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美術館でゲームクリエイションの世界を知る 『大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション』@大阪中之島美術館

©CAPCOM

公立の美術館でGameの大展覧会が開催!今やアニメやマンガと共にGameは、日本文化を代表する1つであることは誰もが認めるところです。『大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション』が、ゲームソフトメーカーであるカプコンが拠点を置く大阪から始まりました。アニメやマンガ以上にGameにはほぼ無縁だった私が、大阪中之島美術館で開催されると言うことで行ってきました。

展覧会構成、展示の見せ方、楽しみながら体験できる展示などゲームクリエイションで培われたものをそのまま展開する展覧会で、細部に至るまで作り込み、拘りが凄く、職人技だ!へぇ~こんなふうになっているのかの驚きと発見の連続でした。小さなお子様からゲーム業界を目指す人やその専門家までも楽しめ、展覧会の作り方をも考えさせる展示空間になっていました。

 

展示場内は一部の作品を除き、写真撮影OKです。撮影やSNSについては注意事項があり、本ブログについても、主催者へ画像含め内容を確認頂いた上で投稿公開いたしました。


キャラクターパレード ©CAPCOM

展示会場への導入は約16mの壁面いっぱいに次々に登場してくる歴代のキャラクターが大行進する新作アニメーションです。この時点でゲームと共に歩んできた人たちはテンションが一気に上がっているようでした。お気に入りの、推しのキャラクターと一緒に歩いて展示会場へ誘われます。展覧会は、3つの[ROUND]と[BONUS STAGE]& [FINAL ROUND]の4つのエリアで構成されています。


[ROUND1]カプコンゲームクロニクル

[ROUND1]カプコンゲームクロニクル

1983年創業のカプコンのこれまでの歴史を年表で紹介すると共に、同時代のゲームの業界も振り返ります。往年のファンには懐かしいゲーム機器も展示されています。さらに『モンスターハンター』シリーズや『バイオハザード』シリーズなどの主要タイトルが系列図によって図解で解説されています。反対壁面には、創業から現在までのタイトルロゴが”CAPCOM”の字を形作っています。先に進むと広告、宣伝用イラストやフィギュア、ゲームのシーン台本などキャラクターの開発資料が展示されています。宝塚歌劇にもなったゲームもあり、宝塚歌劇での衣装も展示。キャラクターのイラストに書き込みがあり細かいところまでの検討が重ねられて作られています。歴代タイトルのパッケージに採用されたイラストの原画、発売当時のポスターの実物やソフトやパッケージの実物など展示の中には、1点ものや海外版のカートリッジとケースもありレアものでしょう。


[ROUND2]ドット絵時代の創意工夫 カプコンピクセルラボ ©CAPCOM

[ROUND2] テクノロジーとアイデアの進化

様々な制約の中でのゲーム作りの裏側や制作過程が展示されています。クリエイターたちの創意工夫からゲームが作られてきました。

ゲーム黎明期では、画面上に四角い点をマス目状に並べて描く「ドット絵」で表現していました。画像そのものを半透明にする事が出来なかったドット絵時代、クリエイターたちはどのようにして半透明に見えるように表現していたのでしょう。また、使える色数が限られているなどグラフィック制作の創意工夫を カプコンピクセルラボ で私たちも実際に体験して、結果をQRコードで読み取って持ち帰る事が出来ます。

新旧 波動拳の作り方 では、新旧の制作工程の説明パネル解説がありその横にある操作台のレバーとボタンで波動拳を打ってみると画面でその違いがはっきりと分かってとても面白い。


[ROUND2]フェイシャルトラッキングミラー ©CAPCOM 

フェイシャルトラッキングミラー 最新のキャラクター表情制作技術の一端が体験できます。自分の顔の表情がそのまま前の鏡を模したモニター中のキャラクターに反映されます。ゲーム作りは視覚だけではありません。カプコン流の効果音メイキングやBGM演出も紹介され、意外にも初期の映画の如き効果音の種明かしにはへぇ~。サウンドシアターでは天井から降ってくる音に包まれる体験もしました。


[ROUND3]ファンタジーとリアリティ「らしさ」を描く-キャラクター造形の秘伝書- ©CAPCOM 

[ROUND3]ファンタジーとリアリティ

架空の世界や架空の登場人物にどのようにしてリアリティをもたせるか、カプコンのモノづくりへのこだわりを紹介します。

カプコンのデザイナーに継承される秘伝書『あやしい美術解剖図 スプライトデッサンの基礎』には、キャラクターデザインの礎となる人体造形の考え方や描き方が詳細に掲載されています。ダ・ヴィンチやミケランジェロのデッサンの如く、最初は手で1本の線を引くデッサンから始まる。想像上の立体物を表現するために使われる3DCG(3次元コンピューターグラフィックス)制作の作り込みや制作過程を人気キャラクターの立体像にプロジェクションマッピングを投影して紹介されています。このプロジェクションマッピングにも驚きましたが、モンスターハンター超立体図鑑 にはもっとへぇ~よく出来ている、科学系の博物館によくある展示の進化版のようでもあり、映画制作のようでもありました。


[ROUND3]バイオハザード・新ウォークスルー体験 ©CAPCOM

吉田沙保里vs.リュウ ー私より強い奴に会いに行くー 現実世界と架空世界の対戦企画は大阪限定展示です。バイオハザード・新ウォークスルー体験 お化け屋敷も超苦手な私、ドキドキしながら体験してきました。「繁忙期」には「バイオハザード・新ウォークスルー体験付日時指定券」が必要ですので、ご注意ください。

 

[BONUS STAGE]

モーションキャプチャーミラー モーションキャプチャーの疑似体験が出来るコーナーで、モーションアクターになりきって楽しみましょう。

 


[FINAL ROUND] 伝説の企画書たち「ストリートファイターⅡ」©CAPCOM

伝説の企画書たち 過去のゲームの手書きによる仕様書や企画書や背景美術には、時を経ても当時のクリエイターの思いも生々しく伝わります。


[FINAL ROUND] ITERVIEWS 開発者インタビュー ©CAPCOM

開発者インタビュー カプコンの12名が「カプコンらしさ」や「大事にしていること」などクリエイターとしての思いや考えを語っています。ゲーム業界を目指す人たちは必見です。


特設ショップコーナー ©CAPCOM

お楽しみの特設ショップコーナーのラインナップです。

 ゲーム制作の裏側、創成期から最新の制作過程を知り、なるほど「ゲームはデジタル時代の総合芸術」か、大阪中之島美術館 菅谷富夫館長は「我々の視覚を改めて考え直す」とお話になっていました。

本展は、名古屋市美術館、鳥取県立博物館、CREATIVE MUSEUM TOKYOへ巡回予定です。

 

※開催概要にも記載しておりますが、本展は日時予約制の「繁忙期」「繁忙期以外」がありますので、お出かけの際にはくれぐれもご注意ください。


【開催概要】大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション

  • 会期:2025年3月20日(木・祝)~2025年6月22日(日)
  • 会場:大阪中之島美術館 5階展示室
  • 開場時間:10:00~17:00 (最終入場時間 16:30)
  • 休館日:月曜日、5月7日(水) ※4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
  • 観覧料:一般 3,000円、高大生 2,500円、小中生 1,000円、

★おかわりチケット 5,600 円 2回観覧する方にお勧めのお得なチケットで、「繁忙期以外」のみ使用できます(「繁忙期」は入場できません)

★「繁忙期」土日祝、3月20日~31日、4月28日~5月6日 繁忙期は日時予約制のため日時指定券が必要

★「繁忙期以外」繁忙期以外の平日で、観覧券は平日券のみを販売、大阪中之島美術館では平日券のみ販売

  • 詳しくは⇒
  • 公式サイト:https://daicapcomten.jp
  • TEL:06-4301-7285(大阪市総合コールセンター 受付時間:8:00~21:00 年中無休)

プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
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