4.0
100年の重みと紡がれる歴史
色に圧倒された展覧会だった。
志村ふくみ先生の作り出す色、紡ぎだす色が 着物の色となって柄となって私の前を
通っていく。それらは自然の植物から得られた色。中でも「常寂光寺の桜」と題された着物には 桜の古木で染めた糸が使われ、桜のイメージとは違う重厚な趣きを見せた着物もあった。
着物の中に「絵画」がある。これは特に琵琶湖を題材とした「湖上夕照」「湖上残雪」を見た時、そこに湖の情景が浮かんでくるような気がして、しばしその前でたたずんだ。
また源氏物語を題材にした着物も興味深かった。「葵」「明石」「若紫」など源氏物語に登場する姫の名をとった織物・・志村先生の彼女たちのイメージはこうなのだなと思いながら鑑賞した。このシリーズで心に残ったのは「花散里」。上に掲げた華やかな姫君ではないが、きっと源氏の癒しになったであろうと思われるその穏やかな様子がよくでた淡い桜色の着物に私も心癒された。
平日であったが、会期終了間近ということもあってか、訪れている人が多かった。
100年の重み・・
会期はあと少しだが多くの人に足を運んでもらいたい展覧会である。