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歴史を感じさせる、趣のある市立美術館
天王寺公園内にあって、建物は歴史を感じさせる堂々とした造りで、趣があります。正面外観は、国会議事堂のような左右対称の建物で厳かさを感じさせますが、建物入口の階段に立つと、参道のように正面にまっすぐ通りが続き、開放感のある眺めが広がります。
開館は1936年だそうで、内部はかなり古い印象ですが、そのレトロな感じも味となっている美術館ではないでしょうか。館内を歩いていると、所々床が絹なりのように軋むところも歴史を感じさせます。
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大阪市立美術館は、住友家の本邸が建てられていた、天王寺公園の中に位置している。美術館の建設を目的に住友家から庭園(慶沢園)とともに大阪市に寄贈された敷地に、1936年(昭和11年)5月に開館した。
美術館は、設立当初の本館と、1992年(平成4年)に美術館の正面地下に新設した地下展覧会室からなる。地上3階、地下1階からなり、本館展示室では、特別展覧会やコレクション展示が開催されている。また地下展覧会室では、常時様々な美術団体が主催する展覧会が開催されている。
平常展示では購入や寄贈によって集まった日本・中国の絵画・彫刻・工芸など国宝や重要文化財も多く含んだ8500件をこえるコレクションを持つ館蔵品と、社寺や個人から寄託された作品約5,000件を随時陳列している。これらの作品には国宝や重要文化財に指定された作品も多く含まれている。
美術館本館は均整のとれたシンメトリーの和洋折衷式建物で、屋根に和瓦が用いられた堂々たる存在感のある建物である。正面に据えられた階段を上がって館内に入ると中は天井の高いグランドホールがあり、クリスタルガラスの見事なシャンデリアが据えられている。建物正面の幾何学的な凝った装飾が美しい。地上3階建て、地下1階の鉄筋コンクリート建築であり、大阪市営繕課・伊藤正文の設計によるものである。
本館地下には1946年(昭和21年)に美術館付帯施設として開設された美術研究所があり、素描、絵画、彫塑の実技指導を行っている。
主なコレクションに
◆ 阿部コレクション:東洋紡績株式会社(現TOYOBO)の社長を勤め、その後貴族院議員ともなった阿部房次郎(あべふさじろう 1868-1937)氏が収集し、子息孝次郎氏より昭和17年に寄贈された中国書画160点からなる。
◆ 山口コレクション:旧関西信託(現在三菱UFJ信託銀行となっている東洋信託銀行の前身)の社長などを務めた関西の実業家、山口謙四郎(1886-1957)氏の収集によるもので、中国の石造彫刻125点・金銅仏5点・工芸94点の計224点からなり、昭和52年・53年に大阪市立美術館に譲渡された。
◆ カザールコレクション:明治末年の来日以来、昭和39年に亡くなるまで日本に住んで日本文化を研究し、蒔絵を中心にした漆工品を収集した神戸在住のスイス人U.A.カザール(Ugo Alfonso Casal 1888~1964)氏によるコレクション。江戸時代から明治にかけての漆工品3,409件からなり、昭和50年代を中心に七回に分けて譲渡をうけている。豪華な蒔絵調度や香合、そして印籠、櫛・笄、根付などの装身具が含まれ、これらの精緻な蒔絵の優品は明治以降、海外のコレクターの間で人気が高かったため多くが流失しており、国内では珍しいコレクションとなっている。
◆ 小西家伝来・尾形光琳関係資料:尾形光琳(1658-1716)の子・寿市郎が養家の小西家にもたらしたもの。昭和18年に武藤金太氏より寄贈された大阪市立美術館収蔵の33件と、京都国立博物館収蔵の257件があり、一括して重要文化財に指定されている。徳川秀忠の娘で後水尾天皇の中宮である東福門院の呉服御用をつとめた光琳の生家呉服商雁金屋で作られた小袖を記録した衣裳図案帳や資料、光琳や弟尾形乾山に関わる記録、そして絵師光琳の下絵・画稿・粉本、諸文書など多岐にわたり、光琳の芸術と生活を如実に伝える。絵画、書、染織、蒔絵、陶磁器など美術工芸、また当時の芸能や文化、経済を考える上で重要な資料である。
◆ 師古斎コレクション:中国拓本に造詣の深かった、大阪出身の岡村蓉二郎氏(1910~1991 号:商石、雅号:師古斎)が、主として昭和10年から昭和18年頃までに収集した中国金石拓本400件で、昭和49年(1974)一括譲渡された。
◆ 住友コレクション:昭和18年秋に朝日新聞社の企画により開催された「関西邦画展覧会」に出品するために、上村松園・山口華楊・北野恒富・榊原紫峰など、当時の関西日本画壇の代表的な作家20人によって製作された20点の日本画からなる。展覧会の開催後、昭和19年に展覧会への出資者であった男爵16代住友吉右左衛門(住友友成 1909-1993)から寄贈された。
◆ 小野順造コレクション:小野薬品工業株式会社の社長・会長であった小野順造(1916-89)氏が昭和30年後半以降に収集された南北朝から唐時代にかけての19点の 中国石窟将来の石造彫刻からなるコレクションで、平成7~14年に遺族から大阪市立美術館に譲渡された。山西省雲岡石窟、山西省天龍山石窟、河南省龍門石窟などの名だたる石窟将来の仏頭を中心とし、当時の彫刻技術の最高峰を示すものである。
◆ 田原コレクション:大阪枚方で耳鼻咽喉科を開業していた田原一繁(1934-2009)氏が夫人元子氏とともに収集に励んだ鍋島藩窯の染付・色絵など118件からなるコレクション。初期の段階から後期の終末期まで通史的に集められた鍋島藩窯のコレクションは希少で、学術資料としても貴重である。平成23年(2011)に元子夫人から一括寄贈を受けた。
◆ 田万コレクション:大阪で衆議院議員・弁護士として活躍した田万清臣(たまんきよおみ、1892~1979)氏が、明子(あけこ)夫人とともに集められた615点におよぶ仏教美術・近世絵画を中心とした東洋美術のコレクションで、清臣氏の一周忌である昭和55年に、故人のご遺志により夫人から寄贈。コレクションのうち仏教美術は154点を数え、「銅 湯瓶」をはじめ、4点の重要文化財が含まれている。昭和57年と62年にはご子息侃(ただす)氏より48点の作品を追加寄贈を受けた。
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天王寺公園内にあって、建物は歴史を感じさせる堂々とした造りで、趣があります。正面外観は、国会議事堂のような左右対称の建物で厳かさを感じさせますが、建物入口の階段に立つと、参道のように正面にまっすぐ通りが続き、開放感のある眺めが広がります。
開館は1936年だそうで、内部はかなり古い印象ですが、そのレトロな感じも味となっている美術館ではないでしょうか。館内を歩いていると、所々床が絹なりのように軋むところも歴史を感じさせます。
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