3.0
扇面や干支の龍や吉祥のモチーフに満ちて、新春にぴったり。
感想が会期が終わってからになってしまい、申し訳ありません。大倉集古館さんの所蔵品から、新春を寿ぎ、来る春を待つこの時期にふさわしい作品が紹介されていました。既に桜の開花が間近となり、新年からは、かなり過ぎてしまいましたが、「大倉集古館の春 新春を寿ぎ、春を待つ」に行って来ました。平日午後、とても空いていました。前回の展覧会の時は、個人観覧者と女性のグループが二グループくらいいらしていて、あまり美術館慣れしていない?女性のグループは、お友達会話に花が咲いて、作品の話に始まったらしいのに結果、全く関係ない話題に及んで、少々盛り上がり気味で、顔をしかめたくなりました。今回はとても静かにゆったり鑑賞出来ました。
扇は絵画にも着物にも焼き物にも、末広がりでおめでたい題材だそうで、多く登場しています。宗達派の名品《扇面流図屏風》は、当初一双のうち片方だけが大倉家に所蔵されていましたが、不思議な縁により左右そろって大倉集古館に収蔵されることになり、この収蔵経緯が記された福地源一郎筆《古屏風奇遇乃記》も展示され、明治の頃から大切にされた屏風の由来が紹介されました。波音が聞こえて来るような片男波に千鳥が舞うような金の扇。とても奇麗でした。重文の《長生殿蒔絵手箱》もとても素晴らしかったです。他もきらびやか、干支の龍や吉祥のモチーフに満ちていて、新春にはピッタリの展示だったようです。
2階では「季節の造形~雪・梅・桜の絵画」は、すでに同館で何度も観ている横山大観の《夜桜》《文鳥》、小林古径《木菟図》、などの名品が並びます。「めでたさの造形~工芸品」では、伊万里・鍋島の磁器や尾形光琳・乾山の六角皿が並びます。《青磁香炉》千鳥足という三本の足がきちんと着地しないまるで不良品とも言えそうな青磁に唸ってしまい、保坂なみ氏の《和刺繍習作》や木内半古氏の《四君子象嵌重硯箱》などの見事さにまた唸ってしまい、でした。
地階は今回は常設のVTRと東洋の宗教美術の像だけでした。
なかなか楽しい展覧会でした。次年度は個人的になかなか期待したい展覧会が多くあり、また楽しみにしています。