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藤田美術館がリニューアルオープンしました。その名も「蔵の美術館」です。

藤田美術館外観

藤田美術館が今春4月1日にリニューアルオープンしました。

藤田美術館は、国宝9件、重要文化財53件を含む約2000件の東洋美術のコレクションを所蔵しています。

実業家・藤田傳三郎(1841-1912)とその息子平太郎、徳次郎の親子三人によって収集された美術工芸品を公開するために昭和29年(1954)に開館しました。

2階建ての土蔵の展示室で春と秋に展覧会が開かれ、夏が近くなると暑く冬が近づけば足元も寒い空調設備が完備されていない美術館でしたが、趣があり大好きな美術館でした。

施設の老朽化もあり、2017年に施設の全面建て替えのため休館に入り、その間奈良国立博物館で2回の藤田美術館展が開催され、ご覧になった方も多いのではないでしょうか。きっと多岐にわたるコレクションに驚いたのは私だけではなかったと思います。

オープンすぐは来館者も多いのではと思っていたのですが、

日曜美術館で「神はその手に宿る 復元師 繭山浩司」を視て、1㎝四方の花入の耳があるだけで全体の姿がこうも違うのかと驚き、その青磁鳳凰耳花入を実際に目にしたく月曜日の午後3時を狙ってに出かけてきました。


展示室入口扉

チケット売り場はありません。HPからチケットを購入していくか、ロビーに並んで係の人が回ってきてくれるのを待つかです。現金ではなくカードでのお支払いが良いそうです。20歳以上は1000円で、それ以下は無料!!! 来館者が少ないときは良いけれど、ずらーっと並ぶようになったらどうされるのかしら???

私が伺った時は、並んで待っている人もなく、すぐに応対して頂き、数人が集まれば展示室の扉前に集合して中へご案内頂きました。この様に中の混雑も考えて人数制限もなさっているのかもしれません。

嘗ての美術館にあった重厚な扉をくぐって中へ入ったところで、スタッフの方から簡単な注意事項と美術館のコンセプトを伺いました。新装なった美術館には、旧美術館の部材が各所に再利用されており、この部屋には展示室を支えた太い梁の一部が据えられ、床材も再利用されていました。


次の扉の向こうが展示室です。最初の部屋の壁には文字が映し出されます。

ここでほの暗い部屋に眼も慣れてきます。

展示件数は土蔵の時と同じくらいだったでしょうか、ゆったりと拝見できます。

作品リストはなく、また作品そのものと向き合ってほしいとの思いから、作品名と年代、国 以外はキャプションになく、展示品全ての解説は美術館HPに掲載されていますので、事前予習されていくのがお薦めです。

ほの暗い展示室内で展示品が浮かび上がるように照明が当てられ、かなり近くで拝見できます。

が、やはり単眼鏡があった方がいいでしょう。

茶道具はすべて独立ケースに展示され、360度から拝見できます。

展示室を仕切る壁に窓を開けて展示されている香合もありそちらは両側から拝見しました。

藤田と言えば、国宝「玄奘三蔵絵」と「曜変天目茶碗」どちらも展示されています。

「曜変天目茶碗」は特別室に側面からも照明が当てられているので、碗の外側面に光る曜変もしっかり確認することができます。土蔵の時は解説の学芸員さんが懐中電灯を当ててくださってみんなで「わぁ~」となって拝見しました。

展示品は、「阿」「赤」「曜」「傳」に分類され、現在は「阿」「赤」「曜」が展示中で、それぞれ1ヶ月ずらして展示替えとなり、3ヶ月ですべての展示が替わるシステムになっています。

な、なんと携帯での撮影がOKとなっていました!卑しくも思わず写真を撮るのに必死になって回りで見ておられる方に気が回らなかったかもで申し訳ありませんm(__)m


旧美術館の窓を再利用してお庭を眺める

展示室を出たところに藤田家を紹介するギャラリーがあります。

藤田傳三郎さんが頂かれた大切な家宝の勲章と表彰状が西日にガンガンに照らされて、お隣の方がこれでは日焼けしてしまうんではないかと心配していらっしゃいました。確かに~。紫外線防止のガラスであると信じます。

お庭を眺めながらロビーへ戻ります。お庭は16:00まで開放されています。

再度展示室へ戻りたい方はスタッフに申し出れば入れてくださるそうで、ありがたい。

ロビーには、オープンキッチンスタイルのカフェ「あみじま茶屋」があり、「茶屋」の名の通りキッチンを囲むようにして頂けるのですが、コロナ禍では仕切りもなくちょっと残念な現状かもしれません。

美術館のリーフレットはなく、またミュージアムショップがまだないのはとっても残念でした。絵葉書買いたかったです。今後オープンキッチンスペースの一角で図録などの販売を考えておられるとのことでした。また、作品キャプションについてもQRコードで読取り式もお考えの様でした。

お手洗いに石鹸がなかったことも、コロナ禍ではご一考願いたいところです。



2017年3月11日撮影の美術館風景

藤田傳三郎は、近代数寄者のお一人で、お茶は武者小路千家だったそうです。当代も千宗屋さんと懇意でいらっしゃいますね。廃仏毀釈の嵐が吹き荒れる中、益田鈍翁らと共に近代以降散逸の危機にあった文化財を莫大な私財を投じて収集した功績は大きい。

東京の椿山荘も今は宗教法人に渡ってしまった大阪の太閤園も元は藤田家の別邸で、藤田美術館に隣接する桜之宮公園も藤田家の屋敷跡です。

藤田さんもかつての土蔵の美術館を含めた敷地内に新しい美術館を建てるとなって、構想にあれもこれも入れたいとなったのかなぁ、そこへ思いもよらぬコロナ禍となってしまいましたが、無事リニューアルオープンおめでとうございます。大切な品々を更に100年先へ繋げていってください。

  • 藤田美術館⇒HP
  • 開館時間:10:00~18:00
  • 休館日:年末年始のみ
  • 入館料:1,000円(19歳以下無料)
  • お問い合わせ:06-6351-0582



プロフィール

morinousagisan
阪神間在住。京都奈良辺りまで平日に出かけています。美術はまるで素人ですが、美術館へ出かけるのが大好きです。出かけた展覧会を出来るだけレポートしたいと思っております。
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