣伝用の写真ではわからない何かを持っているのだろうと期待し、埼玉巡回の会期終了間際に訪問。

20歳代から没年55歳までの約30年のキャリアを、約10年毎の3章立てでクロニカルに追う展示です。丁度それくらいの周期で、作風が大きく変遷してます。

20代前半からの最初の10年は京芸の学生時代から。具象・抽象あり、良い絵を描いてると思います。

次の10年。存在を追求すべく、写真・コラージュや幾何的図形表現に傾倒します。この時期の作品は、私には「存在」追求の表現として共感するのは難しいです。
円は斜め上から見ると楕円です、から、存在とは、に繋ぐ文脈がないと。写真作品も同様に、説明的・観念的。1970-80年代半の知を巡る当時の世相を思い返しつつ、時代感として受け止めるに留まりました。

最後の10年。このメタモルフォーゼの動機は何だったのでしょうか、大きな進化を感じます。言語化不要、観念無用、キャンバスの上が全て。これは観る者に訴求する存在追及です。
とりわけ、癌宣告を受けてから没年までの四年間の鬼気迫る抽象絵画表現、圧巻です。本展のキービジュアル写真では到底伝わらないパワーがみなぎります。描出したいコンセプトが「万物の存在」から「自己の存在」に、客観から主観に替わったが故の迫力なのかしら。

顕著なスタイル変化の背景には、プライベートなストーリーや葛藤の変遷がきっと強く影響していることと推察します。立派な大回顧展ですが、その辺りを掘り下げた文脈との照らし合わせがあれば、もっと良かったのではないでしょうか。(早逝作家の没後30年ではまだ日が浅いということか)

THANKS!をクリックしたユーザー
uchikoさん、さいさん、morinousagisanさん、黒豆さん、komagatayaさん

4.0

無意識のうちにその存在を認識するってどういうことか、シンプルな実験的作品から考えてみる

木下佳通代の作品は、何かのグループ展でいくつか見たことがあるのですが、あまり意味が分かっていなかった。例えば、同じモノクロ写真を5つ縦に並べて、上から着色部分が徐々に増えていって最終的にはその色で全て覆われる作品とか、コンパスで円を描いたところを斜め上から撮影した写真にコンパスで描いた円と接するように赤い円を描いた作品などです。

今回、改めて解説付きで作品を拝見して、それも同じコンセプトの作品を複数見ることで、その意味が分かってきました。同じモノクロ写真を5つ縦に並べた作品は目で認識した範囲が徐々に増えていくことを表現したもので、コンパスで円を描いた作品は写真上は楕円として現れるけど私たちはこれを真円として認識することを示している。どちらも視覚で認識することについて、無意識のうちに私たちの脳みそが実行しているプロセスを明らかにする作品です。

後半になると、がらっと作風が変わるのも興味深い。まず写真から離れ、紙を折ったり着色したり線を引いたりした作品のあと、パステルや油彩を使った作品に移行する。なんとなく「視覚による存在の認識」というテーマからは離れて、抽象画へと移行したように見える。まあ解説によると「存在そのもの」を描こうしていたとあるが、その辺はよくわからない。でも抽象画としては年を追って完成度が上がっていくのが面白いのだが、上がってきたところでがんで亡くなってしまったのが残念。

ちなみに11月30日から始まっている常設展で木下佳通代と同時代に関西で活動した作家を取り上げていて、改めて1970年から90年にかけての空気感が伝わってきて、あの頃の現代美術を再認識させてもらいました。

THANKS!をクリックしたユーザー
さいさん、黒豆さん、morinousagisanさん、Camdenさん

3.0

現代アートの楽しみ方

木下佳通代、関東初の大回顧展だそうです。
前半の写真、シルクスクリーン、紙、フォトコラージュあたりが気になり、
後半は身体性を感じさせるような動きのあるペインティングに移行していました。
個人的にはクールで理知的な前半期の作品群がちょっと好みです。
ペインティングも迸る熱情を抑制しているかのような作品もあり気になりました。
会場内、作品、キャプション、資料、パネルなどすべて写真撮影可能でした。

ただこの手の現代美術展の、はいどうぞ、ご自由に考えて感じて、では初見の人には厳しい感じがします。
オペラシティの松谷武判もそうだし、せっかく知られざる作家を認知してもらう絶好の機会なのに
もったいない展示をしているなぁとも思ってしまうわけです。
詳細を知りたいようでしたら是非図録をどうぞ!ということなのかもしれないけれど。

THANKS!をクリックしたユーザー
komagatayaさん、karachanさん、Camdenさん、morinousagisanさん

あなたも感想・評価を投稿してみませんか?
感想・評価を投稿する

より詳しい鑑賞レポート 《600文字以上》のご投稿は、
こちらから。ページ枠でご紹介となります。
鑑賞レポート《600文字以上》を投稿する

周辺で開催中の展覧会も探してみて下さい。
埼玉県で開催中の展覧会

出展作品・関連画像IMAGES

《LA '92-CA729》 1992年| アクリル 、カンヴァス| 京都国立近代美術館蔵

《'91-CA652》 1991年|油彩、カンヴァス| 京都市美術館蔵

《無題》 1962年|油彩、カンヴァス| The Estate of Kazuyo Kinoshita蔵

《無題 A》 1975年| シルクスクリーン・フェルトペン、紙 京都市美術館蔵

《Pa-C '80-120》 1980年| パステル、紙 ギャラリー島田蔵

《む 36》 1976年|フォトコラージュ、感光紙|大阪中之島美術館蔵(展示期間: 10月12日-12月1日)

《'76-C》 1976年|フェルトペン、感光紙|大阪中之島美術館蔵

《'86-CA358》 1986年|油彩、カンヴァス| 西宮市大谷記念美術館蔵

木下佳通代 アトリエにて 1985年

こちらの機能は、会員登録(無料)後にご利用いただけます。

会員登録はこちらから
SIGN UP
ログインはこちらから
SIGN IN

※あなたの美術館鑑賞をアートアジェンダがサポートいたします。
詳しくはこちら

CLOSE

こちらの機能は、会員登録(無料)後にご利用いただけます。

会員登録はこちらから
SIGN UP
ログインはこちらから
SIGN IN

ログインせずに「いいね(THANKS!)」する場合は こちら

CLOSE


がマイページにクリップされました

CLOSE マイページクリップ一覧を見る


がお気に入りに登録されました

CLOSE マイページお気に入り一覧を見る


を訪問済みに移動しました

CLOSE マイページ訪問済みイベントを見る

CLOSE

name

参考になりました!をクリックしたユーザー 一覧
CLOSE