3.0
線とは?
「線」は恣意的な区切りとして機能することで、なにかを浮き彫りにする。無の空間にもうひとつの空間、あるいは何らかの本体をも生み出す力がある。本展でとくにわかりやすい線表現は「物語る線たち」だろうか。太い線と細い線、力強さと脆弱さといったタッチの違いが、描き出すものそれ自体以上に作者の情緒的なものを伝えてくるようでおもしろい。
一方、現代美術専門の同館らしく、「線」とは何か、その意味を考えざるをえないような表現物も「線表現」として展示される。まさか彫刻などの立体作品にまでその裾野が広げられるとは思わなかったが、なにかを立体的に切り出して見せるのが「線」の一つの機能だとすれば、不自然なことはないのかもしれない。